見せよう会通信

映画はいつも今が一番おもしろい!
今月のお勧めベスト!
”見せよう会通信”では
最新の映画へのご案内をしております
すべて神谷二三夫が独自の視点で
書いているものであります
皆様が映画を楽しまれる時の
ご参考にしてください

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2024年12月号  時代は変わる

 

 

なかなか寒さが実感できない天候が続いた。
身体の感じる季節感に狂いが生じる。
そんな状況では時にホッとできる環境が必要だ。
そう、それは映画館!



 

10/26~11/25の秋から急に冬に向かっているような31日間に出会った作品は46本、邦/洋画は19/27と日本映画の割合が少し高めだった。
新/旧は44/2とほぼ新作のみとなった。
日本映画の「運命屋」は25分の短編だが、1本とカウントしている。


 

 

  今月のベストスリー

 

① ぼくとパパ,約束の週末

ドイツ映画の新作がやってきた。ヨーロッパではフランス映画が圧倒的に多く日本で公開されているが、純然たる(他の国との合作ではない)ドイツ映画は久しぶりだ。これが実にいい映画だった。題名通り息子と父親の関係が描かれる。更に息子は自閉症だ。映画は自閉症の症状をきちんと描いている。自閉症を知らない人は、単におかしな子供だと思うだろうが、子供自身にとっては苦しい事なのだ。学校でも他の生徒から虐められる。監督はマルク・ローテムント、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々」「5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~」の良作を作っている。

 

②-1 動物界

人間が動物に変化していく病気が蔓延するというSF映画。どの動物になるかは分からず、進行度合いによって言葉を失い鳴き声になる。妻の病状が進み、10代の息子と二人暮らしの男性。しかし息子も発病し…。原因、治療方法も分からない、言ってみれば不条理の世界。そこで家族を守ろうとする奔走する男性。その緊張感は並ではない。父子を演じるロマン・デュリス、ポ-ル・キルシェは熱演。トマ・カイエ監督はこの状況を鋭く、テンポよく描き見る者を飽きさせない。

 

②-2 グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声
2000年に公開された「グラディエーター」の続編。前作と同じくリドリー・スコットが監督している。画面が沈んでいるように見える。キラキラと輝くような、変な光は全くない。主人公ルシアスはポール・メスカル、最後まで正体を見せないマクリヌスはデンゼル・ワシントンが演じてさすがの貫禄。

 

③-1 リリアン・ギッシュの肖像
1983年に発表されたジャンヌ・モローの監督によるリリアン・ギッシュのドキュメンタリー。「国民の創生」「散り行く花」などでサイレント映画を代表するスターとなったリリアンはこのとき89歳。題名をリリアン・ギッシュ最新インタビューとした方が良いと思われるインタビューのみの必見59分。この映画の後、1987年には「八月の鯨」で、15歳も年下のベティ・デイヴィスとダブル主演していた。

 

③-2  十一人の賊軍
この映画の原案として笠原和夫の名前が出てきたので驚いた。いや、正確にはいかにも笠原らしい筋立てで懐かしかったと言えばよいか。白石和彌監督の映画作りも、笠原魂をしっかり生かしていて感心した。



 

 

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