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若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 

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■大江健三郎略年譜

               
スパルタ教育
新潮社文庫  
定価:476円(税別)
頁数:31頁(文庫版)
ISBN4-10-112607-0
  カバー画:山下菊二 初出:1963年2月号 『新潮』掲載
    ”若いカメラマンとその妻に、恐怖の日常が始まった” 
  若いカメラマンはある新興宗教信者たちの生活を<狂信家たち>となづけ週刊誌に発表した。そこから始まる妊娠中の妻をも巻き込んだ恐怖の日々。”ヒカリ館”という面白い名前を持った友人が登場してくる。大江健三郎ワールドらしい世界が始まる。
 しかしこの作品は”セヴンティーン”などの発表とともに始まった右翼からの脅迫を受けての作品かと思われる。まもなく産まれる自分の子供への思いもあり、辛い作品であるが、ささやかながら救いがあるいい作品。

 <冒頭>

 冬の夜明けだった、わずかな雪がふってすぐに乾き、眠っている人間たちは、白みかかった暗闇のなかを凍てつく毛皮の獣がさっと駆けぬけていったような戸外の雪の気配だけを感じて、眠りながら身震いする、そのような夜明けだった。若いカメラマンが、夢のなかで啜り泣いていた。

 <出版社のコピー>
  60年安保以降、その大きな影響下に書かれた”現代の恐怖”にかかわる一連の作品。
 <お勧め度>
 ☆☆☆☆  

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