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■大江健三郎略年譜

1     
喝采
講談社  
解説:尾崎真理子
定価:5800円(税別)
頁数:24頁
ISBN978-4-06-509002-2
ブックデザイン 鈴木成一デザイン室 初出:1958年 雑誌「文學界」9月号掲載
大江文学 ”性的なるもの” のひとつ

  
 主人公夏男は大学生。リュシアンという40歳のフランス人男性の愛人をしている。夏男はいままでに女性との性交渉経験はない。リュシアンと夏男は満足のいく関係を続けていた。そんなところに康子という外国人を相手にしている娼婦が家政婦としてあらわれた。ある事件をきっかけにして、夏男は康子に導かれ異性との性交渉に成功する。
 夏男は康子の10年に及ぶ娼婦として暮らしぶりに共感をし、結婚することまで考え始める。しかしながら夏男の男としての機能は戻っていなかった。
 実に緻密に男色家、しかも受け身の若い男の心理を描いている。この作品は同性愛を題材にしながら、実際のところはリュシアンと康子という全く異質な人間が持つ奥深さをうまく物語としている。
 

<冒頭>

 
 文学部の建物の背後に立っている立派なマツ科の常緑喬木の暗い傍を歩いて行くと、男がふいにとびだしてかれを呼びとめた。
 

<出版社のコピー>
 
<おすすめ度>
 ☆☆☆★ 


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