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 ムーン・マン
月の男
講談社文芸文庫    
解説:渡辺広士
定価:874円(税別)
頁:12頁(文庫)
ISBN4-06-196114-
カバーデザイン:菊地信義 初出:1971年(昭和46年) 雑誌『新潮』11月号掲載
天皇制の問題について

 雑誌『新潮』に発表されたときは「死滅する鯨の代理人」という題名であった。それを有機的に吸収して、内包している、とは作者のコメント。

 読むときには「みずから我が涙をぬぐいたまう日」と同時に読むことをお勧めします。この二つの作品は大きくかけ離れていて、深く結びついています。

<冒頭>

      1
異様な事件だらけのこの二十世紀後半でも、ほかにそのような例はあるまいと思われるほどの、文字通り人類全体をまきこむ規模の気狂い騒ぎの恐怖を、憐れにもただひとり味わって極点まで苦しみ、ついにかれ独自の自己救済への道をあゆみはじめた一個人について僕は語りたいと思う。

<出版社のコピー>

天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に
衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう一人の作家が
魂の奥底までを支配する<天皇制>枷をうち破って
想像力駆使して放つ”狂気を孕む同時代史”の表題作。
宇宙船基地よりの逃亡男が日本の現人神による救済を
夢見る「月の男」。 − 全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説二篇。

<おすすめ度>
 ☆☆☆☆

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