2007年 8月号back


なんだか、太陽が顔を見せない日が続いた7月。
せめて心に太陽を、もちろん映画館でね!

 

今月の映画

 6/26~7/25までに楽しめた映画は、28本、昔の映画から今の映画まで幅広く出会えました。昔の映画には名画マーク(名)をつけました。そのことについては***今月のトピックス***もご参照ヨロシク。

<日本映画>

大日本人 
サイドカーに犬 
転校生さよならあなた
アヒルと鴨のコインロッカー 
風の中の子供(名) 
子供の四季(名)
蜂の巣の子供たち(名) 
殯の森
腑抜けども悲しみの愛を見せろ
ドルフィンブルー

 

<外国映画>

ハリウッドランド 
ダイハード4.0 
シュレック3 
ボルベール<帰郷> 
不完全なふたり 
傷だらけの男たち
アドレナリン 
街のあかり 
ナッシュビル(名) 
レッスン
ボーイ&キーチ(名) 
BIRD★SHIT(名) 
ルネッサンス
M★A★S★H(名) 
フリーダムライターズ 
わが心のジミー・ディーン(名)
ハリーポッターと不死鳥の騎士団
ルオマの初恋

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

ボルベール<帰郷>
 日常の細かい描写が積み重なって、いつか生きることの重さまで感じさせる。男性は殆ど役割を与えられない映画の中で、ぺネロペ・クルスを華にも地味にも使い切ったアルモドバル監督は見事。

 

街のあかり
 いらないものを削りきって描くカウリスマキ監督の新作。これ以上はないというほどにシンプル、なのに音楽は豊富。初めに流れたのがボルベールだったのは驚き。勿論、上の①の作品でペネロペ(吹き替えではありますが)が歌っていた曲。

 

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
いや~、面白いです、漫画的で。勿論原作は漫画です。ぞくぞく、ぞ~というのが軽く続きます。

 

次の作品も面白いです。

 

大日本人:松本人志は好きではないが、思った以上にまともです。

 

アヒルと鴨のコインロッカー:原作のアイディアがなかなか。

 

ダイハード4.0:4ではなく、4.0は? 4.5があるのか?

 

アドレナリン:馬鹿らしい話が休み無しで90分突っ走る、短さよし。

 

フリーダムライターズ:真実の物語、感動しました!!

 

 

 

 

Ⅱ 今月の懐かしい人 

 

①レッスンで最後にワルツを踊るロックを演じたロブ・ブラウンは、「小説家を見つけたら」で演じた頭のよい高校生を今も続けている。

 

②スペシャル
 大スターの子供たちが日本映画に出演中・製作中という記事を見ました。子供といってもふたりとも50歳代、日本映画というのがユニーク。


*フレッド・マックィーン:スティーブ・マックィーンの息子が「明日への遺言」に出演中。彼は弁護士だったか、いろんな職業の後、50歳過ぎに俳優に転進したとか。


*サチ・パーカー:シャーリー・マックレーンとスティーヴ・パーカー(製作者)の娘。本名はサチコ、サチコのサチです。両親(離婚してますが)が大の日本びいきで、サチも12歳までの11年間は日本に住んでいました。
スチュワーデスから転進して女優に、今回「西の魔女が死んだ」に出演中。


 



トピックス:古い映画と夫婦50割引の現在


Ⅰ 古い映画の現在

 

 今月、30本近くも見てしまったのは、ぴあフィルムフェスティバルでのロバート・アルトマン特集とシネマヴェーラでの清水宏特集のため。今月見た映画の(名)8本は総て2特集の映画。

 元々古い映画は好きではない。映画には時代性が色濃く反映されている。どんなにつまらない作品でも、今の空気が感じられる新作の方が好きだ。古い映画は、一面昔の勉強になってしまうのだ。

 1936~1948年製作の清水作品は私の生まれる前だから総て勉強だった。もちろん面白くもあったが。ロバート・アルトマンは彼がブレークした「M★A★S★H」(70)から同時代で見ている。「わが心のジミー・ディーン」以外の4本は封切り当時に見ている。だから、古い映画(既に30年以上経っているのか!)といっても勉強ではない、既に知っているのだから。


観る前の順位:「BIRD★SHIT」「ナッシュビル」「M★A★S★H」「ボーイ&キーチ」


観た後の順位:「BIRD★SHIT」「ボーイ&キーチ」「M★A★S★H」「ナッシュビル」


 何故こんな風に順序が変わったかについては、いろいろあるが、その後から今までのロバート・アルトマン作品を見ているのが大きな要因。もちろん自分が年を取ったこともある。


 ぴあフィルムフェスティバルの上映前の挨拶で、これらの作品を映画館で見ることは、少なくとも日本では今後不可能でしょうと言われた。上映権の問題だから、一面仕方がない。昔に比べて古い映画を映画館で見ることは物凄く少なくなっている。ビデオ・DVDで見ることができるようになったこと、名画座が少なくなったことが大きな要因だ。昔の映画に接する形が変わってしまったのだ。

 しかし、映画という媒体はスクリーンに写されることを前提に作られている。大きさがなければ、そこに描かれた空気を感じ取れないことも多い。
「BIRD★SHIT」で光の中に飛翔するサリー・ケラーマンなど映画館でなければ飛んでいけない。

 

 上映件という縛りがない日本映画はともかく、古い外国映画を映画館で見るにははどうしたらいいんだろうか、と思う人も少なくなってしまったなあ。

 

 

 

Ⅱ 夫婦50割引の現在

 

 6月30日は土曜日で、通常映画の封切日だった。例によって6/29(金)の夕刊には”明日封切り”の映画広告がたくさん載った。それらの広告の中に、共通で見られたのは「高校生友情プライス」、高校生3人以上なら誰でも1000円というキャンペーンだ。2008年6月30日までという期限付きで。6/29の映画広告の約半分には「夫婦50割引」も載っていた。こちらは2007年6月30日(明日だよ!)までの期限付きで。この、夫婦のどちらかが50歳以上であれば、

お一人様1000円という割引は今年の6月30日までだったのだ。夫婦50割引は当初予定の3年間の期限を2007年6月30日で迎えた。しかし、7月13日金曜日の夕刊には夫婦50割引のロゴマークが復活していた。期限の表示は無しです。
そうです、この割引は多くの人に利用していただいたということで、期限付きではなく恒常的割引としての継続が決まりました。昨年実績では全入場者数の約7%の人がこの割引を利用したそうです。1億6458万5千人の7%1152万950人の方が利用しました。この実績が評価され、60歳以上の方いつでも1000円シルバー割引と同じ様に、期限なし割引になりました。50歳以上の旦那か妻をお持ちの方、おめでとうございます。

 

 

 

Ⅲ 金曜日封切り、その後

 

 7/14朝日新聞の朝刊に「金曜夜は新作映画で 土曜日の封切りに異変」という結構大きな記事が載りました。そうか、新聞種にまでなってきたのか。

 

 それによると、今年の夏の大作では「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」、「オーシャンズ13」の2本が当初予定の土曜日から、金曜日に変更したとか。この2本、かなり前から7/21、8/11封切りと宣伝してきましたが、ここに来て繰り上げ封切りに踏み切りました。まあ、節操なくといいますか。

 

 さらに凄いのは、ネズミのシェフという「レミーのおいしいレストラン」ですね。本当の封切日は7/28(土)に対し、3日繰り上げ7/25(水)から、一部の映画館で”特別上映”とか。一部というのが全国500館で、日本映画最多スクリーンで公開された「西遊記」は461館というのですから、これは封切りといっても間違いなし。
 節操無しもここまでくると立派というか。

 

 

 

 

Ⅳ 今月の独り言

 

①「ダイハード4.0」のブルース・ウィリスには専属のシェフが付いていましたよ。最後の名前の羅列の中に出てきました。専属アシスタントとか、ドライバーは結構いますがシェフとはね。あのスタミナはそのシェフのおかげ?

 

②台湾のエドワード・ヤン監督が6/29に死去されました。「恋愛時代」が特に好きでした、モダンで。朝日新聞の記事を読むと、コンピューター技術者から転進したとのこと。享年59歳、私と同年代でした。合掌。


                         - 神谷二三夫 -


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