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■大江健三郎略年譜

    
 治療塔惑星
講談社文庫  
解説:小谷真理
定価:629円(税別)
頁数:289頁
ISBN978-4-06-276124-6
カバー装画・デザイン:司 修 1991年11月岩波書店より刊行  
「治療塔」の続編 
 「治療塔」でのリツコと朔との間に生まれた息子のタイくんは新人類とも言うべき特殊な能力を持った子供として成長をする・・・・・・。

 「治療塔」もそうですが、題名に惹かれてSF小説と読んでしまうひとはいないと思うのですが、もしもそうであれば、がっかりしたかもしれません。SF小説ファンはそれでなくてもこまかなことにこだわりますので。あくまでも大江健三郎の一連の作品として読んでみてください。
 

<冒頭>

   1
 私がこの手紙を書いているのは、そこで生まれ・おそらく死んで行くこともできる、この惑星か
ら。その地表と海洋と循環する水がいかに多様に汚染されているにしても、やがてはそこへ自分の
肉体を形成している分子が拡散して、もう生物の気配もないほどははるかな年月ののちにはすっかり
清められるはずの、古く懐かしい惑星から。むしろ骨董品として値うちのある旧時代の万年筆とイ
ンクで。

<出版社のコピー>
 
 地球に帰還した「選ばれた者」の朔ちゃんと、残留し「落ちこぼれ」となった私との間に子供・タイくんが生まれた。しかし、地球環境の悪化はさらに進む。世界宗教、宇宙ミドリ蟹、新しい地球、予戒、地球酸素1/4供給機構、向こう側の知性体---著者初のSFである前作「治療塔」をもしのぐ圧倒的スケールの作品。
 
<おすすめ度>
 ☆☆☆★

装丁:司 修 岩波書店 ISBN4-00-001362-9
                  初出:1991年1月 雑誌『へるめす』第29号から33号まで連載  

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