2019年 2月号back

冬だから当たり前と寒くなってきました。
それでも東京では雪もなく、晴天が続いていて、
冬らしい澄んだ空気で遠くまで見ることができます。
寒い時、心だけでも、いや身体も温かくしたい時は、
そう、映画館!

 

 

 

今月の映画

 

12/26~1/25のお正月を含む31日間に出会った作品は44本
(ジャン・ヴィゴの中編1本+短編2本は合わせて長編1本と数えています)、
邦洋画比率は1:4.5、新旧作比率は2:1となりました。
最近は新春第二弾とはあまり言わなくなりましたが、
後半に力強い作品が結構ありました。



<日本映画>

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 
世界一と言われた映画館 
マスカレード・ホテル
愛のお荷物(旧) 
あした来る人(旧) 
姿なき目撃者(旧) 
左ききの狙撃手 東京湾(旧) 

怪談(旧)

 

 

<外国映画>

アリー スター誕生
  (A Star is Born) 
メアリーの総て
  (Mary Shelley)
ピアソラ 永遠のリベルタンゴ
  (Astor Piazzolla Inedito /
   Piazzolla, The Years of the Shark) 
それだけが,僕の世界
  ( Keys to the Heart)
グリンチ
  (The Grinch) 
いつか家族に
  ( Chronicle of a Blood Merchant) 
ワイルド・ストーム
  (The Hurricane Heist) 
共犯者たち
  ( Criminal Conspiracy) 
マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!
  (My Generation) 
迫りくる嵐
  (暴雪将至 / The Looming Storm) 
シュガー・ラッシュ:オンライン
  (Ralph Breaks the Internet:Wreck-IT Ralph 2) 
マイル22
  (Mile 22) 
クリード 炎の宿敵
  (Creed II) 
蜘蛛の巣を払う女
  (The Girl in the Spider’s Web) 
未来を乗り換えた男
  (Transit) 
アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング
  (I Feel Oretty) 
葡萄畑に帰ろう
  (The Chair) 
喜望峰の風に乗せて
  (The Mercy) 
22年目の記憶
  ( My Dictator) 
TAXiダイヤモンド・ミッション
  (Taxi 5)  
ライ麦畑の反逆者 ひとりぼっちのサリンジャー
  (Rebel in The Rye) 
バハールの涙
  (Les Filles du Soleil / Girls of The Sun) 
ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス
  (Westwood:Punk,Icon,Activist) 
ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~
  (Whitney) 
愛と銃弾
  (Ammore e Malavita / Love and Bullets) 
サスペリア
  (Suspiria)

 

<蓮見重彦セレクション ハリウッド映画史講義特集>
緑色の髪の少年(旧)
  (The Boy with Green Hair) 
その女を殺せ(旧)
  (The Narrow Margin) 
拾った女(旧)
  (Pickup on South Street) 
天使の顔(旧)
  (Angel Face) 
危険な場所で(旧)
  (On Dangerous Ground) 
その男を逃すな(旧)
  (He Ran All the Way) 
月蒼くして(旧)
  (The Moon is Blue) 
拳銃魔(旧)
  (Gun Crazy)


<ジャン・ヴィゴ特集>
アタラント号(旧)
  (L’Atalante) 
新学期 操行ゼロ(旧)
  (Zero de Conduite:

   Jeunes Diables au College、中編)  
競泳選手 ジャン・タリス(旧)
  (Taris,Roi de L’Eau、短編) 
ニースについて(旧)
  (A Propos de Nice短編)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

 

① ライ麦畑の反逆者 ひとりぼっちのサリンジャー
ライ麦畑を読んだのは高校生の頃だったろうか?自分の居場所がよく分からず、いわば「エデンの東」のキャルのように世界に対して否とのみしか言えない状態に共感した。サリンジャーは1919年1月1日生まれで、今年生誕100周年、映画は彼がコロンビア大学の創作文芸コースで学ぶあたりから、成功後田舎に隠れ住むまでを描く。ウーナ・オニールが出てきた時には、えっ、あのチャップリンの奥さん?と驚いたのだが、サリンジャーにとっても大きな存在だったことにも驚いた。

 

② バハールの涙
イラクのクルド人自治区で実際に起きた事件をヒントに作られた映画は、ニュース等でも報道されていたISが町を支配、男性を殺害、女性は性奴隷として連れ去り、子供は兵士に教育する様が描かれる。それに対し、女性たちが自ら立ち上がり女性武装部隊“太陽の女たち”を結成、女に殺されると天国に行けないと信じられているイスラム国で戦う女になっていく。監督はエヴァ・ウッソン、バハールは「パターソン」に出ていたゴルシフテ・ファラハニが凛とした表情で演じている。

 

③-1 共犯者たち
韓国のメディア統制についてのドキュメンタリー。監督はまるでマイケル・ムーアのように映画の中であらゆる人にインタビューに出かけるチェ・スンホ、かつてMBCのプロデューサーだったが解雇され、その解明に当たるのだ。いやー、必見です。日本のメディアは大丈夫か?

 

③-2 22年目の記憶
韓国・北朝鮮の南北首脳会談が1972年に予定され、金日生と会談する大統領にその練習をさせるため、韓国は金日生のダミーを用意していたという想定の下、22年後の1994年に実際に予定された会談(しかし金日生の死去により中止)の前日談までを描く。会話には現在の南北関係をも想定させる内容も含まれ、観客の心をつかむ。

 

 

 

楽しめる作品は他にもあります。映画館に出かけましょう!

 

アリー スター誕生:4度目の映画化の「スター誕生」。前回のバーブラ・ストライサンド主演の時と同様、歌手(女優ではなく)が主人公。今回監督・主演(さらに共同製作、共同脚本)のブラッドリー・クーパーが想定以上に歌が上手かったのと、レディー・ガガの素顔がどんな風かが分かったのが収穫。

 

メアリーの総て:「フランケンシュタイン」の作者メアリー・シェリーの物語。彼女が詩人シェリーと結婚していたとは知らなかった。このシェリーがいかにもいい加減な男で苛つく。彼女が生んだ女の子は貧乏生活の果てに死なせてしまう。後半にはバイロン卿のスイスの邸宅での放埓生活と波乱万丈であった生き方に驚く。

 

こんな夜更けにバナナかよ:障害者は控えめに生きているのが普通、表に出ない方が良いと思っている多くの日本人に物申して、“わがまま”に生きた実在の人物を描く。

 

グリンチ:意地悪なグリンチは日本人には不人気のキャラクターだ。2000年の実写版映画(ジム・キャリー主演、ロン・ハワード監督)もヒットしていなかったと思う。今回の作品はアニメーションとしてはよく出来ている。作画、テンポなど良。

 

ワイルド・ストーム:「トリプルX」「ワイルド・スピード」などを監督したロブ・コーエンの新作は超強力嵐と財務省の紙幣処理施設襲撃を組み合わせたいかにもな作品、心置きなく楽しめる良作。

 

マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!:マイケル・ケインが製作にも関わり、画面に登場してナレーションも担当する。彼が登場した60年代のロンドンの文化、芸術、生活を心ゆくまで描いている。当時を知る人には懐かしいものが満載だ。

 

蜘蛛の巣を払う女:「ミレニアム」シリーズ3作の原作者スティーグ・ラーソンの死去後、ダヴィッド・ラーゲルグランツが書き上げた4作目を映画化。スウェーデン製作3作のナオミ・ラパス、ハリウッドでのリメイクのルーニー・マーラーに次いで、3人目のリスベット役者はクレア・フォイ、最近活躍のイギリス人女優。ちょっとイメージが違うかもしれないが、派手なアクションとリスベットの家族が登場のストーリーで引き付ける。

 

アイ・フィール・プリティ! 人生最大のハプニング:スポーツジムでの自転車こぎで落ちて頭を打った主人公、目覚めた時自分が美人になったと錯覚し…というコメディ。なかなかよくできているが、見ている人が笑わないと映画館が盛り上がらない。

 

葡萄畑に帰ろう:ジョージア(グルジア)からやってきた映画は政治と人々をファンタジーでくるんで描き、メッセージを伝えてくれる。始まりは空から降りてくる箱、その中から椅子が現れ後半まで活躍する。

 

喜望峰の風に乗せて:結構つらい映画、よくこの内容で作ったものだと感心した。映画は見る人が感情移入できる主人公を用意する。最終的に成功物語が望まれる。この映画は実話の映画化だ。50年ほど前の出来事だが、なんとなく記憶していた。

 

マスカレード・ホテル:人気作家東野圭吾の原作の映画化。人気俳優を多く登場させ、それなりのにぎやかさを醸し出す映画に仕上げたのは鈴木雅之監督の腕か?マスカレード=仮面舞踏会のように様々な人物がやってくるホテルを舞台にしての華やかな映画は楽しめるが、緯度、経度を利用しての謎解きにはちょっと疑問が。

 

ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~:最近音楽家の映画が相次ぐ。彼等、彼女等がピークの人気を誇っていた頃しか知らないできたが、その前後に大きなドラマがあったことを教えてもらった。ホイットニー・ヒューストンのドキュメンタリーもその貴重な1本だ。壮絶といっていい人生だったんだなぁ。

 

愛と銃弾:いやー、かなり驚いた。ナポリのマフィア、カモラの映画なのにミュージカルなんだ。監督はイタリアのマネッティ兄弟(マルコとアントニオ)で、前作は「僕はナポリタン」だが見ていない。兄弟はナポリ出身なんだろうな。サイトには“イタリアを代表するミュージシャンたちのビデオクリップを100本以上制作”とあるので、音楽はお手の物かも。あまり目立たない、どちらかといえば控えめな楽曲が多い(12~3曲)中で、突然「フラッシュダンス」が出てきたのには驚いた。「フラッシュダンス」はMTVの先駆的作品だからか。

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>


今月見た2本「愛のお荷物」「あした来る人」はいずれも川島雄三監督の作品である。
川島監督といえば、松竹→日活→東宝(東京映画)→大映と活躍の場を移しながら数多くのプログラムピクチャーを含め51本の作品を監督した。代表作の2本、「幕末太陽伝」「洲崎パラダイス赤信号」は共に日活時代の作品だが、今月見た2本は、1955年に日活に移って作られた1作目と2作目である。


愛のお荷物」は殆ど落語の世界で、「幕末太陽伝」に通じている。戦後の出産増加の中、如何に人口増加を食い止めるかが話題になっている。今観ると、現在の如何に人口を増やすかというか、減らさないようにするかという問題と真逆の話題になっていることに驚く。さらに優生保護法の話も出てきて、現代に通じるものでもあると実感。

 

 

<外国映画>


今月も渋谷シネマヴェーラで上映中の<蓮見重彦セレクション ハリウッド映画史講義特集>に足繁く通った。今月見たのは8本、その中で目立った作品は次の通り。


その女を殺せ:マフィアの未亡人をシカゴからL.A.までの大陸横断鉄道で護送する刑事、不審人物、妙に寄ってくる10歳くらいの子供、どんでん返し連続の脚本が見事。


月蒼くして:緊張感に富んだ作品の多いオットー・プレミンジャー監督が珍しくもラブコメを手掛けた。ウィリアム・ホールデン、デヴィッド・ニーヴンと共演したマギー・マクナマラの役柄は今考えればオードリー・ヘップバーン的なもの。アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたが、「ローマの休日」のヘップバーンに敗れたという。

 

 

Ⅲ 今月の懐かしい人

 

元モデルという女優は多い。今月の懐かしい二人はともに元モデルです。


★ブリジット・ニールセン
「クリード 炎の宿敵」でクリードの対戦相手ドラゴ(イワン)の息子(ヴィクター)の元母を演じていたのは、「ロッキー4/炎の友情」でイワンの妻を演じていたブリジット・ニールセン、今回ドラゴを演じたトッド・ラングレン共々同じ人物を演じた訳だ。
「ロッキー4」の後シルベスター・スタローンと結婚したが2年で離婚している。その後「ビバリー・ヒルズ・コップ2」などに出ていたが、徐々に見ることはなくなっていた。
1963年生まれの55歳、以前アマゾネスを演じていた体型もキープしている。

 

★ローレン・ハットン
「アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング」で高級化粧品会社ルクレア社を一代で築いたリリー・ルクレアを演じていたのは、「アメリカン・ジゴロ」でリチャード・ギアの相手役だったローレン・ハットン。彼女は女優というより、75歳の今もモデルとしての名前の方が有名だ。2年前には73歳で「ヴォーグ」の表紙を飾り最年長を記録した。
長年化粧品レブロンのアイコンを務めた。久しぶりに出演した今回の映画の役はまさに適役だ。前歯の間が空いているすきっ歯でも有名だ。

 

 

Ⅳ 今月の惹句(じゃっく)

 

12/26~1/25の間に封切りされた作品の惹句の中から、今月は“溢れ出た”2本。

孤独の中で言葉が溢れ出す―:ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー
その唄は、僕らの運命から溢れ出た―。:愛唄

映画は人の感情が溢れ出すものが多い。それを素直に表現した2本。

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●題名からすればカラー映画だと想像しても不思議はない「緑色の髪の少年」は、中学生の時TVで見たのだが白黒画面しか覚えていないのは、カラーテレビではなかったからだ。57年ぶりに映画館で見たらカラー画面で印象がかなり違う。この映画のためジョゼフ・ロージー監督が赤狩りに遭い、ヨーロッパに活動の拠点を移したという暗いイメージがないのに驚く。

 

●タンゴに詳しい訳ではないがタンゴの枠に収まりきらないピアソラには興味があった。「ピアソラ 永遠のリベルタンゴ」は彼の娘、息子が関わり多くのプライヴェートフィルムも使われていて面白かったのだが、あまりに彼らの家族映画のようになっていてちょっと付いて行けない部分もあった。

 

●大スター、イ・ビョンホンからは想像できない落ちぶれた中年のボクサーを演じる「それだけが、僕の世界」は、17年ぶりに出会った母と年の離れた弟との家族生活を描いている。スターらしさを捨てての役に挑戦だが、話がちょっとできすぎ感があるのが残念。

 

●マリアンヌ・フェイスフルが想像以上に大きな力を持っていたんだなと思った「マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ」は1960年代後半の様々な分野のスターを登場させて懐かしい。

 

●残念ながら酒田には行ったことがない。「世界一と言われた映画館」は酒田市にあった映画館「グリーンハウス」についてのドキュメンタリー映画館だ。グレン・ミラー楽団のムーンライトセレナーデが流れ、スクリーン前には生花が飾られていた。多くの人々に愛された映画館は1976年、酒田大火の火元となって消失してしまった。シネコンの時代になり、個性的な、地元の映画館がなくなりつつある現在に対する警鐘のような映画だ。ちなみに世界一と書いたのは淀川長治さん。


最近の朝日新聞に安藤桃子監督がプロデユースする高知の映画館「ウィークエンドキネマM」のことが出ていた。やはり、やり方によっては地方でも人を集めることができるし、魅力的な映画館を作ることができるという事だろう。

 

●ワインスタインから発したセクハラ問題で引退を迫られた一人がケヴィン・スペイシーだったが、「ライ麦畑の反逆者 ひとりぼっちのサリンジャー」を見ると彼の巧さに舌を巻く。サリンジャーに大きな影響を与えた編集者バーネットを演じて作品に厚みを与えている。

 

●どこかで見た顔だがどうしても思い出せなかったのが「バハールの涙」の主演女優ゴルシフテ・ファラハニだ。1年半ほど前に公開された「パターソン」の女性だったのだ。表情があまりに違うからだが、ゆったりした表情も厳しい表情もどちらも素晴らしい。調べれば「彼女が消えた浜辺」にも出ていた。

 

 

 

 

 



今月のトピックス:アカデミー賞予想


Ⅰ アカデミー賞予想


91回目のアカデミー賞授与式が現地時間2月24日の夜に行われる。日本時間では2月25日になる。そう、見せよう会通信の発信日である。ということは、この2月号で予想をたてなければならない。ノミネーションが発表されたのは現地時間1月22日だ。例によって受賞予想をするのは作品、監督、男・女優の各主演、助演賞の6部門だが、この6部門のノミネート作品で、今日までに見ることができたのは「ボヘミアン・ラプソディ」「アリー/スター誕生」「ブラックパンサー」だけだ。Netflixの「ROMA/ローマ」は見ていない。
◎を付けたのが私の受賞予想。一言感想も付けました。

 

作品賞:ローマとグリーンブックの争いか?バイスも面白そうだが。
ROMA/ローマ (Netflixで2018年12月より配信)
アリー/スター誕生 (12月公開済)
◎グリーンブック (3月1日封切り予定)
ボヘミアン・ラプソディ (11月公開済)
ブラックパンサー (3月公開済)
女王陛下のお気に入り(2月15日封切り予定)
ブラック・クランズマン (3月22日封切り予定)
バイス (4月5日封切り予定)

 

監督賞:メキシコ勢が続きます。
◎アルフォンソ・キュアロン (ROMA/ローマ)
スパイク・リー (ブラック・クランズマン)
ヨルゴス・ランティモス (女王陛下のお気に入り)
アダム・マッケイ (バイス)
パヴェウ・パヴリコフスキ (COLD WAR あの歌、2つの心 6月28日封切り予定)

 

主演男優賞:ヴィゴ・モーテンセンにあげたいとも思うが。
◎クリスチャン・ベイル (バイス)
ラミ・マレック (ボヘミアン・ラプソディ)
ブラッドリー・クーパー (アリー/スター誕生)
ヴィゴ・モーテンセン (グリーンブック)
ウィレム・デフォー (永遠の門 ゴッホの見た未来 2019年封切り予定)

主演女優賞:グレン・クローズがアカデミー賞を取っていないのが意外。


◎グレン・クローズ (天才作家の妻―40年目の真実― 1月26日封切り予定)
レディー・ガガ (アリー/スター誕生)
オリヴィア・コールマン (女王陛下のお気に入り)
ヤリツァ・アバリシオ (ROMA/ローマ)
メリッサ・マッカーシー (Can You Ever Forgive Me? 公開未定)

 

助演男優賞:2年前にも同賞受賞しているが。
◎マハーシャラ・アリ (グリーンブック)
リチャード・グラント (Can You Ever Forgive Me? 公開未定)
サム・エリオット (アリー/スター誕生)
アダム・ドライバー (ブラック・クランズマン)
サム・ロックウェル (バイス)

 

助演女優賞:レジーナが有力らしいが、そろそろエイミー・アダムスに取らせよう。
レジーナ・キング (ビール・ストリートの恋人たち 2月22日封切り予定)
レイチェル・ワイズ (女王陛下のお気に入り)
エマ・ストーン (女王陛下のお気に入り)
◎エイミー・アダムス (バイス)
マリーナ・デ・タビラ (ROMA/ローマ)

 

 

 

 

Ⅱ ボヘミアン・ラプソディ その後


ボヘミアン・ラプソディ騒動がまだまだ収まらない。10週目となった1/12~13の週末興収では引き続き2位を確保、驚くべきはその興収が前週の118%と今なお増加していたことだ。11週目となった1/19~20の週末興収でも2位を確保、流石に対前週では少し落ちたが累計動員は720万人、興収では99億円を超え、「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」「名探偵コナン ゼロの執行人」「ジュラシック・ワールド 炎の王国」を抜き、2018年に公開された邦画・洋画合わせた全映画の第1位になった。100億円突破は1/24のNHKニュースで知った。ブームになった興行の力強さをまざまざと見せている。

 

 

 

Ⅲ ひとり占め


2019年になって初めて見た新作は「グリンチ(字幕版)」だった。12月中に見ようと思っていたのだが年を超えてしまった。調べると吹き替え版ばかりが上映されるようになってきて、ベネディクト・カンバーバッチが声優を務める字幕版の上映がぐんと少なくなっていた。真夜中などではなくまともな時間に字幕版を上映しているのは新宿バルト9しかなかった。
前日の夜インターネットで予約して出かけたのは1月3日、朝08:00からの回だった。ちょっと朝早すぎかとは思ったものの、届いた年賀状の処理などすることがあるので早くに出かけたのだ。スクリーン5への入場は10分前だった。ど真ん中の席に座って待っていたが、他の人は入ってこない。予告編が始まり、本編が続いても誰も来ず、遂に久しぶりに一人だけの鑑賞になってしまった。多分10年ぶりくらい。こいつは春から縁起が良い?
色々な原因が考えられる。映画の人気がなかった。字幕を読めない人が多く、吹き替え版に流れた。カンバーバッチ人気もそれほどではない。08:00~という時間が早すぎた。
いずれにしても新年一番に豪華な映画鑑賞ができて満足?!

 

 

Ⅳ 君の名は


「。」のつかない「君の名は」は1953年9月~1954年4月にかけて全三部作として公開された。原作は菊田一夫のラジオドラマ用の書下ろし脚本だった。戦中・戦後の時代背景に描かれたメロドラマは、人々の共感を呼び大ヒットとなった。
NHKラジオで1952年4月10日~1954年4月8日、毎週木曜20:30~21:00の30分間番組として放送された。開始後半年間はそれ程の人気はなかったらしい。それが真知子と春樹の恋愛が進行するにつれ人気が高まったという。「番組が始まる時間になると、銭湯の女湯から人が消える」という伝説さえ生まれた。(一説によればこれは松竹が映画宣伝のために作りだしたものというのだが)
松竹はラジオ放送継続中に映画化を決め、1953年9月から三部作を公開、超大ヒットとなった。岸恵子演じる真知子のスカーフが真知子巻きとして大流行など、社会現象となったようだ。
この三部作が2/16~22の1週間のみ上映される。神保町シアターが公開65周年記念として一挙上映。土・日は1部11:00、2部13:45、3部16:15から上映開始、平日はそれぞれ1時間後に上映開始。3本の上映時間はそれぞれ2時間7分、2時間、2時間5分なので間に30分前後の休みも取れる。興味のある方はどうぞ。私は行こうと思っています。ただし、混雑状況により入場できない場合もあり得ますのでご注意ください。

 

 

 

Ⅴ TOHOシネマズ日比谷


昨年オープンした日比谷地区初のシネコン、TOHOシネマズ日比谷はサイトに「“映画の宮殿 THE MOVIE PALACE(ザ・ムービーパレス)”をコンセプトとして、これまでの劇場にはない極上の空間を提供します。日比谷公園を一望できる開放的なロビーは、お客様を都会の喧騒から離れた“ムービーパレス”へと誘(いざな)います。」とある。
他の映画館との大きな違いは、映画に関するポスターやチラシが一切ないことだ。これが“喧騒から離れた”ことになるのだろうか?しかも、各スクリーンの入口前には上映されている作品情報が一切ない。ひょっとして、入っていく人が何を見に行くかが分からないようにしているのだろうか?個人情報という事で。それより、今後ますます高齢者が増えていく中で、間違えたスクリーンに入ってしまいそのままになる人は出ないだろうか?他のシネコンだったが、映画が始まってから急に出て行って帰ってこない夫婦がいたこともあった。
スクリーンごとに作品名を掲げるのも、館内のチラシを交換・整理するのも手間がかかる。その人件費たるやと東宝が考えたとしても不思議はない。合理主義的な東宝だから。
勿論このシネコンの良いところもある。入場が15分前頃と少し早目、何しろロビースペースが広い、同じ階に11スクリーンがあるなどである。
しかし、単に映画を見る場所としかなっていないという感じもする。もう少し映画に対する夢を喚起するものがあって欲しいなとは今でも思う。

 

 

 

今月はここまで。

次号はまだまだ寒いだろう2/25にお送りします。

 


                         - 神谷二三夫 -


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