2008年 11月号back

今年もついに11月号、年内残るはあと一号のみ、
良い年末に向かって映画を見まくろう!
11/1(土)は映画1000円日です。


 

今月の映画

 9/26~10/25の間に楽しんだ映画は22本、日本映画が好調を維持、外国映画にも面白いものがそろって流石芸術の秋。



<日本映画>

イキガミ
石内尋常高等小学校 花は散れども 
容疑者Xの献身
三本木農業高校馬術部
トウキョウソナタ 
しあわせのかおり

 

<外国映画>

ヨコヅナマドンナ   
女工哀歌(エレジー)
アイアンマン
最後の初恋 
宮廷画家ゴヤは見た 
ベルリン天使の詩(旧)
僕らのミライヘ逆回転 
ゲットスマート 
私がクマにキレた理由
ワイルドバレット 
その土曜日 7時58分
PSアイラヴユー
イーグルアイ 
マルタのやさしい刺繍
ボーダータウン報道sれない殺人者
ブーリン家の姉妹

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

①トウキョウソナタ
 片仮名の題名は脚本家が外国人だからという訳でもないだろうが、現代日本の家族の在り方を描いた作品は微妙である。少し、一般的なテーゼに集約した感もありますが、家族の中で誰もが孤独、ばらばらの方向を向いているのが、最後、子供の演奏で救われる。

 

②その土曜日 7時58分
 平凡な俗物的な兄を演じるフィリップ・シーモア・ホフマンの、安易な生き方、考え方がものすごくリアルである。どつぼにどんどんはまっていく兄弟ではある。弟はまだ救いがあるが兄にはない。シドニー・ルメットの冷徹な目が怖いほど。

 

③しあわせのかおり
 金沢の小上海飯店を舞台に語られるドラマもいいが、何せ、美味しそうな中華料理の数々がたまらない。主人公貴子が仕事を忘れて食べに通ってしまう場面の、中谷美紀のうれしそうな顔。去年の今頃は食に関する映画が多かった(昨年11月号)が、久しぶりの食の映画、見せてくれます。

 

 

次点:ブーリン家の姉妹
 歴史で、ヘンリー8世とアン・ブリンを勉強したのははるか昔、アンにはメアリーという妹がいてなどとは少しも知らなかった。上の階級を目指し娘二人を利用する父親や術策に長けた伯父、ヘンリー8世や王妃キャサリン、その他の貴族たち、過激で濃いドラマが展開されます。

 


 次もオススメですよ~っ。

 

容疑者Xの献身:素晴らしい原作をそれなりに画面に定着。


アイアンマン:アメコミの映画化と侮るなかれ、超リアルな設定の上に個性的なキャラクター。


最後の初恋:ダイアン・レイン、最近いいですね。


宮廷画家ゴヤは見た:ゴヤとあの時代について勉強になりました。


僕らのミライヘ逆回転:手作りリメイクが200本というのがなんとも楽しい、映画ファンの映画。


私がクマにキレた理由:アメリカセレブの生き方が垣間見られて面白い。


イーグルアイ:電脳が万能か?という疑問が消えないご都合主義映画。携帯を持っていないことでほっとする。


ボーダータウン報道されない殺人者:アメリカ国境近くのメキシコの街フアレスでの信じられない出来事。

 

 

 

 

Ⅱ 今月の懐かしい人

 

ミア・ファーロー
 僕らのミライヘ逆回転でビデオ店顧客の一人を演じていたミア・ファーロー古くはジョンとメリー、ローズマリーの赤ちゃんから、チョイ昔は(元)夫ウディ・アレンの作品の数々まで、いつもフワフワ感の女性を演じてきた彼女は久しぶりにそのフワフワ感を見せてくれる。

 

 

 

 

Ⅲ 今月のスマート

 

※ゲットスマート
 007シリーズの成功の後、アメリカのTV界でも諜報員ものが流行った。
最大の成功はナポレオンソロでTV→映画にもなった。
そんな中でスパイパロディをしていたのが「それ行けスマート」だった。
結構泥臭い馬鹿をしていて笑った記憶がぼんやりある。

 

 調べてみると1965年TVシリーズは、メル・ブルックス(プロデューサーズ)とかバック・ヘンリー(卒業)がかかわっていた。今回映画化された「ゲットスマート」のクレジットにも彼ら二人の名前はあった。まあ、原作者的なものだろうが。

 今回の主役スティーヴ・カレルは細面の端正顔のコメディアン。なかなかいい味を出す人である。今回の映画はこのスティーヴ・カレルの持ち味に合わせられている。端正顔での落差の笑いがある。持ち味はスマートである。このスマートさが作り手にも影響したのか、記憶にあった泥臭さが、ドタバタ的な笑いがなかった。ちょっと寂しい。

 

 

 

 

Ⅳ 今月のグローバリゼーション

 

 グローバリゼーションの名の下に、人件費の安い国での搾取が行われたが、その2つの事例を映画で知ることができた。一つは中国の「女工哀歌(エレジー)」で、正に女工哀史そのままの姿が映し出される。これが共産主義の国だとは思われない。
 もう一つがメキシコを舞台にした「ボーダータウン報道されない殺人者」こちらも周辺の田舎からフアレスに集められた労働者たちの姿が生々しく描かれる。前者はドキュメンタリー、後者は実事件を題材にしたフィクションという違いはあるもののどちらもこうした国で行われている労働条件の厳しさが鮮明だ。これらの工場に依頼しているのは、もちろんイギリスや、アメリカなどの先進国であるのも描かれる。


 



今月のトピックス:マルタの力 他 

 

1.マルタの力 

 

(マルタ島の蚊ではありません、ちからです)

 10/22は水曜日だった。
最近水曜日は昼間であっても混むことがある、もちろん映画館が。ほとんどの劇場でレディースデイを実施していることが知れ渡り、時間の取れる女性が押し寄せる場合があるのだ。

 この日マンションの排水管清掃が各戸であり、その終了を待ってから銀座の映画館シネスイッチに出かけた。
 前売り券を買ってから劇場に着いたのは上映開始15分前の14:15。シネスイッチは珍しくレディースデイを毎週金曜日(900円)にしている。このことはそれほど知られていないだろうが、今日は女性も安くない、いずれにしてもそれほどは混まないだろうと思いつつ。
 入口で”2階席は満員です、1階へお越しください”やばい、1階席に行ってみると空席はあと少しという状況だ。この映画館は従業員の方が場内でいつも空席案内をしているが、今日は1人ではなく2人でしている。
 やっと、後ろから2番目の一番端に席を確保して場内を見回してみると、95%以上が女性で占められていた。
 実際、満席の場内で気がついた男性は私の他に2人しかいなかった。こうなると私の"何故"感覚が目を覚ます。どうしてこんな平日の昼間に、それほど話題になったとも思えないこの作品にこれほど女性が集まるのか?作品は「マルタのやさしい刺繍」、夫を亡くした80歳のマルタがランジェリーショップを成功させるというスイス映画だ。
 皆さん知らないですよね、有名じゃないんだから。こうなると、この状況の原因を突き止めたくなってきた。幸いというか、当然というか、隣は女性観客、他の方々と同じようなお歳の女性だ。赤の他人に突然声をかけて変に思われないよう、立ち居振る舞い、発音、声色に気をつけて明るく声をかけてみる。
”こんなに女性で混んでいるのはなぜでしょうかね?何か話題になりましたか?”はずれでしたこの方は”予告編を見て面白そうだったから"とごく普通の回答。

 まさか、ピアのアンケート係員みたいにいろんな人に聞くわけにもいかず、それ以降はおとなしくしていたのだが、何故なんでしょうかね、あの混み方は。何か、この作品について特別な情報をお持ちの方は教えてください。

帰り際、チケット売り場で女性の二人連れが”えっ、今日はレディースデイじゃないの?”

 

 

 


2.偉大なスターの死

 

 日・米の偉大な俳優お二人が亡くなった。
 ポール・ニューマンと緒方拳。
 演技の質や、持っているパーソナリティに共通項があるわけではないが、スター、俳優として強い個性を持っていた。いかにもアメリカ的な明るさの裏に着実性でもってしなやかに時代を超えて生き延びていたポール・ニューマン。
若いころの鬼気迫るほどの熱さから不思議な透明感も見せて最後まで演技者として打ち込んでいた緒方拳。共に時代を代表するスターであり、俳優だった。

我々に夢・希望を与えてくれたお二人、ありがとう。ご冥福をお祈りします。

 

 

 


3.エコカー プリウス

 

 最近多くの外国映画に日本車が出てくる。
目につくのはLEXUSだろうか。
以前であればベンツ等が出てくる場面でレクサスが出てくるのは、日本人としては少しうれしい。
 もうひとつよく見かけるのがプリウスである。
地球にやさしいということで、ディカプリオがCMにも登場していましたね。

「イーグルアイ」のクレジットを見ていたらWoman in Priusというのが出てきた。
 プリウスも出世したものだ。キャデラックの女みたいなものでしょ。
クレジットに現れた初の日本車ではないか?残念なのは、その場面を一向に思い出せないことだ。

 

 

 


4.北京オリンピック映画

 

 時の経つのは早い。
あの派手な北京オリンピックがはるか昔のことに思える。あの時は、この通信でもオリンピック映画特集などをしたのだったなあ。北京オリンピックに関する映画は作られたらしい。
Dream Weavers - Beijng 2008
 というタイトルで、様々な競技の五輪候補を追いかけたドキュメンタリーとあるから、純然たる五輪映画ではないようだ。(あくまで推測)来年のアカデミー賞外国語映画賞の中国代表になったとか。監督は、チャン・イーモウではありません。

 


 では、また来月。

 




                         - 神谷二三夫 -


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