2018年 11月号back

秋らしくなったら下りは早い。急に寒くなってきた。
でも、でも、台風も発生している。
う~む、今年の天候はどうなっているんだ。
迷いが生じたとき訪れたい場所がある。
そう、それは映画館!

 

 

 

 

 

今月の映画

 

9/26~10/25の安田純平さん解放を含む30日間に出会った作品は41本、
日本映画もかなり頑張った。
今回仮のベスト1に選んだのは「PASSION」だが、
この作品は一般ロードショー上映はされていないし、新作でもない。
2008年に濱口竜介監督の東京芸術大学大学院映像研究科修了作品として撮られたものだ。
しかし、今まで見る機会がほぼなかった。
先月号で書いた通り、濱口監督で一般公開されたのは「ハッピーアワー」が初めてだ。

 


 



<日本映画>

西北西 
パパはわるものチャンピオン 
散り椿 
日日是好日 
食べる女 
教誨師 
止められるか,俺たちを 
<特集上映 濱口竜介アーリー・ワークス>
PASSION(旧)
<映画は大映、ヴェーラも大映>
三人の顔役(旧) 
座頭市地獄旅(旧) 
泥棒番付(旧) 
玄海遊侠伝 破れかぶれ(旧)  
<伴淳三郎と三木のり平>
ジャズ娘乾杯(旧)
駅前旅館(旧)
ちゃっきり金太(旧)
ふりむいた花嫁(旧)

太陽の墓場(旧)

 

 

<外国映画>

ホスティル
  (Hostile) 
運命は踊る
  (Foxtrot) 
クレイジー・リッチ
  (Crazy Rich Asians) 
かごの中の瞳
  (All I See is You) 
クワイエット・プレイス
  (A Quiet Place) 
バッド・ジーニアス 危険な天才たち
  ( Bad Genius) 
リグレッション
  (Regression) 
イコライザー2
  (The Equalizer 2) 
ルイスと不思議の時計
  (The House with A Clock in Its Wall) 
バーバラと心の巨人
  (I Kill Giants) 
デス・ウィッシュ
  (Death Wish) 
ピッチ・パーフェクト ラストステージ
  (Pitch Perfect 3) 
エンジェル,見えない恋人
  (Mon Ange / Angel) 
赤毛のアン 初恋
  (L.M.Montgomery’s Anne of Green Gables:

  The Good Stars) 
アンダー・ザ・シルバーレイク
  (Under The Silver Lake) 
LBJ ケネディの意志を継いだ男
  (LBJ) 
ブレイン・ゲーム
  (Solace)
2001年 宇宙の旅(旧)
  (2001:A Space Odyssey) 
<イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018>
ある個人的な問題―レインボウ(旧)
  (Una Quetione Privata) 
イタリア式離婚狂想曲(旧)
  (Divorzio All’Itariana) 
ナポリの饗宴(旧)
  (Carosello Napoletano) 
狂った夜(旧)

  (La Notte Brava) 
愛の果てへの旅(旧)
  (Le Conseguenze dell’Amore) 
ゼロ地帯(旧)

  (Kapo)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

 

今月のベスト1には一般公開されていず、更に旧作でもある「PASSION」を選んだが、仮という事で( )を付けている。

 

 

(① PASSION
今年「寝ても覚めても」で初めて商業映画を監督した濱口雄介監督の、2008年東京芸術大学大学院映像研究科の卒業制作作品。複数のカップルの間で関係が変化していく様が描かれる集団劇、「寝ても…」と同じく、人の表情の微妙な変化をしっかり画面に定着している。これを見ていると、「寝ても…」がいかに洗練されてきたかも分かる。
濱口竜介アーリー・ワークスのアンコールが11/10~16にイメージフォーラムで開催されます。「PASSION」は11/12の12:20~と11/15の18:55~に上映されます。

 

②-1 アンダー・ザ・シルバーレイク
映画全体から立ち上る怪しい雰囲気は久しぶりに味わった。分からないことも多いのだが、その不明ぶりが見る者を誘う。80年代後半から2000年代の初めまで、西海岸のとある町で起こる不思議な事件を描き続けたデヴィッド・リンチ作品のような肌触り。いかにもDVD時代らしく、話の運びが早く、物語にも細かい枝葉が多くなっているという違いはあるが。44歳のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の3作目だ。

 

②-2 日日是好日
かつて花嫁修業の一つと考えられていた茶道は今どうなっているのか、男の私にはよく分からない。今でも茶道を習う人は多いのか?主人公は20歳の時、母に「お茶でも習ったら」といわれ、従妹にも誘われてお師匠さんのところに通うことに。その後24年に渡って、裏側に彼女の人生も少し見せながら、あくまで茶道にこだわって、そのペースで作ったのが成功している。日本の文化を知るうえで最適かもと実感。子供の頃おじさんの家に行くと、いつも抹茶を点てて飲ませられたのだが、(子供には)美味しくなかったなぁ。

 

③-1 運命は踊る
イスラエルのサミュエル・マオズ監督の長編第2作は前哨基地の検問所で兵役についている息子と両親をめぐり、3部形式で作られたスタイリッシュな映画。監督の美的センスを感じさせる画面を堪能、皮肉で不条理な物語展開も良い。

 

③-2 クワイエット・プレイス
エミリー・ブラントの夫で映画の中でも夫役を演じているジョン・クラシンスキーが監督している。“音を立てたら、即死”と言うキャッチから来るお騒がせ映画かと思いきや、静かに(台詞少なく、当たり前か?)落ち着いた映画で感心。

 

③-3  LBJ ケネディの意志を継いだ男
ケネディから大統領を引き継いだジョンソンをじっくり描いた作品は、テキサス出身の政治家ジョンソンの在り方を教えてくれる。外見の良いケネディに比べ実力で勝負といったLBJのことを知ることができた。「スタンド・バイ・ミー」「恋人たちの予感」などのロブ・ライナー監督が久しぶりに本領発揮。LBJ役のウディ・ハレルソンも頑張っていた。

 

 

 

 

おもしろい作品は他にも!お楽しみください。


ホスティル:伝染病によって多くの人間が死亡し、感染しても生き残った人間もゾンビのような異物になっている世界で、主人公の女性は荒野の中で一人戦う時を過ごし、最後に気づいたのは…。舞台を限定することにより、きっちりスリリングなスリラーになった。

 

パパはわるものチャンピオン:プロレスで悪役を演じるパパを巡る物語も魅力だが、ロケ地が有明、豊洲地区で豊洲ららぽーと前の海岸などが出てきて、地元民の私にはインパクト。

 

バッド・ジーニアス 危険な天才たち:中国で起こったカンニング騒動からヒントを得て作られたタイ映画。天才たちの活躍ぶりにドキドキ、時代が違うと驚かされる。天才女子高生の父親役は、最近「ポップ・アイ」で主演のタネート・ワラークンヌクロ、再び良い味。

 

リグレッション:ハリポタシリーズのエマ・ワトソン主演withイーサン・ホークで2015年に作られた映画は、スペイン人のアレハンドロ・アメナーバル(「アザーズ」)の作品。実話にヒントを得てアメリカ社会の暗い部分がサスペンスフルに描かれる。

 

バーバラと心の巨人:人間の心の動きは不思議だ。バーバラは最近巨人が出没し、街を守るために一人で様々な兵器を考案しその襲撃に備えているのだが…。母親代わりの姉、学校に新しくやってきた生徒の感情面に心を砕く先生などの心配をよそに、彼女の行動はどんどん過激になっていく。

 

止められるか、おれたちを:若松孝二監督といえばピンク映画で時代を駆け抜けた人。その若松プロに飛び込み助監督を目指した女性、吉積めぐみを描く白石和彌監督作品。当時、日本映画は見ていなかった私でも知っている足立正生、大和屋竺、荒井晴彦など若松プロ関係者に加え、大島渚、赤塚不二夫まで登場する青春劇。

 

デス・ウィッシュ:チャールズ・ブロンソン主演で1974年に作られた「狼よさらば」のリメイク。今回はブルース・ウィリス主演、久しぶりにいかにも彼らしい役だ。家に銃はなく、ガン初心者という設定がこの手の作品にしては面白い。

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>

2つの特集で楽しみました。


◇渋谷シネマヴェーラ “映画は大映、ヴェーラも大映”
この特集で見た3本の勝新太郎主演作(「座頭市地獄旅」「泥棒番付」「玄海遊侠伝 破れかぶれ」)はいずれも彼の魅力を手堅く出していて、見ていて楽しくなる作品だが、それにもまして強い印象を残したのは「三人の顔役」だった。長谷川一夫がイメージをガラッと変え、脱獄した元組長を、ハードに、華やかに演じている。今月のトークショーも参照ください。


◇神保町シアター “伴淳三郎と三木のり平“
伴淳三郎の4本(「ジャズ娘乾杯」「駅前旅館」「ふりむいた花嫁」「太陽の墓場」)を見ると、彼の芸の幅広さがよく分かる。喜劇人としてばかりでなく、人情劇も上手く、後の「飢餓海峡」につながる演技も見せる。改めてその偉大さを知った。

 

 

 

<外国映画>

恵比寿ガーデンシネマの“イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2018”で強い印象を残した4本。

   
イタリア式離婚狂想曲:「鉄道員」「刑事」などで日本人の涙を絞っていたピエトロ・ジェルミ監督が、コメディ路線にかじを切った作品。カソリックの国イタリアを舞台の艶笑劇。


狂った夜:監督はマウロ・ボロニーニ(わが青春のフロレンス)、脚本がピエル・パオロ・パゾリーニ(テオレマ)の1959年の作品。当時の若者の奔放な生き方を描く。


愛の果てへの旅:現在のイタリア映画界をけん引するパオロ・ソレンティーノの2004年の作品。何より流麗な画面に引き付けられる。しかも含みが多く、惑わされる。


ゼロ地帯:後に「アルジェの戦い」を作ったジッロ・ポンテコルヴォの1960年の作品はナチスの強制収容所を舞台にしている。スーザン・ストラスバーグが「女優志願」の後に主演。

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

10/06 三人の顔役 渋谷シネマヴェーラ 杉田康
杉田康(すぎたこう)は大映専属で140本近くの作品で脇役を演じてきた。この作品では川口浩の子分役を演じている。現在88歳、1960年代末に引退している。
「三人の顔役」は長谷川一夫主演の現代劇、大映東京撮影所で作られた1960年の作品だ。1951年から大映専属となった長谷川は50年代は大映京都撮影所で時代劇を作り続けていた。この現代劇を東京で作るにあたって、大映社長の永田雅一が長谷川にどんな作品を作りたいかと聞いたという。それに対し“ジャン・ギャバンのような作品を作りたい”と答えたという。この作品では脱獄してきた親分を演じているが、真実味を出すためにかつて映画会社の移籍により顔を切られた時の傷跡を、それまでは時代劇という事もあり白塗りの顔で隠してきたものを、あえて出す決意をしたという。
杉田は勝新太郎の座頭市シリーズにも何本かに出演している。勝の運動神経は圧倒的だったという。それがあってあの座頭市の殺陣が可能になったのだ。座頭市を演じる時は眼を白眼にしているが、カメラに対して後ろ向きの時は眼をばっちり開けている。動いてカメラに向く時はすぐ白眼に変えていたという。これも運動神経のなせる業だ。

 

 

10/17 玄海遊侠伝 破れかぶれ 渋谷シネマヴェーラ 南美川洋子
珍しく上映前のトークショーが急に組まれたようだ。そのため11:00~の上映に対し、トークショーは10:40から20分行われた。
南美川洋子は1968年に大映の新人としてデビュー、1971年に結婚を理由に引退している。大映最後の清純派の美人女優といわれたようだ。残念ながら私は知らない人だった。
彼女は現在67歳、芸能活動はしていないようだが2016年にかつての大映宣伝部社員のブログに近影が登場、それ以来今回のようなトークショーなどに登場しているようだ。そういえば、ラピュタ阿佐ヶ谷の「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第87弾 南美川洋子」という番組のチラシを見たことを思い出した。調べると2017年10~12月に上映されていた。

トークショーの中で引退の理由を説明していた。大映の清純派として育てられた彼女はある時台本を渡され、しっかり検討してくれと言われたという。よく読んでみると、脱ぐ場面があることが分かった。悩みつつも、やはり自分は清純派として生きたいと考え、引退することにしたというのだ。今から47年も前の話だ。時代は大きく変わろうとしていた頃で、脱ぐことに抵抗感のある女優も結構いただろう。その最後の世代とも思える。

 

 

 

 

Ⅳ  今月の惹句(じゃっく)

 

9/26~10/25の間に封切りされた作品の惹句の中から、今月は10/06に封切られた作品の中から“未来”について語られた3作品の惹句。

 

どちらが先に未来を変える!?ブレイン・ゲーム


過去には戻れない、けれど未来は変えられる。LBJ ケネディの遺志を継いだ男


過去に学び、未来を創る ドイツ市民のエネルギー革命モルゲン、明日

 

10/06が未来に関係する日付だったのか?“未来”はやはり変えるものか、作るものらしい。日本の政治家に教えてあげたい。

 

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●ハリウッド映画ながら出演者、監督がアジア人で占められていた「クレイジー・リッチ」はアメリカで大ヒット3週連続第一位を獲得した。ニューヨーク在住のアジア人カップルが知人の結婚式出席のためシンガポールに出かける話で、中国系シンガポールの大金持ちを取り上げている。原題にはAsianが付いている。大げさかも知れないがどうも裏にはアジア人に対する蔑視があるような気もする。

 

●マーク・フォスター監督作品は先月「プーと大人になった僕」を見たばかりだが、今月は「かごの中の瞳」が公開された。前作とは全く違う際物感のある映像の作品で、主人公の眼が見えるようになるところから来ているかもしれないが、ちょっと残念。

 

●ウィルスなどにより人間が変わったり、激減した世界でのサバイバルの映画が「ホスティル」「クワイエット・プレイス」とあった。共によくできた映画だったのだが、主人公が車で走り回る「ホスティル」ではガソリン、一家が住むことになった家に張りめぐらされた危険を知らせる電灯や各所を写した監視カメラがある「クワイエット・プレイス」の電気をこの状況でどのように手に入れていたのか?という疑問が消えなかった。

 

●豊田四郎監督といえば、黄金期の日本映画界で文芸物(夫婦善哉、雪国など)を得意にした監督として有名だが、駅前シリーズの第一作「駅前旅館」を監督していたのは意外だった。駅前シリーズの基本は人の結びつき、暖かさなのでそれほど的外れではなかっただろう。

 

●他の映画の映像を画面いっぱいに映している映画はあまり見たことがない。TV画面や映画館のスクリーンという形が多い中、フェリーニの「甘い生活」を堂々と映していたジェルミの「イタリア式離婚狂想曲」には驚いた。この映画に町の人が皆押しかけるほどその影響は大きかったという物語上の理由はあるのだが、ここまでやるかという感じ。

 

●大杉連が主演以外に製作にも関わった「教誨師」は、何故キリスト教の牧師だったんだろうかとふと思った。監督・脚本を担当した佐向大がクリスチャンなのか?あの6人の収監者がすべてクリスチャンとも思えないし、物語的必然がよく分からない。

 

●19秒以内に決着する、つまり殺してしまうというイコライザーシリーズ。デンゼル・ワシントンが主人公を演じる「イコライザー2」がやってきた。元CIA職員の主人公、今回は現CIA職員との対決になり、イコライザー×イコライザーとなりイコライザー2乗は駄洒落?

 

●2012年にアメリカで公開されたが日本では2年半後の2015年公開だった「ピッチ・パーフェクト」はアカペラの完成度に驚いた。その3作目「ピッチ・パーフェクト ラストステージ」は相変わらず楽しい歌を聞かせてくれる。ファット・エイミーの父親が登場、ジョン・リスゴーが演じているが、彼らしく良い人から悪い人に変化するあたりが楽しい。

 

●黄色い花のセイタカアワダチソウが日本で目立つようになったのはいつ頃だったろうか?昭和40年代か?外来種の草花として随分話題になったものだ。そのセイタカ…を外国映画で見ることは殆どなかったのだが、遂に満開の大群生を見たのが「赤毛のアン 初恋」だ。プリンス・エゴワード島でも背高く咲いていた。

 

 

 

 



今月のトピックス:イベント・映画祭の季節


Ⅰ 2001年 宇宙の旅


スタンリー・キューブリックの「2001年 宇宙の旅」は1968年の作品、今年で製作50周年になる。それを記念して、クリストファー・ノーラン監督協力の下、公開時の映像と音の再現を追求、オリジナルカメラネガから70mmのニュープリントを作成した。音は公開当時と同じ6チャンネルで、上映前の前奏曲、休憩時の音楽、終映時の音楽まで再現された。5月のカンヌ映画祭でプレミア上映後、欧米各地で上映され、日本の後も世界を回る予定という。日本では国立映画アーカイブ(旧フィルムセンター)で10/06~14の間に12回だけの上映だ。フィルムはそのまま海外に行くので、字幕を焼き付けることはできず、スクリーンの下に別の画面を作りそこに字幕を流すという方式だった。

 

この上映はユネスコ「世界視聴覚遺産の日」(10月27日)の記念イベントとして行われた。料金は一般2500円、シニア2000円の特別料金だ。チケットぴあでの前売りも行われた。日本でもリバイバルとして1978年、2001年に上映されているので、それほど混むことはないのではと考え、ぴあ店舗に聞きに行ったのは10月2日だった。すげなく、全上映回売り切れですとの答え。これは、ちょっと凄いかもしれないと思い始めた。行ける日は10/7か10/12しかない。
10/7にちょっと遅いかなと思いつつ、10時の開館の1時間前には着くよう8時半前には家を出て、国立映画アーカイブについたのは8時58分頃。既に長蛇の列ができていた。最後尾につくと、係員がカウンターで人数を数えながら案内していた。聞くと私は217人目、見ることができるか否かが微妙なあたりらしい。この日は11:00と15:30の2回の上映があり、定員310席の長瀬記念ホールOZUで行われる。列は2回の上映を合わせて行っている。後で分かったが各回200席が前売りされていた。確かにぎりぎりのところだったのだ。この列の整理は4~5人の係員が行っていたが、その一人が“当日券をお求めのお客様へ”という案内を配りに来た。そこには、次のようなことが記されていた。
『入場整理券の配布:先着順に入場整理券を発券します。お1人1回1枚のみとなります(1、2回目の整理券を同時にとることはできません。)受領書にサインが必要です。
入場・当日券の購入:上映開始30分前に、入場整理券番号順にお呼びします。サインされたお名前を証明できるものをお手元にご用意ください。』
つまり、整理券が他の人に転売などされないようにという方法がとられていたのだ。

 

10時に開始された入場整理券の配布、私が獲得したのは2回目上映用の297番だった。100番代の1回目用は当然満員、2回目用の200番代の97人目という事になる。思ったよりは良い席を確保でき、十分楽しめた「2001年 宇宙の旅」はその音響にいたく感心した。

 

それにしても、これだけ騒がれた(ごく一部の映画ファンだけでしょうか?)「2001年 宇宙の旅」だが、その後複数のIMAX劇場でロードショーされたのは何だったのだろうか?

 

 

 

Ⅱ 東京国際映画祭+東京フィルメックス+フィンランド映画祭 


□東京国際映画祭
今年で31回目となる東京国際映画祭は10月25日~11月3日の期間に六本木を中心に行われる。メイン会場はTOHOシネマズ六本木ヒルズとEXシアター六本木となる。
今年の最大の話題は、私的には、特別招待作品の枠でベネチア映画祭の金獅子賞を取った「ローマ」が上映されることだった。アルフォンソ・キュアロン監督が撮ったこの作品、NETFLIXが製作したため映画館で上映されず、そのためにカンヌ映画祭からははじき出された。基本的には配信によって上映されるので、日本で映画館の上映は今回の機会を逃すとない可能性があるのだ。ということで、この作品の前売りが開始される10/14の14:00にはCPUの前にいたかったのだが、ある映画を見に行っていた関係で10分ほど遅れてしまった。それから、4回の上映会のどの時間も繰り返しトライしたのだが、遂に取れないまますべて完売となってしまった。これで今年の東京国際映画祭は終わったと言いたいところだが、そうもいかないので、今年の映画祭のご案内。
各部門で上映される映画の本数は次の通り。
コンペティション:16本、アジアの未来:8本、日本映画スプラッシュ:8本、特別招待作品:18本、ワールド・フォーカス:19本、Japan Now:14本、CROSSCUT ASIA:9本、日本映画クラシックス:3本、ユース:6本、
オープニング:アリー/スター誕生、GALAスクリーニング:人魚の眠る家、クロージング:GODZILLA 星を喰う者
他にイベント上映などでも多くの映画が上映されます。
私はコンペを含め5枚ほどチケットを購入済です。

 

 

□東京フィルメックス
“映画の未来へ”をキャッチフレーズにアジアの映画を中心に紹介してきた東京フィルメックスも19回目を迎えます。
第19回東京フィルメックス:11/17(土)~25(日) 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日比谷、スバル座
コンペティション:10本、 特別招待作品:16本、 特集上映 アミール・ナデリ:4本
オープニング:川沿いのホテル(ホン・サンス)、クロージング:アッシュ・イズ・ピュアレスト・ホワイト(原題)(ジャ・ジャンクー)
チケットの発売は11/03からです。

 

 

□フィンランド映画祭
2017~8年の新作映画5本を上映
フィンランド映画祭2018:11/03(祝・土)~09(金) 渋谷ユーロスペース

 

 

 

 

Ⅲ 146億円の中国女優


新聞の国際面等で報じられているので既にご存知の方も多いでしょうが、中国女優ファン・ビンビンが約23億円を脱税、追徴課税や罰金などで約146億円の支払いを命じられたという。5月にこの脱税が判明した後姿を隠し、ツイッターも更新されていなかったが、10月に入って4カ月ぶりに更新されたらしい。
Wikipediaで彼女の出演作を見てもほとんど見ていないのでイメージが浮かばない。ただ、出演作の中に「アイアンマン3」「X-MEN:フューチャー&パスト」の2本のハリウッド製アメコミ映画が入っていてちょっと驚く。
脱税額に比べ追徴額+罰金額が6倍以上となっているのにはビックリ。払えるのだろうか?最近のニュースでは彼女が所有していたと思われる北京市内の不動産が41件まとめて売りに出されたとある。いずれにしても金持ちらしい。

 

 

 

 

Ⅳ MGMのライオン


MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)作品の巻頭にはライオンが吠える。「デス・ウィッシュ」を見ていたら、超クローズアップからカメラが引いてくる新しい吠えるライオンが出てきて驚いた。新しい感じになった。
1930~50年代の黄金期には“星の数より多いスター”を抱え栄華を誇っていたが、その後は他の巨大スタジオ同様、経営権の意向を繰り返して今やどこに所属しているやら。20世紀フォックスという話もあるが、そのフォックス自身がディズニーに買われたという事で、そこにMGMが含まれるのか否かは不明です。

 

 

 

Ⅴ ミュージカル「生きる」


黒澤明の「生きる」をミュージカルにして舞台にのせたのは、演出宮本亜門、作曲・編曲ジェイソン・ハウランド、脚本・歌詞高橋知伽江の面々。黒澤明没後20年記念と銘打たれた日本製ミュージカルだ。
普通に考えればミュージカルに向いているとは言えない題材をミュージカルにしたことが成功につながった。ブロードウェイの作品を見ていても、例えば今年のトニー賞のミュージカル作品賞となった「バンド・ビジット」は、2007年に日本でも公開された「迷子の警察音楽隊」という映画をミュージカルにしたものだ。イスラエルにやってきたエジプトの音楽隊の話で、とてもミュージカルになるとは思えないものだった。固定観念に縛られず挑むことが大事という事。
「生きる」は映画と比べると主人公の息子の役がかなり大きくなっている。父と息子という話が広げられている。息子の解釈がちょっと行きすぎかなという気もする。
鹿賀丈史の歌唱力もてつだって印象に残る曲もあり、充分鑑賞に堪えるものだった。

 

 

 

 

今月はここまで。
次は師走まですぐという11/25にお送りします。

 

 

 


                         - 神谷二三夫 -


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