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■大江健三郎略年譜

  
グルート島のレントゲン画法
文藝春秋  
定価:
1300円(税別)
頁数:35頁
ISBN4-16-308250-6
初出:1984年1月号 雑誌『新潮』
       
   
<冒頭>
   娘の幼児の一日にはじまる、しかしもう根拠を誰も覚えていない、「オックンチャン」という綽名。それを家族はなお棄てられないままだ。しかし、通っている私立の女子高校ではそれなりの社会生活があるのだろう、「じーや」という綽名で呼ばれはじめた娘が、英語クラブ員として学校対抗の「ディベイト」大会に出た。討論(デイベイト)には主題がある。「アジアへの経済援助」について、賛成と反対それぞれの立場にたって討論する。
<出版社のコピー>
 「現代的でかつ芸術的」という批評が、若くして出発した僕の短篇への励ましだった。いましめくくりの時のはじめに、八つの短篇を書いて、そこに映る自分を見る。切実な時代の影に、個の生の苦渋のあとは見まがいがたいが、ユーモアの微光もまんべんなくある。
 思いがけないのは、女性的なものの力の色濃さだった。遠い幼年時の自分と、それほど遠くないはずに死、また「再生」を思う自分を結んでいる。知的な経験と、森のなかの谷間の神話を、懐かしく媒介しているのも女性的なものだ。(大江健三郎)



     想像力の大翼を駆って構築
     する洵爛たる小説宇宙


   四国の森のなかの谷間を舞台に、神話的伝承に支えられて
   森を防衛する勇敢な女たち。グロテスクな性、滑稽な性の
   饗宴と笑いにはじまり、優しさの極みに至る大江文学の傑作!

<おすすめ度>
☆☆☆
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