2018年 2月号back

新しい年になって早1か月近くになろうとしている。
思ったより寒い日が続き、冬らしい日々、
心も体も引き締まってしかるべき時、
ちょっと体の調子を崩してしまった。
そんな時もホッとできたのは、そう映画館!

 

 

 

 

 

今月の映画

 

12/26~1/25の元旦を挟んだ31日間に出会えた作品は37本、
この間2週間の風邪をひき、その後多分痛風になってしまい、
いつもは元気な私も今一つで、この気持ちが影響したのか、
新春第2弾が封切りされたにしてはちょっと物足りない作品群となった。
更に旧作の本数が半分近くになり、ヒッチコックの様々な面が知れたとはいえ、
やはり新作での出会いが少なく寂しいものになった。
日本映画は特に新作が寂しかった。

 


 



<日本映画>

GODZILLA怪獣惑星 
嘘八百 
嘘を愛する女 
夜明け告げるルーのうた
妻は告白する(古) 
ぼんち(古) 
夜の河(古) 
江戸の悪太郎(古)

 

 

<外国映画>

女の一生
  (Une Vie / A Woman’s Life) 
フラットライナーズ
  (Flatliners)
Master/マスター
  (/Master)
バーフバリ 王の凱旋
  (Baahubali 2: The Conclusion) 
キングスマン:ゴールデン・サークル
  (Kingsman: The Golden Circle) 
ジャッコメッティ 最後の肖像
  (Final Portrait)
ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男
  (Dries) 
5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~
  (Mein Blind Date Mit Dem Leben /

   My Blind Date with Life) 
ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!
  (Renegades) 
レディ・ガイ
  (The Assignment) 
ジオストーム
  (Geostorm) 
ルイの9番目の人生
  (The 9th Life of Louis Drax) 
パディントン2
  (Paddington 2) 
ライオンは今夜死ぬ
  (Le Lion Est Mort Ce Soir /

   The Lion Sleeps Tonight))
ベロニカとの記憶
  (The Sense of an Ending)
下宿人(古) 
  (The Lodger: A Story of the London Fog)
疑惑の影(古) 
  (Shadow of a Doubt)  
三十九夜(古) 
  (The 39 Steps)  
第3逃亡者(古) 
  (Young and Innocent)  
バルカン超特急(古) 
  (The Lady Vanishes)  
ミュンヘンへの夜行列車(古) 
  (Night Train to Munich)  
救命艇(古) 
  (Lifeboat)
サボタージュ(古) 
  (Sabotage)
ロープ(古) 
  (Rope)  
海外特派員(古) 
  (Foreign Correspondent)
間諜最後の日(古) 
  (The Secret Agent)
スミス夫妻(古) 
  (Mr.&Mrs. Smith)
リッチ&ストレンジ(古) 
  (Rich and Strange)
早春(古) 
  (Deep End)


 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

 

今月は残念ながらベスト1は空席、小粒な作品が多くなりました。

 

②-1  MASTER/マスター
韓国の大スター、イ・ビョンホンはハリウッドにも進出それなりの地位を築きつつある。韓国で主演した今作でも手を抜くことはない。突き詰めた話にしていて、見ごたえのある作品になっている。

 

②-2 嘘八百
骨董という分かる人には分かる、分からない人には分からない世界の中で、プロの贋作人の間でのだまし合い、逆転の連続で笑わせてくれます。足立紳と今井雅子の共同脚本が良く書けていて、武正晴監督(百円の恋)もテンポよく見せてくれる。

 

③-1 レディ・ガイ
最近では「猿の惑星」シリーズの製作者として活躍しているとお伝えしたウォルター・ヒルの久しぶりの監督作がやってきた。すっきりしたアクションの冴えも相変わらず、今回の上映時間も96分という丁度良い長さ。俳優陣も面白い。

 

③-2 ルイの9番目の人生
9年間で9度死にかけた少年ルイ・ドラックス、今は崖から海に落ち助けられたとは言え昏睡状態が続いている。両親と一緒に出掛けた崖の上で9歳の誕生日を祝った後の事故、その後父は失踪し、彼は病院で眠り続ける。彼の意識の中も時に怪物のナレーションに託されて告げられる。

 

 

 

 

おもしろい作品は他にも、お楽しみください。

 

フラットライナーズ:病院のシーンで良く出てくる心臓の動きの波動を表示する装置、その線がフラットになる、つまり一直線になることは死を意味する。フラットラインになった人たちというこの映画は、医学生たちの探求心を巡る物語。

 

キングスマン ゴールデンサークル:ロンドン・サヴィルロウにある高級テイラーを本拠とするスパイ組織キングスマンが大ピンチ、助けを求めたのはアメリカのバーボンメーカーに本拠を置く組織ステイツマン。アメリカ的派手度が増して気楽に楽しめます。

 

ジャコメッティ 最後の肖像:細く、長い人物像で有名なジャコメッティの晩年、妻と愛人、弟にアメリカの美術評論家が加わって、決めきれない芸術家の苦悩を描きます。

 

5パーセントの奇跡~嘘から始まる素敵な人生~:5%の視野しかないのにミュンヘンの名門バイエリッシャーホフホテルでの見習い採用トライアルに飛び込んだ主人公の物語。

 

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!:製作はリュック・ベッソン、「グランブルー」「レオン」等のフランス人監督だが、いまや製作会社ヨーロッパ・コープの社長としての方が有名。「トランスポーター」シリーズなど英語でのアクション満載映画を連発しているが、これもその1本。サラエボの内戦とナチスの金塊を結びつけ、更に米軍のネイビーシールズまでぶち込むという、無国籍アクション映画。それなりに楽しめる。

 

パディントン2:ロンドンのブラウン家の一員として普通に生活する熊、パディントンの第2弾はヒュー・グラントやブレンダン・グリーソンまで加えて一層華やか。ブラウン家が住むロンドンのウインザー・ガーデンの隣近所にも一人だけ熊は危険(もっとも)と嫌う人がいるのがおもしろい。

 

ライオンは今夜死ぬ:The Lion Sleeps Tonightというアメリカの歌は、フランスではライオンは今夜死ぬとなっているらしい。日本人監督諏訪敦彦(すわのぶひろ)がフランス政府の助成を受けて製作した。ヌーヴェルヴァーグの申し子とされるジャン=ピエール・レオ(「大人は判ってくれない」に主演)、73歳になる彼がまるで自身を演じるような老優を演じ、存在そのもので役を生きている。

 

夜明け告げるルーのうた:昨5月に封切られていたものをやっと見た。2016年が「君の名は。」や「この世界の片隅で」でアニメーションが特別になった翌年の2017年には、2作品を超えるものはなかったが、この作品のユニークさは2017年の収穫の一つ。

 

 

 


Ⅱ 今月の惹句(じゃっく)

 

何故か新春第2弾映画にあまり力がなく、宣伝もあまり目立たない。そのため惹句も今月は次の1本だけだ。

 

女に改造されても、《弾丸(タマ)》はある!:「レディ・ガイ」(アメリカ映画、1/6封切り)の惹句
映画のまんまをすっきり伝える、その怪しさを含めて。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月の懐かしい人

 

☆バーバラ・ハーシー
人間の生と死について考えさせてくれる「ルイの9番目の人生」で祖母の役を演じていたのはバーバラ・ハーシー、1965年から活躍していて間もなく70歳になるアメリカの女優だ。目鼻立ちがくっきりした元気っぽい人で、「ハンナとその妹」(1986年)の三女役や、「ブラックスワン」(2010年)のステージママ役が有名だろうか。
彼女が出てくるときっぱり、はっきりものを言われるような印象があり、今回の祖母役でも彼女が出てきたから事件解決のような気がした。

 

 

 

 

Ⅳ  今月の旧作

 

正月特別号にも書いたが、渋谷シネマヴェーラで『アルフレッド・ヒッチコック監督特集』が12/23~1/19に行われた。1927~1953年に作られたヒッチコック作品23本と、キャロル・リード監督の1作品、合計24本が上映された。
ヒッチコックは1899年8月13日にロンドンで生まれ、1980年4月29日に80才で亡くなっている。1939年までの作品はイギリスで製作し、1940年以降はアメリカ映画として発表している。サイレント作品も含まれるイギリス作品が25本、アメリカ映画が30本、1944年には英国政府政策のフランス向け国策映画短編を2本監督している。いずれにしても人生の前半はイギリス、後半はアメリカでと二つの時代に分かれている。一般的に有名なヒッチコック作品は、当然ながら40年以降のアメリカ映画に集中している。


今回の特集ではイギリス作品が11本、アメリカ作品でも1953年までに作られた12本が上映された。つまりヒッチコックの中では比較的地味な作品を中心に組み立てられていると言える。ハリウッド作品には「レベッカ」「疑惑の影」「汚名」などの有名作品も含まれるが、「スミス夫妻」「救命艇」「パラダイン夫人の恋」などそれほど有名ではない作品も多く含まれ、この特集がよりオタク的観点から選ばれているともいえる。単純に年代的に早いものを集めたとも言えるが。

 

外国映画(古)にあげた作品の内「早春」以外の13本は総てヒッチコック特集で上映されたものだ。もう少し見たかったのだが、後半は風邪をひいてしまい見られなかった。ヴェーラは基本2本立て上映だが、組み合わせがほぼ決まっていて、今回も1本は既見、もう1本は未見の組み合わせが結構あり、「疑惑の影」「三十九夜」「サボタージュ」「バルカン超特急」は再見になった。未見作品で面白かったのは次の通り。


海外特派員」(1940年)は有名作品だが、後に作られた「北北西に進路を取れ」とほぼ同じスピード、アクションの連続で驚いた。ここにもう少し女性的なきらめきが加われば、ほとんど同じ作品のよう。1959年に作られた「北北西…」はより派手で、視覚的にはなっているが。


救命艇」はジョン・スタインベック原作の作品、2次大戦下Uボートに攻撃を受けた客船の救命艇が舞台、言ってみれば舞台的な限定された空間でのドラマ、乗り合わせた人々の個性がむき出しになってくる面白さで魅せる。主演のタルーラ・バンクヘッドは名前だけは知っていたが、凄い人でびっくり。ジャーナリストの役も彼女の台詞回しでより生き生きと感じられた。一面ヒッチコックらしくない作品。


ロープ」の無理な設定は、後年「サイコ」や「鳥」で感じられたありえない設定、見せるために作られた画面などを思い起こさせる。人を惹きこむために多少の無理は承知の上ではったりをかます。いかにも活動屋ヒッチコックの面目躍如という感じだ。

 

それにしても、こうした作品が立ち見が出るほど人を集めることができるのは驚くばかり。私のように若い頃に見逃していたものの映画館での落穂ひろいをしている人が多いのだなと感じている。

 

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●自ら死を体験しようとする医学生を描く「フラットライナーズ」を見ていると、アメリカだったらあり得るかもしれないなとも思う。一人目が上手く生還でき、過去に学んだことを信じられないほど思い出すという結果があった時、次々に実験台になるというのも凄い。

 

●韓国では大統領が変わるたび、前の大統領が逮捕されたりする。観ていても分かりやすい権力の交代である。悪の世界でマスターと呼ばれる大ボスをイ・ビョンホンが演じる「MASTER/マスター」は、検察側にも最後まで喰らいつく一人の若者を置き、力の対決、だまし合いをたっぷり見せてくれる。

 

●やっと見た「GODZILLA怪獣惑星」、本当にこんなゴジラを作りたかったのかと思った。2万年後の破壊の王者という売込みだが、このアニメーション作品は実写版とは何の関係もないという事だろう。

 

●インド映画で歴代最高興収を挙げたという「バーフバリ 伝説誕生」(昨年公開)は残念ながら見逃している。続編「バーフバリ 王の凱旋」は前の記録を破る大ヒットと聞く。見てみると正にインド映画、歌、踊り+派手派手アクションに、民衆に支持される王という設定の3代にわたる物語はさすがの出来。

 

●スタンリー・トゥッチは多くの作品で脇役として活躍している。例えば「プラダを着た悪魔」とか。時に監督・脚本もしているが、久しぶりの監督・脚本作が「ジャコメッティ 最後の肖像」である。ジャコメッティは絵をなかなか完成できない。1日だけの予定が18日まで伸びてしまう。その謎を教えてくれる映画だ。

 

●ジャコメッティの弟ディエゴを演じていたのはトニー・シャルーブ、TVシリーズ「モンク」という潔癖症の探偵を演じて独特の味を出していた俳優だ。今月は彼がもう1本出演していた。ウォルター・ヒル監督の久しぶりの作品「レディ・ガイ」だ。こちらでは捕まった女医を精神鑑定する精神科医の役。結構似合っている。

 

●ミッシェル・ロドリゲスがフランク・キッチンという殺し屋を演じる「レディ・ガイ」には、彼を彼女に改造した女医役でシガニー・ウィーバーも出演している。頭の冴えたクールな悪役(?)を例によって嬉しそうに演じている。

●見逃していた「早春」をやっと見ることができた。ポーランドでの活動ができなくなっていたイエジー・スコリモフスキ監督がロンドンで撮った1970年の作品だ。デジタル・リマスター版完成記念での公開、今までソフト化もされていなかったという。15才の少年でしか描けない絶望的な恋、あの当時の猥雑なロンドン、キャット・スティーヴンスのロック、鮮やかな色彩、若々しい感性で貫かれたスコリモフスキの傑作だった。

 

 

 

 

 

 

 



今月のトピックス:アカデミー賞2018始まる



Ⅰ アカデミー賞ノミネーション 

 

90回目となる今年の米アカデミー賞授賞式は現地時間3月4日(日)の夜行われる。(日本時間では3月5日昼間)
ノミネーション作品が1/23に発表された。毎年予想している作品、監督、主演男女優、助演男女優の各賞のノミネート作品は次の通り。日本で既に公開された作品は「ダンケルク」「ゲット・アウト」の2作品のみ。ほぼ見ないままでの予想作品の前には◎を付けましたが、来月号で再度検討、変更するかもしれません。
最多ノミネートを受けたのは13部門の「シェイプ・オブ・ウォーター」、それに続くのが共に7部門の「スリー・ビルボード」と「ダンケルク」、さらに6部門で「ファントム・スレッド」と「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」が並ぶ。

 

◇作品賞
◎スリー・ビルボード (2月1日 日本公開)
 ダンケルク (日本公開済)
 ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (3月30日 日本公開)
 君の名前で僕を読んで (4月 日本公開予定)
 シェイプ・オブ・ウォーター (3月1日 日本公開)
 レディー・バード (6月 日本公開予定)
 ゲット・アウト (日本公開済)
 ファントム・スレッド (日本公開未定)
 ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 

  (3月30日 日本公開)

 

◇監督賞
◎ギルレモ・デル・トロ (シェイプ・オブ・ウォーター)
 クリストファー・ノーラン (ダンケルク)
 ジョーダン・ピール (ゲット・アウト)
 グレタ・ガーウィグ (レディー・バード)
 ポール・トーマス・アンダーソン (ファントム・スレッド)

 

◇主演男優賞
 デンゼル・ワシントン (Roman J. Israel, Esq. 日本公開未定)
◎ゲイリー・オールドマン (ウィンストン・チャーチル/

   ヒトラーから世界を救った男)
 ダニエル・デイ・ルイス (ファントム・スレッド)
 ティモシー・シャラメ (君の名前で僕を読んで)
 ダニエル・カルーヤ (ゲット・アウト)

 

◇主演女優賞
◎フランシス・マクドーマンド (スリー・ビルボード)
 メリル・ストリープ (ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書)
 サリー・ホーキンス (シェイプ・オブ・ウォーター)
 シアーシャ・ローナン (レディー・バード)
 マーゴット・ロビー (アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル 

  5月4日 日本公開)

 

◇助演男優賞
 ウディl・ハレルソン (スリー・ビルボード)
 ウィレム・デフォー (ザ・フロリダ・プロジェクト(原題) 

  5月 日本公開予定)
 サム・ロックウェル (スリー・ビルボード)
 リチャード・ジェンキンス (シェイプ・オブ・ウォーター)
◎クリストファー・プラマー (All the Money in the World 

  日本公開未定)

 

◇助演女優賞
 アリソン・ジャニー (アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル)
 メアリー・J・ブライジ (マッドバウンド 哀しき友情 

   Netflix配信  2017年1月17日)
◎ローリー・メトカーフ (レディー・バード)
 オクタヴィア・スペンサー (シェイプ・オブ・ウォーター)
 レズリー・マンビル (ファントム・スレッド)

 

 

 

 

Ⅱ ハリウッドのセクハラ

  

昨年10月に大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラが告発され、#Me Too運動にまでなってきたことは、もうご存知の通りというか、皆さんの方が良く知っていらっしゃるだろう。
今回、上のアカデミー賞ノミネートを調べていて驚いたことがあった。助演男優賞として私が予想したクリストファー・プラマーの「All the Money in the World」について調べていた時、次のことを知ったのだ。

 

リドリー・スコットの製作・監督になるこの作品は、アメリカの石油王ジャン・ポール・ゲッティの孫ジョン・ポール・ゲティ三世が1973年に誘拐された事件を描いたもの。この映画でジャン・ポール・ゲティを演じていたのはケヴィン・スペイシーで、撮影は終了していたのだが、10月下旬に彼がセクハラ問題で訴えられた。この時リドリー・スコットは急遽クリストファー・プラマーに差し替え、総てを撮影し直したというのだ。問題が発覚した時アメリカでの公開まで1カ月しか残っていなかった。スタッフたちはサンクス・ギビングの休暇も返上してすべてを取り直し、オリジナルの公開日には間に合わなかったものの12月25日の封切りを実現させたという。これで12月31日までに公開された作品となり、アカデミー賞ノミネートの条件を満たしたのだ。
今年80歳のリドリー・スコット、88歳のクリストファー・プラマー、流石の根性だ。

 

 

 

Ⅲ 爆音映画祭


2004年に吉祥寺バウスシアターで爆音上映イベントを始め、2008年に爆音映画祭を始めたのは映画評論家の樋口泰人氏。言葉通り、映画の音響を音楽ライブで使うような機材で再生する上映方法だ。この爆音映画祭が10年を超えて大きく拡大している。映画祭のオフィシャルサイトを見てみると全国12か所での映画祭が載せられている。開催都市は山口、大阪、松本、堺、京都、名古屋、新千歳に東京では映画館や映画の種類などで5か所での映画祭が開催されている。
なぜこれほどに拡大してきたのか?それほど人気があったのか?
実は今回初めて東京丸の内ピカデリーで開催されているアニメーション爆音映画祭の作品を見に行った。確かに館内の前と後ろに通常見ない機材が置かれていた。今回見たのは「夜明け告げるルーのうた」で歌と踊りが作品の重要な部分を占める作品だったので、凄い音響で聞けたのは良かった。ただ、今回出かけたのは見逃していたのが理由で、特に音響を期待してという事ではなかった。
映画館の音響は昔に比べて格段に良くなっている。もともと音響は聞き比べなければ違いを実感するのは難しいので、この映画祭がどの程度の意義を持っているのか私にはまだ分からない。

 

 

 

 

Ⅳ 漫画の実写映画化


相変わらず日本映画で漫画を原作とするものは多く作られている。面白い作品も多くあるし、集客も良いものも多い。
しかし、先月号で「鋼の錬金術師」について書いたように必ずしも成功したと思えないものも散見される。特に、アニメであれば受け入れられるのに実写作品になると違和感を覚えるものがあるのだ。「進撃の巨人」「鋼の錬金術師」は見て、乗り切れなかったのだが、ここに「ジョジョの奇妙な冒険」も入るのではないか?公開前は随分持ち上げられていたが、興行成績はそれほどでもなくどうだったんだろうと、見ていない私は思った。まあ、予告編を見てもその世界に入りきれないと感じたのだが。
マンガあるいはアニメの世界であれば受け入れられるのに、実写となると受け入れがたいというのは実写の持つリアル感がおかしいからだ。無理に実写にする意味はあったのか?もっと工夫をするべきではないか?漫画と映画は違う作品として、実写映画として自立できる作品にする意識が足りなかったのではないか?
今やアメコミ原作の実写映画がハリウッド大作として作られ、世界で受け入れられているあたりも参考にできるのではと思う。

 

 

 

今月はここまで。
次は多分まだ寒いだろう2/25にお送りします。




                         - 神谷二三夫 -


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