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■大江健三郎略年譜

レヴオリユシヨナリ・ウーマン
革命女性(戯曲・シナリオ草稿)
講談社文藝文庫 
定価:1223円(税別)
頁数:452頁(文庫)
ISBN4-06--196301-5
1986年12月 『へるめす』第9号より11号まで
サブ・タイトル「劇的想像力の方へ」         
 主人公はハイジャックを行なった同士によって超法規的処置で釈放された女性。アメリカ人の初老婦人に「あなたはなにをしている人、どのような人なのですか?」と問いかけられる。そしてI am a revolutionary woman.象徴的に答えるところから始まる戯曲の草稿。
 政治的色合いの濃い作品であり、草稿とはいうものの作品としての完成度は高い。

     
<冒頭>
   十月の午後早くだが、夜明けのような曇り空のアンカレッジ国際空港。乗り継ぎ客で賑わう免
税品売場から離れた、しかし同じフロアの窓ぎわに並んだ椅子にひとり坐り、遠巻きの人びとか
ら看視されあるいは注視されながら、実際には特別あつかいはなにもない、とされているのらし
い日本人の娘に、善良な知的好奇心をあらわしていたアメリカ人の初老の婦人が、意を決して話
しかえる。
 

<出版社のコピー>
 人は死に向って年をとる、というしみじみした自己認識をもつに至った小説家が、いま自分はこのように生きている、という真撃な現場報告を提示して、1冊の濃密な本とした。「国外で日本人作家たること」「僕自身のなかの死」等、全5章の評論に、戯曲・シナリオ草稿「革命女性」200枚。長篇3部作「燃えあがる緑の木」を構想しつつある作家の“現在”の心の内奥と作家的パフォーマンスの全体像。

<おすすめ度>
☆☆☆
装幀:司 修
                 1988年5月20日発刊
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