見せよう会通信

映画はいつも今が一番おもしろい!
今月のお勧めベスト!
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すべて神谷二三夫が独自の視点で
書いているものであります
皆様が映画を楽しまれる時の
ご参考にしてください

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2025年6月号  西部劇はどうなる

 

 

五月晴れという日が比較的少なかったかな
との印象の今年の5月。
そんな時でも気分爽快になるのは、
そう、映画館!



 

4/26~5/25のゴールデンウィークを挟んだ30日間に出会った作品は49本、
邦/洋画は7/42と洋画の圧勝となった。
旧作だけでは0/18と旧作の多さがその原因だ。
なお、日本映画のMIMIは15分の短編映画。今回、今月のトピックスで紹介している短編映画特集MIRROR LIAR FILMSについて知っていただくためにリストに入れているが、本数にはカウントしていない。


 

 

  今月のベストスリー

 

 

1-1 リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界

リー・ミラーは1907年生まれのアメリカ人、1925~6年にパリで衣装、舞台美術を学んで帰国、モデルとして活躍した。1929年ヨーロッパに再度渡り、マン・レイのところに押しかけ弟子かつ愛人となったとWikipediaにある。その後も波乱の人生を送った人のようだ。映画は1937年に美術評論家のローランド・ペンローズ(のちに結婚)と出会うあたりから始まる。当時彼女はカメラマン(マン・レイの弟子です)として活躍を始めていた。写真はイギリス版『ヴォーグ』に掲載されていた。第二次大戦がはじまると従軍記者として前線へ。『ライフ』のカメラマン、デヴィッド・シャーマンと一緒に多くの取材を行う。最も有名なヒトラーの浴室で入浴している彼女の写真は、デヴィッドが撮ったものだ。この写真はこの映画のポスターでも使われている。バスタブの左端にはヒトラーの写真が置かれている。これを撮影した日、ヒトラーとエバ・ブラウンは自殺したという。
この映画を監督したのはエレン・クラス、「エターナル・サンシャイン」などで撮影をしてきた彼女の初めての監督作品だ。映画の公式サイトではエレン・クラスは製作とされているが、監督が正しい。

2-1 クィアQUEER

ウィリアム・バロウズの未完と言われる同名小説からの映画化。1950年代のメキシコシティが舞台。そこで恋に落ちる男が主人公、相手は若い男だ。題名そのままにクィアな恋を描いたのはルカ・グァダニーノ監督、2018年に日本で公開された「君の名前で僕を呼んで」が同じように恋に落ちる男たちを描いていた。それにしても随分繊細な表現には感心した。

 

2-2 ノスフェラトゥ
ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を非公式に映画化したF・W・ムルナウのサイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」のリメイク。幼いころにムルナウ作品に魅せられたというロバート・エガースが脚本・監督で手掛けた。さすがに丁寧な映像化で吸血鬼の世界をよみがえらせている。

 

3-1 アブラハム渓谷 完全版

2015年に106歳で亡くなったマノエル・デ・オリヴェイラ監督の1993年の作品で、代表作でもある。1998年に監督自らが再編集し15分の未公開シーンを追加して完全版とした作品。日本では以前のものが1994年に公開されているが、完全版は初めてなので新作扱いとした。フロベールの「ボヴァリー夫人」をポルトガルに置き換えて書かれた小説から、オリヴェイラ監督自身が脚本を書き、監督している。完全版さえ4半世紀前の作品で、時代は随分速いスピードで変わっていると感じさせるという意味で、古さを感じさせる作品ではあった。

 

3-2 かくかくしかじか

東村アキコの自伝的漫画の実写映画化。現在の漫画の知識は全くないので心配したが、これはそんなこと関係なく楽しめる映画だった。脚本を原作者の東村アキコ(伊達さんと共同)が書き、原作の持つ大事な部分をなくすことなく描いている。監督は多くのミュージックビデオやテレビドラマの演出を手掛け、カメラマンとして写真集も出している関和亮で、邪魔をすることのない素直な演出で楽しめた。

 



 

 

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