
2025年10月号 インド映画の今
2025年10月号 インド映画の今
やっと、少し秋らしい日がやってきた。
9月の後半だというのに猛暑日があった頃と比べれば、
まるで天国。
このまま素直に秋になってほしい。
素直な気持ちで楽しみたいのは、そう映画館!
8/26~9/25のまだまだ暑かった31日間に出会った作品は45本、
邦/洋画は15/30、洋画は旧作11本が大きい。
新作では15/19と互角に近い。
今月のベストスリー
1 遠い山なみの光
カズオ・イシグロの長編デビュー作の小説を石川慶監督が映画化。イシグロはエグゼクティブ・プロデューサーとしても名を連ねている。戦後長崎から渡英してきた母親の半生を聞き作品にしたいとする娘の会話から始まる。長崎では仲良くなった同年代の女性が娘を連れてアメリカに渡っていったという話が出る。渡英してから30年たった母と話を聞く娘、戦後長崎の母と友達の女性。娘たちを含め、戦後の厳しい状態を生き抜いてきた女性たちの話が描かれる。
2 宝島
真藤順丈の直木賞受賞の小説「宝島」の映画化。戦後の沖縄を舞台に、アメリカの占領下で必死に生きる若者たちと沖縄社会を描く大作。何しろ3時間11分の上映時間だ。この長さをだれることなく観客を引っ張り続けた映画を監督したのは大友啓史。脚本は大友と高田亮の共同。当時の沖縄を再現して描かれるドラマ、その画面から伝わる熱量がすごい。主演の妻夫木聡をはじめ、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太等の俳優陣の演技も吹っ切れている。
3 ミッシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家
ミッシェル・ルグランは2019年86才で亡くなっている。彼のドキュメンタリー映画で、さすがに若いころから活躍してきた人だけに昔の映像も豊富で、映画界に入る以前のものも多くあり見てよかった。11歳でパリ国立高等音楽院に入学20歳で卒業、シュバリエ、ブレル、グレコなどのために編曲・作曲家となり、22歳の時には自身のアルバム「アイ・ラヴ・パリ」をリリースしている。この年1954年にアンリ・ヴェルヌイユの映画「過去を持つ愛情」で映画音楽を初担当。その後ヌーヴェルヴァーグの映画人と作品を作っている。ジャック・ドゥミとの「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」で世界的に評価され、ハリウッド作品も多く手掛けた。フランスでは「城の生活」のジャン・ポール・ラプノーとも多く仕事していて、彼のインタビューも出てくる。この映画では、彼の歌うところも多く見られる。多くの歌手とも仕事をしていて、モンタン、ストライサンド、シナトラ、ベネット、スティング(インタビューも出てくる)、さらにクラシック界ではキリ・テ・カウナ等とも共演。本当に偉大な人だったと再認識。