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マルゴ公妃のかくしつきスカート
講談社文芸文庫  
解説:井口時男
定価:1200円(税別)
頁数:29頁(文庫版)
ISBN4-06-196382-1
  カバーデザイン:菊地信義 初出:1992年2月号 『文学界』掲載
フランスのマルゴ公后とフィリピンからの不法残留女性とのつながり
  
 スカートのポケットに14人の愛人の心臓を入れていたというマルゴ公后の話から始まり、フィリピンから来日し各地のバーで働いている女性との出来事に大きく話は移って行く。このマリアという女性はトランクの中になにかを隠し持っている。そこに篠君というビデオ・カメラを担いで仕事をしている男が関わってくる。

 <冒頭>
  
 僕は歴史を専門的に学んだことはなく、歴史に題材をとって作品を作る小説家でもない。ところがフランス十六世紀のこまかな事柄について、時おり問い合わせを受ける。それはフランソワ・ラブレーの研究に生涯をささげられたW先生の著作集を、やはりフランス・ユマニスムが専門の学者である先輩と編集したことがあるせいだ。
 
 <出版社のコピー>
  
 
障害を持つわが子と妻との日常、そして夥しい量の読書。
 少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。
 「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものを
 なぞる過程でしだいに独特なものをつくってゆく」という
 方法意識の作家「僕」が綴る、表題作九篇の短篇小説。
 切迫した震える如き感動、時にユーモアと諧謔をたたえて
 還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。

 
 <お勧め度>
☆☆☆☆  自選短篇作品  

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