寒く、冬らしくもなった今年の年末、
時の過ぎる速さを確認する時期ですね。
何故かせわしなく過ごしてしまう師走の日々、
ゆっくり落ち着けるのは、
そう、映画館!
11/26~12/25の映画の日(12/1)を含む30日間に出会えた映画は21本、
さすが師走、今年一番の少ない本数となりました。
お正月映画もかなり含まれています。
寄生獣
The Next Generationパトレイバー 第6章
バンクーバーの朝日
(古) 家庭日記
大根と人参
白夜のタンゴ
(Mittosommernachtstango /
Midsummer Nights Tango)
馬々と人間たち
(Of Horses and Men)
フューリー
(Fury)
TATSUMIマンガに革命を起こした男
(Tatsumi)
チェイス
(Dhoom 3)
ストックホルムでワルツを
(Monica Z)
ホビット 決戦のゆくえ
(The Hobbit:TheBattle of The Five Armies)
おやすみなさいを言いたくて
(Tusen Ganger God Natt /
A Thousand Times GoodNight)
ゴーンガール
(Gone Girl)
神は死んだのか
(God’s Not Dead)
自由が丘で
(Hill of Freedom)
イロイロ ぬくもりの記憶
(Ilo Ilo)
毛皮のビーナス
(La Venus a La Fourrure /Venus in Fur)
ニューヨークの巴里夫
(Casse-Tete Chinois / Chinese Puzzle)、
暮れ逢い
(UnePromesse / A Promise)
ビリー・エリオット ミュージカルライブ リトル・ダンサー
(Billy Elliot TheMusical)
①白夜のタンゴ
昔からタンゴのリズムは好きでした、緊迫感と艶やかな音色が。
アルゼンチンのタンゴ音楽家が、タンゴのフィンランド起源説をチェックしにフィンランドを旅する作品にはタンゴの歌が常に流れていて心躍ります。タンゴという音楽が心地よく流れるゆったりした映画、お勧めします。
②ホビット 決戦のゆくえ
「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚となる「ホビットの冒険」3部作の最終作、決戦のゆくえがやってきました。ロード…と同じ種類の感動を呼び起こす力強い作品。
③ゴーンガール
下世話なTVのニュースショーのような内容と言ってしまう方が分かりやすいかも。それにしても、彼女のエネルギー凄いです、感心します。失踪女性という題名も凄いですね、直截で。
特別賞:ビリー・エリオット ミュージカルライブ リトル・ダンサー
映画「リトル・ダンサー」からロンドンで2005年に舞台ミュージカルとなり、ニューヨークでも成功した「ビリー・エリオット」。
9/28にロンドンのヴィクトリア・パレス劇場から世界に配信されたライブ映像を映画にしたもの。
映画も舞台もスティーヴン・ダルトリーが監督・演出したもので、この映画の初めに彼が舞台に登場して挨拶をする。ニューヨークで舞台を見た時、映画よりも父親たちの炭鉱労働者のストライキが強く出ていると感じたが、今回映画を見てその意味もよりよく理解でき良かった。
9年前の初演時にビリーを演じたリアム・ムーアが成長して今はマシュー・ボーンの「白鳥の湖」に出演していると紹介され、今回のビリーを演じたエリオット・ハンナと一緒に踊るのは感動的だ。ラストでは初演以来ビリーを演じた27人が舞台で踊るという豪華なプレゼントつきだった。
面白い作品はほかにも。
●馬々と人間たち:アイスランドが舞台の映画と聞いただけでも驚きなのに、描かれる内容がさらにユニーク 。
●寄生獣:漫画を原作とする人間を食い物にする寄生獣のお話は、変種の宇宙物のよう。今回は前編で、後篇は4月の公開。
●フューリー:最近は最新鋭の武器を手にしたアフガニスタンやイラクでの戦争映画が増えていて、なんだか久しぶりに2次大戦の戦車戦を見た。あの中で生活しているみたいなのに感心。
●TATSUMIマンガに革命を起こした男:辰巳ヨシヒロという漫画家は名前と絵柄は知っていたが、日本でもそれほどにメジャーではないこの漫画家についての作品を作ったのはシンガポールの監督というのが驚き。しかも内容が濃い。凄いです。
●チェイス:インド映画ながら、舞台はシカゴ。まるでインド映画の世界戦略のように、誰が見ても分かりやすく楽しめるような作品作り。インド映画の力は着実にアップ。
●ストックホルムでワルツを:主人公はモニカ・ゼッタールンド、スウェーデンのジャズ歌手。彼女の伝記映画で、まるで昔の日本の歌謡映画のよう。山あり谷ありの人生もね。
●おやすみなさいを言いたくて:女性報道写真家を主人公に、夫、娘二人との関係をリアルに描いた作品。確かに、彼女の立場で戦場に行くのは凄いことです。
●イロイロ ぬくもりの記憶:シンガポールの家庭にやってきたフィリピン人のお手伝いさん、なんだか、本音丸出しの庶民生活が描かれていて面白い。
●毛皮のビーナス:19世紀だったか、マゾの語源となったマゾッホの自伝的小説毛皮のビーナス、その舞台化ののためのオーディションを題材にした、ロマン・ポランスキー監督の意欲作。
●ニューヨークの巴里夫:2001年の「スパニッシュ・アパートメント」の続々編、3部作の最終作。原題の中国式パズルのように人物が錯綜しています。前の作品を知っていればより楽しめます。
●アキ・カウリスマキ監督が、いかつい顔で登場し“タンゴはフィンランドで生まれたものなんだ”の発言で始まる「白夜のタンゴ」は、まさにユニーク。カウリスマキはこのためだけに登場し、監督はヴィヴィアン・ブルーメンシェインという女性。
●「馬々と人間たち」は伊達男が騎乗している白い愛馬に、別の黒い馬が後ろから馬乗りになって交尾しているという衝撃的かつ面白い場面には、度肝を抜かれるが、それと同じような衝撃的エピソードがいくつも出てきて、目が離せない。
●ひいきにしていた「The New Generationパトレイバー」シリーズは、今回の第6章で初めて、私にとってはつまらないものとなってしまった。主演の真野恵里菜のアイドル路線のドラマ作りが、面白くなかったのだ。あまりに月並み。次は最終の第7章が1/10から。ちょっと心配。
●神は存在しないとする大学の講義で、無神論者の教授とキリストを信じる学生の対決という面白い出だしの「神は死んだのか」は最後まで見ると、キリスト教のプロパガンダ映画となっていた。周到に作られた脚本で初めはちょっと期待するが、化けの皮がはがれてみるとあまりに露骨。
●自由が丘8丁目というソウルにあるカフェが舞台の「自由が丘で」は、韓国の恋愛映画の旗手、ホン・サンス監督のゆっくりした描き方が心地よい。
●「バンクーバーの朝日」はフジTV開局55周年記念作品らしい。石井裕也監督だが、「舟を編む」以来、一流監督のようになってしまい、いつもそれらしい作り。31歳にしては、いやにきちんとした画面をゆっくりのリズムで丁寧であるかのように撮っている。本当にこんなふうにしたいのかと思うほど。私にとっては、期待していた監督だけにちょっと残念。
●ロマン・ポランスキー監督は80才になるが、最近の作品の出来栄えは素晴らしい。「毛皮のビーナス」は、脚本家の男性とオーディションにやってきた女優の二人だけのお話だが、二人のやり取りがテンション高く描かれる。女優に扮するのはエマニュエル・セニエ、現ポランスキー夫人だ。脚本家はマチュー・アマルリックが演じているが、ロマンスキーに顔が似ている。
●映画の日本題名はできれば日本語の方がいいと思っているが、「暮れ逢い」というのはどうなんでしょうか?勿論、ない言葉でもそれなりに状況を想像させるものであればいいと思うのだが、この「暮れ逢い」って、想像が凄く難しいと思う。“くれ”という語感が良くない気がする。女主人公がいかにもな行動をするので、あまり共感できないという気もした。
今年の会計年度も昨年と同じ、2013/12/26~2014/12/25の1年間。
結果は次のようになりました。
期間: 2013/12/26 ~ 2014/12/25
支出額: 322370円
映画本数: 359本
1本当たり金額: 898円
今年度は途中に消費税の3%アップがあり、映画料金のうち大人料金は1800円で変更はありませんでしたが、シニア料金は100円の値上げで1100円になった映画館がほとんどという状況でした。この値上げは一部足並みがそろっていず、シニア1200円になったところもあれば、1000円のままというところもありました。
また、会員制度がある映画館(チェーン)では会員シニア料金が1000円(通常シニアは1100円)という映画館もありました。
ということで、シニア料金使用の私にしてみれば、100円弱の値上がりも仕方がないというところです。
今年の1本当たり898円は、昨年の857円から41円のアップとなりました。仕方がありません。
予想よりは低かったといえますが、私がよく見るユナイテッドシネマは、会員シニア料金は1000円なのでそれが大きく寄与したのでしょう。
本数はもう少しで毎日1本の365本にあと少しというところ。お正月にお届けする2014年のカレンダーイヤー集計で、365本に行くかどうかもちょっと微妙で、というかかなり難しい状況です。
今月は本数が少なかったものの、いつにもまして各国の映画が見られました。フィンランド、アイスランド、スウェーデンの北欧勢に、シンガポール(2本も)、インド、韓国とアジア勢ががんばり、最近好調なフランス(3本)、ハリウッド(3本)とバラエティに富んでいました。
中では、やはり北欧の一つ違う時の流れが面白かったです。アルゼンチンの3人組が旅をするフィン ランドのぬくもりのあるゆったリズム、人間の情熱も、馬の本能も他の地域とは違うのではないかと感じさせたアイスランドなど、新鮮な驚きでした。
こんなに様々な世界の映画が見られる中、日本映画のバラエティがいまひとつなのが気になります。
昨日、12/24はクリスマス・イヴとはいえ水曜日の平日だった。
その昼間の時間、13:45からの「マップ・トゥ・ザ・スターズ」を見に出かけた。この題名を知っている人が、見せよう会通信を読んでいる方の中に何人いるだろうか?
監督デヴィッド・クローネンバーグは昔から上手い人ではあったが、最近の上手さは尋常ではないと知っている人がどれくらいいるだろうか?映画館は新宿武蔵野館3で収容人員は84席と小さいのだが、まあ、満員になることはないだろうと高をくくって出かけたのだ。
映画館に着いたのは13:30だったが、席はお立見ですと言われた。武蔵野館は1、2、3共に自由席でお立見ありの劇場だ。112分の映画でそれほど長くはないから普通であれば立ち見で見るを選ぶのだが、午前中にテニスをした疲れがあり、仕方なくあきらめた。
興行は水物とは昔から言われていて、今も有効な言葉だろう。何がヒットするか分からないということだ。
この映画が平日昼間に満員になるとは思わなかった。11月に行われた東京フィルメックスでも上映された作品だが、フィルメックス自体がそれほどメジャーとは思われない。
この作品で映画館を満員にしてしまう東京の観客は、一面侮れないなあと再認識した次第。人口が多いということは、たとえ割合(この映画を知っている人の)が低くても、ある程度の人は集まるということですね。
忘れた頃に、侮れない東京の観客に負けている。
年末から2月にかけて、毎月、美術館の映画が公開される。
12月20日~:みんなのアムステルダム国立美術館へ (渋谷ユーロスペース)
1月17日~:ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 (Bunkamura ル・シネマ)
2月(日にち未定)~:ヴァチカン美術館 天国への入り口 4K3D (銀座シネスイッチ)
美術館映画というジャンルがあるわけではない。偶然集まってきたんでしょうね、類が友を呼んで。いずれも世界的に有名な美術館です。
中で、アムステルダムの国立美術館は2004~2013年の10年間、改修工事のため閉館していました。予定では2008年に再オープンでしたが、いろいろもめごとがあり閉館が5年も延長されたのです。その間、その騒動をまとめた映画ができました。「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」(2008年製作)が日本では2010年8月に公開されました。
現在公開中の「みんなのアムステルダム国立美術館へ」はその続編のはずですよね。
監督は2作ともウケ・ホーヘンダイクです。休館中に2本も映画を作ってしまうオランダの底力には感心です。
今月はここまで。
元旦には新年特別号をお送りします。