2020年 12月号back

 

どんどん冬の気配が濃くなって、
年中行事、年末のあわただしさもすぐそこに。
こんな時こそ日常生活に立ち戻り、
心だけでも落ち着かせたい。
そう、個人的には映画館で!

 

 

 

今月の映画

 

10/26~11/25のトランプが大統領にはならなかった31日間に出会った作品は42本。
邦洋画の本数的にはほぼ通常に戻りつつあるが、
やはり洋画の大作が欠けている状態で作品不足感は消えていない。
作品はバラエティに富んでいて面白いのだが。



<日本映画>

   13本(新12本+旧1本)

【新作】

建築と時間と妹島和世 
罪の声 
星の子 
空に住む
おらおらでひとりいぐも 
水上のフライト
ホテルローヤル 
ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 
タイトル,拒否 
音響ハウスMelody-Go-Round 
泣く子はいねぇが 
ジオラマボーイ・パノラマガール

 

【旧作】
<生誕100年 映画女優 原節子>
誘惑

 

 

<外国映画>

   29本(新18本+旧4本+映画祭7本)

【新作】
おもかげ
  (Madre / Mother) 
薬の神じゃない
  (我不是薬神 / Dying to Survive) 
ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった
  (Once Were Brothers:
  Robbie Robertsonn and The Band) 
ザ・ハント
  (The Hunt) 
シカゴ7裁判
  (The Trial of The Chicago 7) 
キーパー ある兵士の奇跡
  (Trautmann / The Keeper) 
トルーマン・カポーティ 真実のテープ
  (The Capote Tapes) 
パピチャ 未来へのランウェイ
  (Papicha) 
ストックホルム・ケース
  (Stockholm) 
ウルフウォーカー
  (Wolfwalkers) 
シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
  (Edmond) 
国葬
  (State Funeral) 
詩人の恋
  (The Poet and The Boy) 
ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
  (Missing Link) 
ホモ・サピエンスの涙
  (Om Det Oandliga / About Endlessness) 
THE CROSSING~香港と大陸をまたぐ少女~
  (過春天 / The Crossing) 
聖なる犯罪者
  (Boze Cialo / Corpus Christi) 
エイブのキッチンストーリー
  (Abe)

 

【旧作】
<35mmフィルムで見るクリント・イーストウッドの軌跡>
ブラッド・ワーク
  (Blood Work) 
トゥルー・クライム
  (True Crime) 
目撃
  (Absolute Power)

 

<ジャン=ポール・ベルモンド傑作選>
恐怖に襲われた街
  (Peur Sur La Ville / The Night caller)

 

【映画祭】
<東京フィルメックス>
イエロー・キャット
  (Yellow Cat) 
照射されたものたち
  (Irradiated)

 

<東京国際映画祭>
ノー・チョイス
  (No Choice) 
二月
  (February) 
足を探して
  (A Leg) 
アラヤ
  (Alaya) 
親愛なる同志たちへ
  (Dear Comrades)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

① 罪の声
小栗旬と星野源のW主演と宣伝された作品は、塩田武士の原作からの映画化。1984~5年に関西で起きたグリコ・森永事件を想起させる事件の組み立てで、この未解決事件の一つの回答と見ることもできる。巻き込まれた子供たちの録音された声の当人が35年ぶりにテープの声を聴いて物語が始まる。

 

② 国葬
セルゲイ・ロズニツァ<群衆>ドキュメンタリー3選として3作品が現在上映中の1本。日本初登場のロズニツァ監督は1964年ベラルーシ生まれ、ウクライナのキエフ育ち。科学者としてウクライナの国立機関でAIの研究後、ソ連崩壊の1991年モスクワの全ロシア映画大学に入学という経歴。現在までに21作のドキュメンタリーと4作の長編劇映画を監督している。この映画はリトアニアで発見された大量のフィルムを基に1953年のスターリンの国葬を描く。圧倒的な数の嘆き悲しむ人々の映像に驚く。

 

③-1 シカゴ7裁判
1968年のシカゴ民主党大会で暴動を企てたという容疑で起訴された7人の被告人がシカゴ7だ。その裁判を再現した作品は、今年の大統領選挙に合わせて公開を予定されていたらしいが、コロナにより不可となり、Netflixにより配信されることになったようだ。脚本・監督はアーロン・ソーキン、マーク・ライランス、サシャ・バロン・コーエン、フランク・ランジェラなど渋い俳優を揃えて見どころ十分。

 

③-2 聖なる犯罪者
ポーランドの若手監督(39歳)ヤン・コマサ監督の作品。主人公は少年院の神父の影響で神父になることを希望したが、犯罪者はなれないと言われてしまう。仮釈放で訪れた街、偶然寄った教会で新任司祭と間違われ…。邪と聖がいりまじって描かれるスリリングな展開で引き付けられる。ポーランド映画祭で見た作品で日本での封切りは2021年1月15日で決定している。

 

 

 

他にも映画館で楽しめる作品がありますよ。(上映が終了しているものもあります。)


薬の神じゃない:2014年に中国で実際にあった偽薬事件からヒントを得て作られた作品。白血病の薬の価格が中国では非常に高くインドのジェネリック医薬品を密輸するという話。下手をすれば中国政府の薬政策の批判になる題材でよく作られたと思ったのだが、最後に今の中国の価格は改訂されていますと説明文が入っていた。

 

ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった:ザ・バンドのリーダー的存在だったロビー・ロバートソンの語りが多くの部分を占め、更にエリック・クラプトン、ブルース・スプリングスティーン、ロニー・ホーキンスなどがインタビューされるザ・バンドのドキュメンタリー。ファン必見。

 

星の子:芦田愛菜主演ということで話題となった作品は、今村夏子の小説からの映画化。病弱な子どもを育てる時に親が出会った“水”が彼らの行動を決めてしまう。「日日是好日」の大森立嗣監督作品。

 

空に住む:両親の突然の死、叔父から提供された高層マンションに住むことになった出版社勤務の女性主人公(多部未華子)。30歳前後だろう。青山真治の新作は、なんだかポップな音楽と、最新の話題で今風になっていた。

 

おらおらでひとりいぐも:原作は若竹千佐子の芥川賞受賞作、監督・脚本はいつも特異な人物を描く沖田修一。主人公は夫に先立たれ1人暮らしをしている75歳の桃子さん(田中裕子)。常に湧き上がってくる心の声を可視化で3人の男優が演じ、思い出の自分は常に可愛く蒼井優が演じる。思い出は常に美しく、リアリティか?

 

キーパー ある兵士の奇跡:捕虜となってイギリスの収容所にいたナチス兵のトラウトマンが、サッカーのキーパーとして地元チームにスカウトされ…という実話の映画化。スポーツは時に国境を軽々と超え、或いは残酷にも技量によって差別する。

 

トルーマン・カポーティ 真実のテープ:アメリカの作家カポーティは早熟の天才と言われ、様々に話題の人だ。養女ケイト・ハリントン、作家ジェイ・マキナニーなどのインタビューを交えカポーティに迫るドキュメンタリー。

 

パピチャ 未来へのランウェイ:アルジェリアを舞台に、イスラム圏の女性の在り方を描く作品はムニア・メドゥール(女性)の長編デビュー作として作られた。主人公のデザイナーに憧れる大学生ネジュマがファッションショーを行おうとする物語。イスラム圏で女性として生きることの難しさが描かれる。

 

ウルフウォーカー:中世のアイルランド、キルケニーを舞台に人間と狼、そしてウルフウォーカーとの関係を描く。アイルランドの伝説を描くアニメーション。今月の海外のアニメーション参照

 

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!:原題はEdmond、シラノ・ド・ベルジュラックの作者、エドモン・ロスタンの名前だ。如何にしてこの名作が作られたかを描く映画は、この映画で監督・脚本を務めたアレクシス・ミシャリクが2016年に舞台作品として上演したものの映画化。

 

水上のフライト:陸上の走り高跳びでオリンピックを狙っていた主人公は、交通事故で半身不随に。失意に沈む彼女を救ったのはパラカヌーだったという、脚本家土橋章宏のオリジナル脚本による映画。ありがちなお話ではあるが、緩んだところのない映画で好感が持てる。

 

詩人の恋:この作品が長編映画デビューとなるキム・ヤンヒ監督は1977年生まれ。脚本も彼女が書いていて、これが何とも面白い。日本の題名からは想像つかない展開を見せる物語。詩人に扮するのは「息もできない」の監督・脚本・主演でデビュー、その後俳優として日本でも活躍のヤン・イクチェン。これも予想外の配役。

 

音響ハウスMelody-Go-Round:昨年12月に創立45年を迎えたスタジオ、音響ハウスについてのドキュメンタリー。マガジンハウスの系列会社として銀座に設立されたスタジオはCity-Popの総本山、坂本龍一、矢野顕子、松任谷由実、松任谷正隆、佐野元春、大貫妙子、葉加瀬太郎ら多くのミュージシャンがインタビューされている。

 

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒:生物進化上の失われた輪、ミッシング・リンクを題材に面白いアニメーションを作ったのは、アメリカのアニメーションスタジオ、ライカ。大人が楽しめるアニメーションになっている。今月の海外のアニメーション参照

 

ホモ・サピエンスの涙:シャガールの絵のように空に浮かぶ抱き合った二人。スウェーデンのロイ・アンダーソン監督の新作は33話のショートショートストーリーのようで、美しく、厳しく、孤独な人々の温かさを感じさせる。

 

エイブのキッチンストーリー:ブルックリン生まれの12歳、エイブはエイブラハム、アブラハム、イブラヒムとも呼ばれる。父はパレスチナ系、母はユダヤ人だ。父方の祖父と叔父、母方の祖父・祖母が集まって食事会があるといつも喧嘩になってしまう。超難しい問題を見やすく描く。原題のAbeは日本語読みではアベ君ですね。

 

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>

国立映画アーカイブで<生誕100年 映画女優 原節子>が11月17日~12月11日で開催中。現在までに「誘惑」の1本のみを見た。
6年前に一度見ているが何ともきつい話。大学教授の父を亡くした20歳の医学生(原)がお墓で出会った父の教え子だった代議士(佐分利信)からの援助の申し出を受け…。代議士には結核療養中の妻(杉村春子)がいて…。突然やってきた妻の杉村が怖い!

 

<外国映画>
国立映画アーカイブで<35mmフィルムで見るクリント・イーストウッドの軌跡>が特集上映された。日本の劇場では35㎜フィルムでしか上映できない13作品(1971年の「ダーティハリー」以外は1992年以降の作品)が選ばれている。その内、次の3作品を見た。
目撃」(1997年)、「トゥルー・クライム」(1999年)、「ブラッド・ワーク」(2002年)
3作は総て原作があり、いずれも評判になったミステリー小説だ。どの作品も見せ方が上手く、見る者を引っ張っていく。イーストウッドの映画作りは流石だ。イーストウッドの主人公は一筋縄でいかない人物が多い。今回は順に泥棒、新聞記者、FBI犯罪心理分析官で、その道のプロばかりだがストーリー的にも少し癖のある人間たちだ。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月の海外のアニメーション

 

アニメーションは勿論日本だけで作られている訳ではない。1960年代以降、日本のTVアニメが世界に進出し各国で人気を得たのは事実だが、それ以前にも海外で作られたアニメーションはあった。人気を得たのはディズニーだが、それ以外に様々なアニメが様々な国でも作られてきた。ハリウッドでアニメが大人を含め集客力が強く、安定的な成績が得られるとして、子供用ではなく大人向け作品が多く製作されるようになって15年くらいは経っただろう。他にも地道にアニメーションを作り続けている人たちが世界の色々な国にいる。
今月見た2本の外国製アニメは共に手書きの素朴な風合いを残しながら、大人の鑑賞に堪える作品になっている。


ウルフウォーカー」は今までにも「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー―海のうた」を作ってきたアニメーションスタジオ、カートゥーン・サルーンの新作で、前2作と合わせケルト三部作が完成した。(物語的つながりはない。)スタジオの創設者トム・ムーアと共同監督したロス・スチュアートは共にアイルランドで活躍している。

 

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」はスタジオライカの最新作。今までにも「コララインとボタンの魔女」「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」と想像もしない物語を見せてくれた。前2作でそれぞれストーリー・スーパーバイザー、ヘッド・オブ・ストーリーとして脚本を担当してきたクリス・バトラーが、今回は監督・脚本・キャラクターデザイナーとして作品を作り上げた。

 

 

 

 

 

Ⅳ 今月のつぶやき


●星野源の哀しみ演技が妙に似合っていた「罪の声」、ミュージシャン、俳優、文筆家と多方面に活躍だが映画(それほど多くの出演作はないが)ではこれが代表作となるだろう。

 

●60~70年代にフランス映画界で人気があったのはジャン=ポール・ベルモンドとアラン・ドロンだった。日本では美貌のドロンの方が圧倒的に人気だったが、フランスでは逆にベルモンドの方が人気だとも聞いていた。“向こう見ずの美学”と銘打って「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」が新宿武蔵野館で上映中(間もなく終了)。「恐怖に襲われた街」を見て、当時から評判だったその身の軽さ、アクロバティックなアクションを満喫した。

 

●イスラム世界における女性の在り方について考えさせられる映画が2本あった。1本は東京国際映画祭で見た「ノー・チョイス」、もう1本が「パピチャ 未来へのランウェイ」だ。前者はイラン、後者はアルジェリアで、より悲惨な前者は今月のトピックスⅠ映画祭を参照していただくとして、アルジェリアのスラングで“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”を意味する「パピチャ」は自分の好きなこと(ファッションデザイン)を成し遂げようとする女性を描く。女性にはヒジャブ着用を強要するイスラムの過激派勢力が台頭し大学内にポスターを張りに来るのだが、それをするのが顔を隠したヒジャブの女性だ。

 

●大女優サラ・ベルナールが出てくるのが「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」、彼女が朗々と詩の台詞を述べたのに失敗作と断定されたのがエドモンの前作。その失敗があったが故に、シラノ・ド・ベルジュラックという名作が生まれたという事らしい。作品は失敗だったが、サラには気に入られていたのだ。

 

●日テレが製作に噛んでいたからか、テレビドラマの映画化かと思ってしまった「ドクター・デスの遺産」。映画はアメリカで130人もの患者を安楽死させドクター・デスと呼ばれた医師をモデルに描かれた中山七里の原作からの映画化だが、映画はテレビドラマの映画化だと思わせるほどテレビドラマに似ている。主人公の男女の刑事コンビも、エピソード毎にしつこく盛り上げる方法もテレビとしか思えない。しかし、これは映画単独作品だ。

 

●風俗産業で働く女性と暴力団或いはチンピラの男性が日本映画の一つの特徴ではないかと思わせる「タイトル、拒否」だ。何だ、またこの世界かと思ってしまう。安易すぎないか?私の偏見だろうか?

 

●岡崎京子の漫画が原作の「ジオラマボーイ・パノラマガール」、題名からして岡崎京子らしさがあり、ボーイ・ミーツ・ガールの単純ではない恋愛劇の在り方も彼女らしい。

 

 

 

 

 



今月のトピックス:アラカルトinコロナ   

 

Ⅰ コロナ禍の映画祭


先月号でお知らせした通り、10月30日~11月9日の間に2つの映画祭が開催された。東京国際映画祭と東京フィルメックスだ。
コロナ禍で海外からの映画人来日はなく、審査員に海外から人を呼べないという理由で東京国際はコンペティション部門をなくして観客賞だけにしていた。東京フィルメックスはコンペティション部門をそのまま残していた。
元々映画祭にはそれほど通っていなかった。サラリーマンをしていた頃は平日に時間を取ることは難しく、週末は通常に封切りされる新作を見ていたのだ。映画祭に少しは行くようになったのは退職した後。今もって普通の人たちにとって映画祭は殆ど響いていないのではないか?映画という媒体自体の存在がどんどん小さくなっていた時期でもあり、仕方のないことかもしれないが。

 

今年の観客数は多分従来より少なかっただろうが、それでも発売当日に満席となる作品もあり、見たい作品を見ることができた訳ではない。今年は東京国際映画祭で5本、東京フィルメックスで2本の作品を見た。7本の中で最も印象に残ったのは東京国際映画祭の「ノー・チョイス」だ。
主人公は16歳のホームレス少女。彼女が夫と思っている男から工場経営者に斡旋され、子供を産めない彼の妻の代わりに子供を産むように仕組まれるところから始まる。しかし子供ができず検査すると、12歳の時子供を堕胎され、その時卵管が結ばれ妊娠できないようにされていたことが分かる。彼女を助けようとする女性弁護士、彼女を助けようと手術した女性医師など様々な女性が関わる中、夫とされた男はただ女性を利用し金を儲けようとするだけなのだ。イスラムの町でたむろする男たちは何をしているのかといつも疑問に思っていたが、こんなこともあるのか。

 

映画祭といえば、上映後に監督等によるトークがあることが多かったのだが、今回はどの作品にもなかった。コロナのため仕方なかったのだが、寂しくもあった。
少し寂しかった今年の二つの映画祭。来年以降に向けどういう形がいいのか、多分映画祭サイドも探っていることだろう。それにしても、映画祭が一般の人になかなか広がらない印象が残るのだが、これを解決してもう少し映画ファン以外の人たちにも呼び掛けることはできないものだろうか

 

 

 

 

 

Ⅱ ショーン・コネリー


ショーン・コネリーが10月31日に亡くなった。90歳だった。
今回改めてWikipediaで彼の経歴を調べてみた。


映画デビューまでにいろいろな仕事をしたというのは有名だが、牛乳配達、イギリス海軍(健康上の理由で除隊)、トラック運転手、労働者(?)、美術モデル、ライフガードをしながらボディビルジムに通ったらしい。セミプロのサッカー選手としてもプレーし、ミスター・ユニバース・コンテストの重量挙げ部門で3位になり、その時の出場者に演技の道を勧められたという。
スコットランド人としての矜持が強いというのも有名だが、アクセントを直すことを拒否したためにジェームズ・ボンドは原作においてスコットランド出身が付け加えられたというのには驚いた。「風とライオン」でも主人公がスコットランド出身に変更されたらしい。


晩年は認知症を患っていたと書かれている隣に写真があり、拡大してみると1年前の写真だが、いかにも89歳の老人が写っていた。
1987年の「アンタッチャブル」あたりから晩年(2006年に引退宣言)にかけてどんどん良くなった印象があるのだが、でもやはり代表作は007になるんでしょうね。


ご苦労様でした。

 

 

 

 

 

 

Ⅲ 3回目


映画館では座席に浅くかけ、足を前に投げ出して見ている。決してきちんとした、立派な姿勢ではない。立派な姿勢は後の人にとって迷惑だからだ。階段式座席が殆どのシネコン時代になってもそれは変わらない。反対にシネコンの方が座席の前後スペースは広くなっているので、よりだらけた姿勢になっている。


1回目が発生したのは3年程前だったろうか。映画館を出た後昼食をし、ドトールに行って支払いにドトールカードを出そうとして気が付いた。定期入れがないのだ。定期入れはズボンの後ろポケット左に入れていた。地下鉄を使い映画館に来たので、これは映画館で落としたに違いない。しかも浅くかけていた座席に置いてきてしまったのだと推測し、歩いて5分の映画館に戻って事なきを得た。


それから半年ほどして2回目をやってしまった。この時もすぐに映画館の座席に違いないと思い、間違いはなかった。


この2回目の後しばらくは後ろポケットのボタンを掛けるようにしていた。しかしいつの間にかそれを忘れ、ボタンを掛けないようになっていた。
今月19日新宿バルト9で「ミッシング・リング 英国紳士と秘密の相棒」を見て、そのまま新宿三丁目から地下鉄に乗り四谷まで来た時、後ろポケットが寂しいのに気が付いた。この時地下鉄には回数券を使ったので定期券は出していない。すぐに3回目だと気が付き、車両から降りホームからスマホで電話、あることを確認し取りに戻った。この時新宿三丁目の改札に事情を伝えると、判子を押して出してくれ、再び入場するときはその切符を使えるようにしてくれた。


3回もこんなことをしても必ず見つけて保管していてくれた映画館の皆様、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

Ⅳ 東北弁


「おらおらでひとりいぐも」「泣く子はいねぇが」と東北弁の題名が2本続いた。朴訥さが暖かさを感じさせる。特にコロナ禍の中で聞くとなんだかホッとする。

 

 

 

 

 

Ⅴ 鬼滅の刃/アニメ


「鬼滅の刃 無限列車編」の快進撃が止まらない。先週末までの成績によると、6週連続興行収入第一位、観客動員数は1939万人、興収は259億円を突破、今週中には歴代興収でタイタニックを抜き2位になることが確実という。
外国映画の大作が公開延期でぽっかり空いた穴にすっぽり当てはまり、シネコンのスクリーンを多く占有できるという異常事態が引き起こした面も強い。成績が上がらない映画館、映画業界にとっては救いの神だが、今の内に他の作品もアピールしないと次に繋がらない。
先週末の国内映画ランキングでは10位までをすべて日本映画が占めている。さらに、10本の内7本がアニメ作品になっている。しかもこの状態が2週連続になっているのだ。作品が少し入れ替わっていてもアニメ7本、劇映画3本の日本映画は変わっていない。これはかなり異常なことだ。

 

 

 

 

今月はここまで。
次号は例年通りにクリスマスの12月25日にお送りします。


                         - 神谷二三夫 -


感想はこちらへ 

back                           

               

copyright