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■大江健三郎略年譜

    
洪水はわが魂に及び 下
新潮社文庫  
解説:川本三郎
定価:514円(税別)
頁数:295頁(文庫版)
ISBN4-10-112613-5
カバー画:司修 初出:1973年9月 書下ろし
最終章へのカタルシス
 この作品では魅力的な女性伊奈子が重要な役割を占めている。知恵遅れの息子ジンとの交流が美しい。作品は終末に向かって大きな盛り上がりをみせる。前半は読みづらいが我慢をしてなんとか最終章までたどり着けば、この作品の圧倒的なパワーに心打たれるはずだ。

<冒頭>
 第十三章 「縮む男」の審判

 遠い戸外で、訓練する者らの叫び声がしていた。屋内の気温はあがり、毛布もなにもかけぬままの躰が汗ばんでいる。しかも気温とは別の、たしかな熱源が存在していて、それがさらに汗をよびおこす。
 

<出版社のコピー>
「縮む男」は処刑され、もと自衛隊員は逃亡に失敗して自爆した。現代のノアの洪水に船出した「自由航海団」は、いまや機動隊に包囲され、すべてが宙ぶらりんのまま、そのむこうに無が露出している。銃を手にした大木勇魚「樹木の魂」「鯨の魂」に向けて、最後の挨拶をおくる、すべてよし!人類の破局とその未来を黙示録的な電光のもとに浮かび上がらせて稀有の感動を呼ぶ雄編。
<おすすめ度>
   ☆☆☆★    

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