2007年 11月号back

 えっ、11月号?早い!早すぎる!!
今年見られる映画はあと少しってこと?!

 

今月の映画

 9/26~10/25の間に楽しんだ映画は19本、日本映画がかなり寂しい状態です。

<日本映画>

包帯クラブ 
クローズドノート 

サウスバウンド 
河童のクゥと夏休み

 

<外国映画>

プラネット・テラー 
大統領暗殺、
厨房で逢いましょう 
幸せのレシピ
パーフェクト・ストレンジャー 
エディット・ピアフ~愛の賛歌~
パンズ・ラビリンス 
雨に唄えば 
踊る大紐育 
さらばベルリン
リトルレッド レシピ泥棒は誰だ、
キングダム 見えざる敵 
グッド・シェパード 
ヘアスプレー

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

グッド・シェパード
 アメリカのアイヴィーリーグのクラブ組織は、怖いものがありますね。親の因果が子に報いというか、連綿と続く人のつながりを描く大河ドラマ。確かにコッポラの世界なれど、コッポラほどの張ったりはなく人物の心に張り付く。デ・ニーロさん、見事です。

 

②パンズ・ラビリンス
 何事にも閉塞感が漂っていた1943年フランコ政権下のスペイン、生まれくる弟を身ごもった母と義父の大佐の下に出向く少女オフェリア。彼女の回りに現れるファンタジーの世界は、現実の世界を反映して暗くきびしい。その分だけ最後の救いは明るい。

 

さらばベルリン
 ワーナー映画のマークさえ古めかしく変えられて、殆ど「カサブランカ」+「第三の男」の世界。常に謎を含む画面転換で話が膨らむ描き方、多くの裏・謎を秘める大人の世界。(トビー・マクガイアのアメリカ兵は裏のあり方が浅い。)先月のタランティーノは「デス・プルーフ」でB級映画、ソダーバーグは「さらばベルリン」で40年代白黒映画を、一度は作りたかったんだろうなあ。それにしても、ジョージ・クルーニーはタバコの吸殻を飛ばしまくってました。

 

 次もオススメです。

 

:女は嘘をつく、そしてそれが彼女の世界になる。


幸せのレシピ:快適においしい映画です。トピックス参照


ヘアスプレー:60年代のポップスの良さが弾けます。白人→黒人音楽の流れも興味深い。

 

 

 

 

Ⅱ 今月の困ったちゃん

 

 エリカ様の女王様騒動でそこそこ話題になったというか、「クローズド・ノート」は興収成績も3→2→3→5位とまあまあである。しかし、天下の行定監督がこんなもの作っていていいのか。「世界の中心で・・・」がブームになり、日本映画界には若者の純愛が溢れたが、甘いものばっかり。甘くても美味しいものならいいのだが、変に甘ったるいだけ。沢尻の主人公にしても、どこに彼女の恋心があるのか分からない。他人の日記を読んでいる自分に酔っているだけ。こういう映画はもうたくさん。沢尻様も、う~む、「パッチギ」の時の輝きは皆無。

 

 

 

Ⅲ 今月の懐かしい人

 

*「グッド・シェパード」でアンジェリーナ・ジョリーの父、上院議員を演じたのは「2001年宇宙の旅」でコンピューター、ハルと会話していたケア・ダレー。角が丸い顔に面影が。

 

*同作品でマット・ディモンの父親を演じていたのはティモシー・ハットン、レッドフォードの監督作「普通の人々」で有名ですね。彼の(実の)父親はジム・ハットン、ポーラ・プレンティスとののっぽコンビで有名でした。




トピックス:秋は食欲だった?その他の話題


Ⅰ 食欲の秋

 

 2ヶ月前の9月号で今年はピアノの映画が・・・としていた見せよう会通信、秋にいたって皆様のように食欲の秋になりました。この秋、食べる映画が集まりました。

 

 食べることといえば、フランスか、中国か、イタリアか・・・
或いは逆転の発想でイギリスかとか考えますが、今年の注目はドイツ。ドイツなんて、いもと豚肉料理だけでしょう、それとビールにソーセージね。
食通の国というイメージはないよね。ドイツ家庭のキッチンはピカピカというけど、夕食には火を使う料理をしないからなんて悪口も聞いたことがある。
とても、食べることについての映画なんてと思えるのだが。

 

 初めは「厨房で逢いましょう」に出会った。仕事も趣味も料理という主人公、子供の頃に臨月の母のお腹を見て、
自分もあんなお腹になりたいと憧れ、デート中も彼女は無視して食べること一筋の青春時代。
(おいおい)
それが高じて自分でおいしいものを作ることに。

 

 今はレストランのオーナーシェフ、3テーブルだけのお客様に300ユーロのディナーをだしている。半年先までずっと満員状態が続くほどの人気の店。

ふとした偶然から彼のプラリネを口にした子持ちの主婦、そのあまりの幸福感に彼の自宅にまで押しかけて、
食べさせて欲しいと懇願する。目を盗んで鍋底までなめる彼女、見つめる彼。
(あれあれ)

 

 食べることの愉悦に身もだえする。彼の料理は名づけてエロティック・キュイジーヌ。確かに食欲は性欲にも通じるものがあり、その喜悦を誰もが求める。後半、奇妙な展開なれど最終的には二人の結びつきに話は進む。
(はいはい)

 

 次は「幸せのレシピ」、アメリカ映画なれど実はドイツ映画のリメイク。
ドイツ映画は「マーサの幸せレシピ」、マーサがケイトになってニューヨークが舞台になった。残念ながらドイツ映画は見ていないが、ケイトの「幸せのレシピ」もうまくできている。いろんな歌が流されるのにうるさくなく、フィリップ・グラスの音楽はいつも通り緊張感のある心地よさ、節度のある作り方に好感が持てる。オススメです。

 

 マンハッタンのレストラン「ブリーカー22」のシェフ、ケイトは、早朝魚河岸での仕入れから、客に出す料理の仕上げにまで自分の意志を貫く完璧主義者。厨房ではケイト流でないと受け入れられない。レアの焼き方に文句を言った客にはテーブルに生肉をナイフで突き刺す迫力。
(ヒューヒュー)

 

 レストランオーナーの指示で精神科医に通う彼女、姉の死で姪を育てることに、さらに新しいスーシェフを迎えて、自分だけのルールで生きてきた彼女にいろいろな障壁が・・・。

 

2つの作品共に、料理の場面が生き生きと描かれる。
見ているだけで楽しく美味しい。
これらの映画の元がドイツというのは驚きだ。二人のシェフに共通しているのは、自分のルールに従って料理を作り生き方も決めてきたこと。
ルール通りというのがいかにもドイツらしい。二人とも人との関係で生き方を変えざるを得ず、さらに料理にも変化をきたしていくだが。

 

 予告編で美味しそうなパイが一杯出てくるのが「ウエイトレス~おいしい人生のつくりかた」、11/17公開、天才的なパイの作り手がでてくるようです。

 

 日本映画では「めがね」、まるで向田邦子のホームドラマのようにいつも食べてますよ、時にはかき氷ですが。

 

 料理がおいしそうに感じられ、登場人物がおいしそうに食べる映画はそれだけで充分楽しめる、特に腹の減っている時などは・・・。(当たり前だ)

 

 

 

Ⅱ 今月の不思議

 

河童のクゥと夏休み
 見逃してしまう映画がある。ずっと見に行こうと思っているのに、なぜか間が悪く、つい行きそびれてしまう。見逃してしまう映画こそ、イメージがどんどん膨らんでしまう。こんな映画が年に数本はある。「河童のクゥと夏休み」も見逃しの1本だった。それが今になってロードショー館で見られるという不思議。7/28、夏休みの子供向けに封切られた。それほどヒットしたとは思われない。封切館も、東劇で純然たる表舞台ではない。実際最初のロードショーは3週間で8/17に終了している。実はその後もどこかの映画館で、例えば朝1回だけのような形でしぶとく上映され続けてきた。それが、突然、テアトル新宿で朝2回興行とはいえ10/20から上映されている。不思議である。10/20の1回目に行ったが観客数は1桁であった。ヒットはしていない。なのに、何故?不思議である。

 

オーシャンズ13
 今月に入れるには少しばかり古い話になるが、この映画の前売券を買おうとした時、何故かユナイテッドシネマ豊洲で見られる券が見つけられない。大作になると、2種類の前売券が発売されることがある。全国共通券と特定劇場のみの券である。新参者のユナイテッドシネマ豊洲は特定劇場には入っていない。料金は同じ。違いは多分、前売券を売る箇所に入るコミッションのみ。まあ、よくあることですね、どの業界にも。それにしても「オーシャンズ13」で不思議だったのは、5箇所回ったプレイガイドのどこにも全国券がなかったこと。最後には売り場のお兄さんにも聞いたのだが、彼によれば「東京のどこにもないでしょう」だと。封切り後だったのでまさか劇場で買うこともできず、仕方なく丸の内ピカデリーで見ることにしたのだが。こんなに便利な東京で全国券が買えない不思議。



                         - 神谷二三夫 -


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