コギト工房 Cogito-Kobo
若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 

■大江健三郎トップページへ


■大江健三郎 まずはこれから


■大江健三郎作品一覧へ


■大江健三郎略年譜


  
  
われらの狂気を生き延びる道を教えよ
新潮社文庫  
解説:渡辺広士
定価:552円(税別)
頁数:52頁(文庫版)
ISBN4-10-112609-7
カバー画:山下菊二 初出:1969年2月号 雑誌『新潮』掲載
'O teach us to outgrow our madness
 単行本として出版された同名の「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」では、第三部「オーデンとブレイクの詩を核とする二つの中篇」の後半作品「父よあなたはどこへ行くのか?」のさらに後半部分として扱われている。表題も「b 表」という題名となっている。
 作品としても複雑で難解。
 大江ファンの中でもプロ向きかもしれない。初心者は後回しにしてもいいと思いますが、いつかまた戻ってきてゆっくりと読んでみてください。

<冒頭>

 ある異様に肥(ふと)った男が、196*年冬、白熊の水浴する穢(きた)ないプールに投げこまれそうになり、ほとんど発狂する辛(つら)い経験をした。そのおかげで、かれはそれまで自分を束縛していたひとつの固定観念から自由になったが、いったん自由になってみると、憐(あわ)れなひとりぼっちの気分が肥った男の内部の痩(や)せた魂をなおも萎縮(いしゅく)させた。

<出版社のコピー>
 
外部からおそいかかる時代の狂気、あるいは、自分の内部から暗い過去との血のつながりにおいて、自分ひとりの存在に根ざしてあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感とそこからの解放の道を、豊かな詩的感覚と想像力で構築する。「万延元年のフットボール」から「洪水はわが魂に及び」への橋わたしをする、ひとつながりの充実した作品群である。
 

<おすすめ度>
☆☆☆☆    

Copyright Since 2004 Cogito-Kobo All rights reserved