今年の冬は暖冬で複数の人から“雪がない”と届きました。
暖かいのは心地良いので嬉しいですが、
季節なりの厳しい寒さも必要です。
いつでも経験できる心への厳しさ、
そう、それは映画館で!
12/26~1/25のお正月を含む31日間に出会った作品は46本、
日本/外国の本数は5/41と外国映画が圧勝、新作/旧作は28/18となりました。
先月に引き続き<フィルム・ノワール>特集が旧作と全体の本数を押し上げました。
【新作】
この世界のさらにいくつもの片隅に
男はつらいよ50 お帰り寅さん
さよならテレビ
ラスト・レター
帰郷
【新作】
ある女優の不在
( 3 Faces)
ラスト・クリスマス
(Last Christmas)
ラ・ポワント・クールト
(La Pointe-Courte)
燃えよスーリヤ!
(Mard Ko Dard Nahin Hota
/ The Man who Feels No Pain)
だれもが愛しいチャンピオン
(Campeones / Champions)
ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋
(Long Shot)
冬時間のパリ
(Doubles Vies / Non-Fiction)、
アニエスによるヴァルダ
(Varda par Agnes / Varda by Agnes)
リチャード・ジュエル
(Richard Jewell)
パラサイト 半地下の家族
( Parasite)
ダウントン・アビー
(Downton Abbey)
ティーン・スピリット
(Teen Spirit)
2人のローマ教皇
(The Two Popes)
フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて
(Fisherman’s Friends)
フォードvsフェラーリ
(Ford v Ferrari)
マリッジ・ストーリー
(Marriage Story)
ナイト・オブ・シャドー 魔法拳
( The Knight of Shadows:
Between Yin and Yang)
ペット・セメタリー
(Pet Sematary)
ジョジョ・ラビット
(Jojo Rabbit)
イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり
(The Aeronauts)
マザーレス・ブルックリン
(Motherless Brooklyn)
オリ・マキの人生で最も幸せな日
(Hymyileva Mies
/ The Happiest Day in The Life of Olli Maki)
キャッツ
(Cats)
【旧作】
<フィルム・ノワールⅢ>
幻の女
(Phantom Lady)
恐怖のまわり道
(Detour)
ハイ・シエラ
(High Sierra)
暴力行為
(Act of Violence)、
邪魔者を殺せ(けせ)
(Odd Man Out)、
その女を殺せ
(The Narrow Margin)
不審者
(The Prowler)
静かについて来い
(Follow Me Quietly)
拳銃貸します
(This Gun for Hire)
ショックプルーフ
(Shockproof)
生まれながらの悪女
(Born to Be Bad)
眠りの館
(Sleep, My Love)
裏切りの街角
(Criss Cross)
ガラスの鍵
(The Glass Key)
殺人者
(The Killers)
郵便配達は二度ベルを鳴らす
(The Postman Always Rings Twice)
影なき殺人
(Boomerang!)
<その他>
アンナ
(Anna)
(新作だけを対象にしています)
① マザーレス・ブルックリン
シネマヴェーラのフィルム・ノワール特集に入れてもおかしくないフィーリングの作品を監督・脚本・製作・主演したのは俳優のエドワード・ノートン。監督としては20年ぶりの2作目だが、今回は脚本も書いている。探偵事務所のボスを演じるブルース・ウィリス、ニューヨーク市政の裏で権力を握る影の大物にアレック・ボールドウィン、その弟で今は兄と対立する男にウィレム・デフォーなど俳優の使い方も上手い。何といっても主人公ライオネルの人物造形が秀逸、ジャズ的感性に満ちた映画の在り方にフィットしている。
②-1 パラサイト 半地下の家族
半地下の家、窓からは常に人の足が見えている家の存在が貧困を存在させる。夫婦と姉弟の4人家族は脱出を目指して、まず息子が裕福家庭の女高生の家庭教師に。そこからどんどん上昇志向に乗るのだが。韓国のポン・ジュノ監督の新作は思いもよらぬ展開で見る者を引き付ける。世界に拡がる格差の問題をこうまで分かりやすく、笑いの内に見せてくれるとは。
②-2 イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり
実話に基づく映画化だが、どこまで忠実なんだろうか?いえ、貶めようというのではなく、あの気球上の描写が本当なら凄いことだと言いたいのだ。映画として今月一番緊張させてくれた。1862年に気球で11277mに到達した気象学者とその乗務員の女性を描くこの作品には驚いた。公式サイトを見ると、実際に気球上の撮影(高さは違うにしても)を敢行したとあり、これには更に驚いた。必見!
③-1 フォードvsフェラーリ
派手な車の映画、如何にもハリウッドらしい題材だなと気楽に見ていると、ふたつの会社の在り方や、レースに係る人間たちの様々な戦い、会社人間と職人人間などまるで日本の映画かと思うような展開など、面白さに引き込まれる。ハリウッドらしい巧さを発揮、アカデミー賞作品賞ノミネートもうなずける。
③-2 2人のローマ教皇
ドイツ出身のベネディクト16世とアルゼンチン出身のフランシスコ、第265代と第266代の2人の教皇の関係を描く作品。監督はブラジルのフェルナンド・メイレレス(「シティ・オブ・ゴッド」が有名)、まるでドキュメンタリーかと思うほどにリアルな描写でヴァチカン内部を写し取る。アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスの演技合戦も見ものだ。Netflix作品のため上映映画館は限定されている。
他にも面白い作品が。映画館で楽しみください。(終わったものもあり)。
◎ある女優の不在:イランのジャファル・パナヒ監督は政府と対立した(政府に不都合なことを描いた)ために2010年以来映画製作禁止とされているが、それでも「これは映画ではない」「タクシー運転手」など作り続けている。その新作は多くの制約があるイスラム圏における女性の在り方、地位について描く応援歌。
◎ラスト・クリスマス:クリスマス過ぎの年末に見たのに案外混んでいた。そうだったのかの脚本(女優のエマ・トンプソンが執筆)が心地よく、香港映画出身のミッシェル・ヨーの演じた店主の存在も面白く、楽しめた。
◎ラ・ポワント・クールト:昨年90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ監督の1955年の作品はヌーヴェルヴァーグの先駆的作品とも言われる。彼女の持つドキュメンタリー的映画作り、明るさが良い方向に出た佳作。フィリップ・ノワレが若く、天使のような表情。
◎さよならテレビ:東海テレビ制作のドキュメンタリーは、カメラが自社の報道部に入る。突然の撮影やマイクの設置にクレームする報道部。どこに行くのかこのドキュメンタリーは?という気がする。報道部でありながら、一場面一場面の視聴率が細かくチェックされている。さらに、正社員のキャスター、1年契約のリポーター、契約社員の報道部の男性と働き方もバラバラ等を知らせてくれるが、全体的には今一つ消化不良か?
◎だれもが愛しいチャンピオン:スペインからやってきた知的障害者のバスケットボールチームのお話。プロバスケチームのコーチと衝突して首になった副コーチのアラフォー男が指導させられたのは個性豊かなメンバーからなる知的障害者チーム。ほっこりです。
◎ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋:過激でリベラルな新聞社が右派の金持ちメディアに買収されプータローになった男と、美人で聡明な国務長官のラブコメ、結構面白いです。シャーリーズ・セロンとセス・ローゲンの主役コンビに脇役陣も活躍。
◎冬時間のパリ:パリに住む2組の夫婦、編集者と女優、作家と政治家秘書の夫婦の間で自分の不倫を小説の題材にしてきた作家を中心に様々な恋愛関係が描かれる。いかにもフランス映画だが、この映画の面白さでは特に編集者周辺での早い会話の面白さも見逃せない。フランスの文化状況が付いていけない速さで描かれるオリヴィエ・アサイヤスの新作。
◎リチャード・ジュエル:コンスタントに作品を作っているクリント・イーストウッドの新作は、今回も実話からの映画化。1996年オリンピックが開催されたアトランタでの爆発事件で人々を救った英雄から、一転してFBI・メディアから容疑者とされた警備員のお話。
◎ダウントン・アビー:評判になっていたTVドラマシリーズ(2010~2015年)は残念ながら見ていない。スタッフ、キャストが再結集して映画を作った。ダウントン・アビーに国王が宿泊するという物語、英国王室とクローリー家のそれぞれの使用人が対立したり、クローリー家の相続問題も絡みます。
◎ティーン・スピリット:オーディション番組「ティーン・スピリット」での優勝を目指す少女の物語。ポーランド移民の母子家庭で厳しい経済状態で暮らすヴァイオレット、偶然出会った彼女を応援するクロアチア出身の元オペラ歌手で初老の男ヴラドなど、ワイト島から始まることも併せ、端っこ感が溢れている。
◎マリッジ・ストーリー:題名とは裏腹に「結婚から離婚へ」のようなお話は、アメリカにおける離婚がいかに大変かを教えてくれる。ニューヨークで劇団を主宰し演出をする夫と俳優の妻は、彼女がTVのドラマに出るためロサンゼルスに息子とともに住むあたりから…。Netflixの製作になる本作はノア・バームバック(「イカとクジラ」等)の脚本・監督。
◎ジョジョ・ラビット:主人公の空想上の友人ヒトラーを演じるタイカ・ワイティティが脚本を書き、監督している作品は、舞台はドイツだが英語で作られている。この違和感が最後まで引っかかる。今一つ心に響いてこなかったのは、ナチスに寄りかかって感が強く、それでいいのかという気になった。結構評価されている作品ではありますが。
◎ラスト・レター:監督・製作・原作・脚本・編集と一人5役の岩井俊二の新作は、センスの良い画面、いかにもな作家の名前とか、2頭の犬とか岩井俊二ファンにとってはたまらないだろうなと想像できるが、物語的には結構疑問が残り入り込めなかった。センス良い背景動画としてなら良いのだが。
◎帰郷:時代劇専門チャンネルが8Kで製作した作品を放映前に期間限定でロードショー公開した作品。藤沢周平の原作にほれ込んだ仲代達矢が30年来の思いを実現、30年以上ぶりに故郷・木曽福島に帰ってくる渡世人を演じている。監督は杉田成道。久しぶりの東劇、高齢者でかなり混んでいたのも久しぶり。
<外国映画>
<フィルム・ノワールⅢ>渋谷シネマヴェーラでの特集上映に先月に続き通い17本を見た。その中で印象に残るのは次の作品群。
ハイ・シエラ:1941年のラオール・ウォルシュ監督作品、ハンフリー・ボガートの出世作。
邪魔者は殺せ(けせ):1947年のキャロル・リード監督作品はさすがの出来。IRA前身の話。
その女を殺せ(ころせ):1952年のリチャード・フライシャー監督作品は無駄なしの72分。
拳銃貸します:1942年のフランク・タトル監督作品。アラン・ラッドの殺し屋が最高。
生まれながらの悪女:1950年のニコラス・レイ監督作品。ジョーン・フォンテーンが適役。
殺人者:1946年のロバート・シオドマク監督作品。ヘミングウェー原作。
☆レイ・リオッタ
「マリッジ・ストーリー」で妻側の離婚専門弁護士(ローラ・ダーン)に対抗するため、夫が高いけれど雇った強引弁護士を演じていたのはレイ・リオッタ。「フィールド・オブ・ドリームス」で向こうからやってくるシューレス・ジョーの印象が強烈だった。何しろ目力が強い。次の作品「グッド・フェローズ」では実在の元マフィアを演じて評判を高めた。
現在65歳、ずっとご無沙汰ではなく結構最近も出演しているが、久しぶりに力のある目を見て懐かしかった。今回の弁護士役はいかにもあくが強そうで適役。
●思い起こせばいつも年末封切りだったなと思ったのは12月27日封切りの「男はつらいよ50 お帰り寅さん」を見た時だ。良くは知らないが、いつも製作がぎりぎりまで行われ12月20日以降の封切りに追い込まれたという印象があった。今回は東京国際映画祭でも上映していて、完成していたのでもっと早く封切った方が良かったのではと思った。24年ぶりだから、当時のファンは随分高齢化しているし、早く見せて話題作りにした方が良かったのではないか。週末の興行成績も封切り週が4位、お正月を挟んだ週が3位、3連休があった次の週が6位で、その後はベスト10から消えている。想像より寂しい成績に終わった。
●なかなかオープンな社会にならない日本、障害者(身体&知的)が社会で普通に動くという風景が見られない。「だれもが愛しいチャンピオン」を見ていると、知的障害者のバスケ選手が深夜までの皿洗いをしていたり、駐車違反の切符(?)を発行していたりで普通に働いている。少なくともスペインの方が開かれている。
●庵野秀明と言えば安野モモヨの夫でヱヴァンゲリヲンの作者だが「ラスト・レター」では松たか子の夫役を演じている。素人ぽい台詞回しがちょっと気になる。
●「真実のゆくえ」で映画デビューしたからか、結構変わった役柄の多いエドワード・ノートンだが、「マザーレス・ブルックリン」は俳優としては今まで同様変わった人物を演じているものの、映画監督としては素晴らしい才能を感じさせる。“if”とか、とっさの言葉を口にする今作の主人公の造形、力で抑え込まれることに対抗していこうとする主人公周辺の空気の描写力などに感心する。Wikipediaで調べたら、彼は日本語を学び、都市計画家の祖父を手伝うため大阪に1年弱滞在し海遊館の巨大水槽設置に携わりとあった。
●リアル過ぎるというか、猫人間が生まれたと世界的話題になったという新聞記事もあった「キャッツ」、俳優が猫に扮するところまでは舞台と同じだが、さらにCG技術でより猫に似せたのがやり過ぎという批判になったのだ。人間が登場しないミュージカルで猫の世界での演芸大会(?)を見せてくれるが、今回の映画化ではネズミとゴキブリまで登場、確かにちょっとリアル過ぎますね。舞台は見る人の空想力に訴えてくる。その舞台を写した映画であれば問題なかっただろうが、よりリアルにならざるを得ない映画という媒体での映画化で、内容がファンタジーであっただけに難しかったのかも。
第92回アカデミー賞授賞式は2月9日(現地時間)にハリウッドのドルビーシアターで行われる。この10年ほどは2月下旬に行われていたが、今年は少し早く2月上旬での開催となった。そのため、予想をたてられるのは今月号だけ、訂正はできない。
ノミネーションを多く獲得した作品は次の通り。
11ノミネート(1作品):ジョーカー
10ノミネート(3作品):アイリッシュマン
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
6ノミネート(4作品):ジョジョ・ラビット
ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語
マリッジ・ストーリー
パラサイト 半地下の家族
受賞数競争ではジョーカー、アイリッシュマン、1917 命をかけた伝令の三つどもえか?
日本人関係のノミネーションはなかったが、韓国の「パラサイト 半地下の家族」が外国語映画賞は勿論、作品賞、監督賞などにノミネートされたのは特筆に値する。
例年通り作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の6部門のノミネートと個人的予想は次の通り。この6部門でまだ日本で公開されていない、或いは公開未定は7作品で、特に主演女優賞では3作品がこれからの公開となっている。
◎印・太字にしたのが個人的予想です。
題名後ろの( )には日本での公開状況を記入しています。
作品賞:未見はこれから公開の2作のみ。結構接戦の予想。アイリッシュマンかも。
フォードvsフェラーリ (現在公開中)
アイリッシュマン (現在公開中、Netflix配信中)
ジョジョ・ラビット (現在公開中)
ジョーカー (公開済)
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 (3月27日公開予定)
マリッジ・ストーリー (現在公開中、 Netflix配信中)
◎1917 命をかけた伝令 (2月14日公開予定)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (公開済)
パラサイト 半地下の家族 (現在公開中)
監督賞:トッド・フィリップスが取るかもしれない。大穴でポン・ジュノ。
◎マーティン・スコセッシ (アイリッシュマン)
トッド・フィリップス (ジョーカー)
サム・メンディス (1917 命をかけた伝令)
クエンティン・タランティーノ (ワンス・アポン・ア・タイム・
イン・ハ リウッド)
ポン・ジュノ (パラサイト 半地下の家族)
主演男優賞:これは決まりかな。最近アントニオ・バンデラスが渋い。
アントニオ・バンデラス (Dolor y Gloria / Pain and Glory
公開未定)
レオナルド・ディカプリオ (ワンス・アポン・ア・タイム・
イン・ハリウッド)
アダム・ドライバー (マリッジ・ストーリー)
◎ホアキン・フェニックス (ジョーカー)
ジョナサン・プライス (2人のローマ教皇 現在公開中、
Netflix配信中)
主演女優賞:全然知らない人で、作品も未見だが。
◎シンシア・エリヴォ (ハリエット 3月27日公開予定)
スカーレット・ヨハンセン (マリッジ・ストーリー)
シアーシャ・ローナン (ストーリー・オブ・マイライフ/
わたしの若草物語)
シャーリーズ・セロン (スキャンダル 2月21日公開予定)
レネー・ゼルウィガー (ジュディ 虹の彼方に 3月6日公開予定)
助演男優賞:ベテランぞろいの候補者の中で最高齢のホプキンスに。
トム・ハンクス (A Beautiful Day in the Neighborhood
公開未定)
◎アンソニー・ホプキンス (2人のローマ教皇)
アル・パチーノ (アイリッシュマン)
ジョー・ペシ (アイリッシュマン)
ブラッド・ピット (ワンス・アポン・ア・タイム・
イン・ハリウッド)
助演女優賞:やり手の女性弁護士には勝てない。マーゴット・ロビーの可能性も。
キャシー・ベイツ (リチャード・ジュエル 現在公開中)
◎ローラ・ダーン (マリッジ・ストーリー)
スカーレット・ヨハンセン (ジョジョ・ラビット)
フローレンス・ピュー (ストーリー・オブ・マイライフ/
わたしの若草物語)
マーゴット・ロビー (スキャンダル)
今年のアカデミー賞ノミネーションには3本のNetflix作品が選ばれている。
「アイリッシュマン」「2人のローマ教皇」「マリッジ・ストーリー」だ。アメリカのアカデミー賞は1年間(1/1~12/31)にロサンゼルス地区で公開された作品から選ぶことになっている。つまり、この3作品は少なくともロサンゼルス地区では映画館公開されたことを示している。昨年のNetflix作品の何パーセントに当たるのかは知らないが、すべての作品が映画館で公開される訳ではない。
日本においても同じ状況だ。昨年映画館公開された「Roma/ローマ」に、上記の3作品を加えた4作品が日本の映画館で公開されたことになる。Netflixは政策的に映画館公開作品を選んでいるようだ。どこかの映画祭等で賞を取ることができそうな作品を公開しているように思われる。会社の政策であり、これに文句をつける気はない。しかし、その公開に当たって広く情報が発信されないことと、上映館を広げようとはしていないことについては、再考して欲しい。
配信を基本としているNetflixだから仕方がない面もあるが、それであればいっそのこと映画館での公開をやめてほしい。映画館で見せようという気はなく、今の映画館公開は賞狙いで、その評判で契約を伸ばそうとしているとしか思えない。アメリカのアカデミー賞にしても、日本のキネマ旬報ベストテンにしても、映画館公開作品を基準にしている。今のNetflixの公開方法でも2つの賞の作品選考基準にはかなっている。
カンヌ映画祭は2017年にNetflixの2作品(ノア・バームバック監督、ポン・ジュノ監督の作品)がパルム・ドールにノミネートされた際、フランス映画産業からの非難の声に反応し、選考委員会が方針を変更してフランスで劇場公開されない作品(限定公開も含む)の参加は認めないとしたのだ。
アカデミー賞もキネマ旬報もいいように利用される可能性があることをどう考えているのだろうか?
ちょっとだけ不思議なことがあった。外国映画は日本の映画配給会社が輸入して映画館にかけられる。上映される映画は初めに日本の輸入会社のマーク・名前が映される。
「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」を見た時、初めにAmazon Studioのマークが出た。次にGAGAの文字だったのだ。普通はGAGA→Amazonのはず。
単に接合間違いなのか、それともAmazonからの指示なのか?今までに見たAmazon作品もそうだったのか否か、憶えていない。
今月はここまで。
次号は4年に1度の2月29日まであと4日の2月25日にお送りします。