見せよう会通信 (最新映画寸評) 本文へジャンプ
2010年新春特別号  

戻る


あけましておめでとうございます。

全国的には荒れ模様と言われていたのに、
東京の元旦はほとんど雲ひとつない青空に恵まれました。
風もほとんどなく穏やかな初日の出を見ることができました。
そういえば、走りに行く前に外を見てみると、
まん丸なお月さんが見えました。
ひょっとして満月でしょうか?
帰ってきて調べたら1日の04:00が満月とか。
06:00頃見たのでやはり満月だったんですね。
そのあとに見た初日の出もまん丸(当然だ!)。
二重丸です。
これは、今年は良くなるぞという気にさせてくれました。

2009年1年間に見た映画は266本になりました。
6回目になる年間ベストテンをお送りします。

<日本映画>

  1.嗚呼、満蒙開拓団
  2.ディア・ドクター
  3.のんちゃんのり弁
  4.ちゃんと伝える
  5.ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ
  6.サマーウォーズ
  7.風が強く吹いている
  8.大阪ハムレット
  9.重力ピエロ
  10.こまどり姉妹がやってくる ヤァ!ヤァ!ヤァ!
  次点 剣岳 点の記



景気が上向きにならず、
社会情勢全般も今一つ安定しない状況が続く中、
多くの映画が家族や、周りの人々との関係の中で、
小さくても確実な幸せを求める人々を描いている。
寄りかかれるところがない社会であれば、
近くの家族に、あるいは周りの人に安定を求めていくのは当然なことだろう。

身近な題材に目を向けながらも、
それぞれの作品は必ずしも従来の常識に納まることはなかった。
偽医者に頼ってきた村を描きながらそこに医術以前の人間関係を描く「ディア・ドクター」や、
子連れ出戻りのアラサー女性が一人踏んばる時静かに見守ってくれた幼馴染との関係
を誠実に描いた「のんちゃんのり弁」や、IT社会の在りようを全面的に受け入れながら人間の
善を信じて戦った「サマーウォーズ」など、この時代にこそ生まれてきた作品群だろう。

そんな中、日本社会が忘れがちな歴史、それも昭和という少し前の時代を丁寧に描いた
ドキュメンタリー2本が忘れられない。
「嗚呼、満蒙開拓団」は羽田監督自身の思いの強さが独善に走ることなく、
国が人々に強いてきたこと、その後の対応などを静かな怒りで描いている。
「こまどり姉妹がやってくる」は、彼女たちの成り立ちを描くことで、
社会全体が貧しかった昭和前半の日本をくっきり見せてくれた。


<外国映画>

  1.母なる証明
  2.アンナと過ごした4日間
  3.チェンジリング
  4.ベンジャミン・バトン 数奇な人生
  5.グラントリノ
  6.カティンの森
  7.チェイサー
  8.アバター
  9.イングローリアス・バスターズ
  10.ホルテンさんのはじめての冒険
  次点 アバンチュールはパリで


昨年末に封切られた「2012」や「アバター」はハリウッドの今を象徴的に示す作品だった。
CGで現実にはありえない状況を描くことで人々の目を引き付ける。
多くのお金をかけ、まるでそこにあるかのように描かれるバーチャルな世界は、
もちろん映画の世界以上にゲームの世界で描かれてきたものだ。
こうしたあり得ない世界は、描かれれば描かれるほど、人々はそれに慣れてしまい、
驚きを感じるどころか、またかという印象を持たれるようになる。
2つの作品とも、良くできていると思うが、今の日本では“またか”と思われるほど怖い
ものはない。
人々はそれほど飽きっぽいとも、最新の流行(“またか”を言いながら避ける)に弱
いともいえる。

2年ほど前から始まったハリウッド映画の退潮は今年もより一層進んだようである。
お金をかけた大作が来ても“またか”の一言で敬遠される。
その作品が見るに値する価値があったとしても、“またか”の前には勝てないのだ。
ハリウッドは産業として映画を作っている。
人に受け入れられるものを作ろうと世界中からアイディアを吸い上げている。
それがいつかいい結果を出すかとも思われるが、必ずしも日本マーケットを意識している
とは言えないので結果はすぐには出ないかも。

受けているものを作るという意味ではしばらく前の韓国映画がその先頭に立っていた。
いかにもヒットしそうな題材が分かりやすく作られていた。
そのあまりのイケイケ路線が飽きられてしまったのは数年前か。
最近の韓国映画はそれほど話題にもならず、商売にもなっていなかった。
それがこのところかなり変化してきたのではないか。
線の太いドラマは残しながら、受け狙いではない作品が増えてきた。
花も実もある作品群である。

今回、次点までに3作品を選んだがそのどれもが違うテイストを持っている。
飽きられたころのように、共通したギトギト感もなくなった。
不思議な味を出した「アバンチュールはパリで」のような作品もある。

1~5位の作品は2作品のクリント・イーストウッドを始め、
作り手の息吹が感じられる作品ばかりだ。
その息吹を感じながら、音楽に揺らされるように映画を楽しむ愉悦を味あわせてくれた。


いろいろに楽しませてくれた2009年に公開された映画群。
2010年は更によい映画、楽しい映画に巡り合えますように。



                                                                                                         神谷二三夫

感想はこちらへ 


戻る
    Copyright2004-2010(c) Cogito-Kobo  All rights reserved