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      風味絶佳
著者:山田詠美
文春文庫
解説:高橋源一郎
定価:476円+税 
ISBN978-4-16-755806-2
         デザイン:野中深雪 2005年5月刊行  2008年5月文庫にて刊行
短編の楽しみ満載

 ”風味絶佳”とはなんとも洒落た題名である。これが何を意味するのかは表紙の写真をよく見てから、
あとは歯切れのよいなんともここちより文体を楽しみながら、本を楽しんでください。
もともと短編作品を書かせるとそのうまさがきわだっていたが、”風味絶佳”によってまた一段と高みに
突き抜けたようである。いわゆるサラリーマンと言われる曖昧な職業のひとではなく、ここに出てくる人は
みんなブルーカラーである。職人というのでもなく、勿論インテリでもなく、という仕事をするひとたち。
みんなまじめに誠実に働くひとびとであるが、どこか寂しい。この寂しさはどこからくるものなのか。
ていねいに書かれた作品である。時間をかけて丁寧に読んでいきたい。
とてもいい作品に巡り会えたことを喜びたい。
この本を読んでお菓子屋さんに行ったひとはわたしだけではないだろうな・・・

 

  <冒頭>
    間食

 死体の作り方なら、小さな頃から知っていたよ、と花は言う。昼寝をしている母親の
顔に白い布巾をかけて遊んでいたのだそうだ。もうしない。若い頃の話だと、彼女は続
けて笑いをこらえる。若い頃だって、と雄太は思う。まだ、はたちを越したばかりのく
せに。
<出版社のコピー>
 
ままならない恋、
極上の6粒

デビュー20年目のマイルストーン的作品集。谷崎賞受賞
  <おすすめ度>
☆☆☆☆☆