人々の予想をはるかに超えて、
世界で感染拡大している新型コロナウイルス。
早く収束して安心できる世界に戻ることを願うのみ。
ゆっくり映画を楽しめる映画館になりますように!
2/26~3/25の手洗い上手になった29日間に出会った作品は44本、
いつもと同じように映画館に出かけました。やはり空いている印象です。
日本/外国の本数は21/23と先月以上に拮抗しています。
日本映画の旧作が13本と増えたのがその要因です。
【新作】
37セカンズ
初恋
子どもたちをよろしく
星屑の町
どこへ出しても恥ずかしい人
架空OL日記
Red
三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実
【旧作】
<脚本家 新藤兼人>
氷壁
強虫女と弱虫男
鬼の棲む館
貴族の階段
<若尾文子映画祭>
祇園囃子
赤線地帯
「女の小箱」より 夫は見た
青空娘
卍
好色一代男
華岡青洲の妻
<源氏鶏太と大衆小説の愉しみ>
充たされた生活
魔界転生
【新作】
ダンサー そして私たちは踊った
(And Then We Danced)
名もなき生涯
(A Hidden Life)
ミッドサマー
(Midsummer)
野生の呼び声
(The Call of The Wild)
チャーリーズ・エンジェル
(Charlie’s Angels)
ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像
(Tumma Kristus / One Last Deal)
レ・ミゼラブル
(Les Miserables)
ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ
(地球最后的夜晩 / Long Day’s Journey Into Night)
娘は戦場で生まれた
(For Sama)
黒い司法 0%からの奇跡
(Just Mercy)
ジュディ 虹の彼方に
(Judy)
シェイクスピアの庭
(All Is True)
エクストリーム・ジョブ
( Extreme Job)
エスケープ・ルーム
(Escape Room)
ジョン・F・ドノヴァンの死と生
(The Death and Life of John F. Donovan)
ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮しの作り方
(The Biggest Little Farm)
ナイチンゲール
(The Nightingale)
コロンバス
(Columbus)
【旧作】
<ソヴィエト&ジョージア映画特集>
炎628
(Иди и смотри / Come and See)
モスクワは涙を信じない
(Москва Слезам Не Верит
/ Moscow Does Not Believe In Tears)
怒りのキューバ
(Я Куба, Ya Kuba / I Am Cuba)
誓いの休暇
(Баллада о солдате / Ballad of A Soldier)
<他>
我ら山人たち
(Wir Bergler in den Bergen sind eigentlich nicht schuld, dass wir da sind)
(新作だけを対象にしています)
① 娘は戦場で生まれた
シリアのアレッポは昨年「アレッポ 最後の男たち」というドキュメンタリーが日本で公開された。2013年、アレッポで破壊された建物の下敷きになった人々を助ける男たちが描かれた。「娘は戦場で生まれた」は2012~16年、最後の病院もが破壊されるまでの経緯を見せてくれる。画面はいつも爆弾が落とされ、揺れているような印象だ。廃墟と化したアレッポが政府軍に陥落し、街を出て行くラストは心揺さぶられる。
②-1 レ・ミゼラブル
ミュージカルにもなったヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台となったパリ郊外の町モンフェルメイユの現在を描くドラマ。移民や低所得者が多く住む危険地域に新しくやってきた警官を主人公が、多くの問題に向き合う映画。正に衝撃のラストが我々に突きつけるものは?
②-2 ナイチンゲール
オーストラリアの女性監督ジェニファー・ケントの作品、ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞している。19世紀のタスマニア、流刑地に収監されていた女性が主人公。同じく収監されていた男性と結婚、赤ちゃんも生まれている。英国軍将校にレイプされ、夫、子供を殺された彼女の復讐劇。アボリジニ差別も絡み激しい描写で見る者を揺さぶる。
③-1 ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ
中国のビー・ガン監督は1989年生まれの若い監督、29歳の時に作ったこの映画は3Dで作られている(2Dでも上映あり)。3Dを見たのだが、今までとは違う使われ方をしていて面白かった。個人的には久しぶりに眠くなる映画に出会った。映画自体が催眠効果を持っているように感じられた。3D効果は後半に強く出て、殆ど夢の中にいるようだった。
③-2 シェイクスピアの庭
1613年ロンドンのグローブ座が延焼した後、シェイクスピアが家族の住む出生地ストラットフォーッド・アポン・エイヴォンに20年ぶりに戻ってくる。4年後に亡くなるまで新作は発表されることはなく、故郷で何をしていたかが描かれる。
他にも楽しめる作品があります。映画館でお楽しみください。(既に上映が終了しているものもあります。)
◎ダンサー そして私たちは踊った:ジョージアの国立舞踊団に新しくやってきた男性ダンサーが引き起こすさざ波。主人公の男性ダンサーは自分が思ってもみない方向で揺れていることに気づく。
◎名もなき生涯:テレンス・マリック監督の映画はいつも人物が向こうに去っていく背中の映像が独特だ。オーストリアがナチスドイツに併合され、召集令状が届いた主人公がヒトラーに忠誠を誓えず収監されたという実話を映画化したこの作品でも、人は向こうに歩いていく。流石に美しい画面が続く。
◎ミッドサマー:昨年長編デビュー作「ヘレディタリー/継承」が日本でも隠れたヒットとなったアリ・アスター監督の新作も一風変わった恐怖を見る者に感じさせる。徐々にその宗教的狂気に巻き込まれていく。描き方が素朴っぽいが故に怖いのだ。
◎37セカンズ:共同製作したNHKの障害者番組でも一部放映されていた。障害者番組的狭さを乗り越え、物語的にも充分練られた作品だ。障害者を閉じ込めがちな日本社会を主人公は飛び超えていく。アメリカで映画について学んだ女性監督HIKARIの長編デビュー作。
◎ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像:フィンランドのクラウス・ハロ監督作品。思った以上に心に残ったのは高齢の主人公が家族との結びつきに気づき、娘や、孫のことを想いながら逝くあたりだろう。一面寂しい死である。
◎黒い司法 0%からの奇跡:1980年代のアラバマ、黒人故に冤罪で死刑判決を受けた男性を助けるため、新米弁護士が立ち上がるというストーリー。彼はEJIという組織を立ち上げ、黒人冤罪のために現在に至るまで戦い続けているという実話からの映画化。
◎ジュディ 虹の彼方に:ジュディ・ガーランドは「オズの魔法使い」の大スター、特にアメリカでは色々なゴシップも含め愛された。映画は最後となったロンドン公演を描くのがみそ。圧倒的な歌唱をする時と、精神的に不安定で最悪の舞台になる時の落差を見せる。
◎星屑の町:昭和歌謡、コーラスグループという懐かしい世界、ゆったり描かれる映画は25年に渡って全7作が上演された舞台「星屑の町」からの映画化だ。舞台と同じメンバーに映画のみのんが参加、歌唱力を披露している。
◎エクストリーム・ジョブ:監督がイ・ビョンホンというので、あの大スターかと思いきや同姓同名の別人だった。韓国で1600万人を集め歴代興収No.1となった作品はコメディだ。あっと驚く展開、唐揚げは韓国の国民食ですか?
◎ジョン・F・ドノヴァンの死と生:現在31歳のカナダの監督グザヴィエ・ドランは19歳で「マイ・マザー」を作りカンヌ映画祭で上映され、それ以来コンスタントに映画を作り続けている。ゲイでもある彼の最新作は、自身が8歳の時ディカプリオ宛にファンレターを送ったことに触発されたオリジナルストーリー。時に思い込みが強すぎたりする。
◎ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮しの作り方:ロサンゼルスの郊外、200エーカーの広大な荒野を理想の農場に作り替えようと奮闘する夫婦の8年間を追ったドキュメンタリー。オーガニックな農場を作り上げる様子を映画にしたのは農場主ジョン・チェスター。
◎架空OL日記:知りませんでしたが、バカリズムがOLになりきって綴ったブログ(3年続いた)が元々で、それを書籍化した「架空OL日記」が2017年にTVドラマに、更に今回映画になったという事らしい。狭い世間内で細かく盛り上がる女世界を男であるバカリズムが書き、演じるという一面クールな世界。最後の男芸人は余分か。
◎Red:NHK出身の三島有紀子監督の新作。濃い色彩の画面で恋愛を描いている。なかなかうまく作られているが、雪の新潟場面の時制が少し分かり難い。
◎三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実:1969年5月東大駒場の900番教室で行われた三島と東大全共闘の討論会を、関係者や評論家のコメントを加えながら描くドキュメンタリー。あの時代を思い出させるが、討論会そのままを見てみたい気もする。三島は1年半後に自決。
<日本映画>
3つの特集上映で多くの作品を楽しんだ。3つを通して浮かび上がってきたキーパーソンは新藤兼人、増村保造だ。
《新藤兼人》脚本家新藤兼人の4作品以外に若尾文子特集でも「卍」「華岡青洲の妻」が新藤の脚本だ。6本の中で新藤が監督したのは「強虫女と弱虫男」の1本のみ。題名でも強烈に訴えてくる女性の強さを見せつけた傑作だが、脚本家としての新藤の力量を見せるのは他の監督と組んだ場合だ。新藤と組んだ監督では一緒に独立プロを立ち上げた吉村公三郎が最多だ。2・26事件を題材に滅び行く貴族階級を描いた「貴族の階段」も流石の出来。
《増村保造》新藤と組んだ監督では増村保造も目立つ。新藤特集にある「氷壁」も彼の監督作品だ。増村は大映の監督として若尾文子を多く撮っていることでも有名。今月見た中では「青空娘」「卍」「好色一代男」「華岡青洲の妻」の4作品が彼の監督だ。いずれも見どころのある作品でよくできている。有吉佐和子の原作を映画化した「華岡青洲の妻」が完成度では群を抜くが、源氏鶏太の原作からの「青空娘」や井原西鶴の「好色一代男」等も増村のモダンさを見せてくれる。結構軽快だ。
<外国映画>
ソビエト連邦という国名が消えてから30年近くが経とうとしている。70年続いた社会主義国家の間、文化面でも社会主義に沿った作品が作られてきた。管理統制は社会主義国家の常であり、しかし、芸術には向かないものだった。ソビエト映画はそうした規制をかいくぐり、反対に規制があるからこその作品を生み出してきた。今回見た4本の作品はいずれも強烈な印象を残す。
炎628:1985年の作品。独ソ戦の激しい戦いをリアルに描く。628の村が消滅、2700万人が亡くなったという事実には衝撃を受けた。
モスクワは涙を信じない:1979年の作品。1958~1978の20年間、3人の女性の生き方を描く。女性たちのリアルを描き、社会主義国家で作られたとは思えない映画を見せてくれる。
怒りのキューバ:1964年のキューバとの合作映画。アメ車が走る革命前のキューバから変革へ向かうキューバを素晴らしく美しいモノクロ画面で描く傑作。
誓いの休暇:1959年の作品。ドイツ軍の戦車2台を破壊したことでもらった6日間の休暇。母に会うため片道2日かかる道を行くのだが…。出会う多くの人々が皆優しい。
3/08 「子供たちをよろしく」ユーロスペース 渡邊孝好(映画監督)、隅田靖監督対談
元文科相官僚である寺脇研さんと前川喜平さんが企画したことが話題になった作品。大人の事情で厳しい状況に追いやられる子供たちを描いている。
隅田監督は澤井信一郎監督の下で助監督として働いてきた人らしい。飲み仲間であるらしい渡辺監督から、“澤井監督の様にいろいろな人を幅広く描いているが、もっと子供目線に立っても良かったのでは?”と言われていた。確かに、この映画「大人たちをよろしく」と題名を変えてもおかしくないほど大人が情けない。まあ、子供の悲劇はそこにあると言えるが。更に“二人の男子中学生の顔が結構似ていて判別しづらい”とも言われていた。これも確かに。褒めまくる対談でないのは新鮮だった。
●ジョージア(グルジア)に特有の踊りがあることを知った「ダンサー そして私たちは踊った」。国立舞踊団で練習に励む登場人物の多くが、家族代々に渡って的な感じで始めているのにも驚いた。
●実際に作ったのは20世紀フォックスだが、公開される時点ではフォックスがディズニーに買収されてしまったため、ディズニー傘下の20世紀スタジオ(社名変更された)作となった「野生の呼び声」。偶然だろうが、まるで昔のディズニーの動物映画のように犬などが表情演技をしてしまう、リアルではないが感情移入しやすい作品になっていた。
●イリヤ・レーピンという名前は知っていたが、その名前をうまく使い感動的な物語にしていたのが「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」。特に絵に署名がないことの説明には大いに納得がいった。
●昨年の新書大賞は「独ソ戦」(岩波新書)だった。「炎628」を見ていると、独ソ戦がいかに悲惨であったかが実感される。628もの村や町が消滅、2700万人が亡くなっているという。住んでいた町が戦場となり、消滅していく。こうした戦いがあったからこそ「誓いの休暇」のような作品も生まれたのだろう。誰もが兵士に優しいのだ。
●なんだか殿上人のように感じていたシェイクスピアの晩年を描く「シェイクスピアの庭」は妻、長女、11歳で亡くなった長男など家族との関係を描く。延焼したグローブ座で上演していたのは「ヘンリー八世」、この作品の発表当時の名前は「All Is True」で、今回の映画の原題はここから取られている。長男の名前はハムネット、似ています、ハムレットに。
●野田高梧に因んでの名前というコゴナダ監督の作品は「コロンバス」。野田高梧は小津安二郎監督の多くの作品で脚本を共同で書いてきた脚本家だ。つまりコゴナダは小津作品に魅せられているのだ。期待してみたのだが私には今一つだった。原因は殆ど感情移入できなかったこと。
新型コロナウイルスは経済にも大きな影響を与えている。人の移動が禁止されたり、制限されているので物も金も動かず、経済の成り立ちようがないのである。
当然ながら映画界にも影響は大きい。次のようにまとめて見た。
東京で分かる範囲の報告です、ご承知おきください。
①映画館等の休館 // 休館はそれほど多くはなかった。現在は岩波ホールのみ。
ル・シネマ:2/28(金)~3/10(火)→3/11~再開
岩波ホール:2/29(土)~3/13(金)→休館を3/20(金)まで延長→4/24まで再延長
国立映画アーカイブ:2/29(土)~3/08(日)(3/9~5/28は館内整備等のため以前より休館)
神保町シアター:3/03(火)~3/13(金)→3/19(木)まで延長、3/20(土)より再開
イオンシネマ(一部劇場):3/06(金)~3/15(日)→3/16(月)再開
②封切り日の延期 // 春休みの子供向け番組はドラえもんやウルトラマンなどの恒例番組も含め延期された。外国作品でも春休み向けと思われる作品は延期となった。
外国作品では007やワイルド・スピードなどが世界的に延期されて11月とか2021年4月以降となっている。アメリカではシネコンチェーンが結構長く(6~12週間)休館していて、次のピークシーズン狙いになることも影響していると思われる。
さらに、ミニオンズの新作は製作しているパリのスタジオがコロナウイルスによる閉鎖で製作ができない状態のようだ。
多くの作品は既に予告編が上映されていた。
映画しまじろう しまじろうとそらとぶふね:2/28(金)封切り予定→延期
映画ドラえもん のび太の新恐竜:3/06(金)封切り予定→延期
劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス:3/06(金)封切り予定→延期
2分の1の魔法:3/13(金)封切り予定→延期
モルエラニの霧の中:3/21(土)封切り予定→延期 2021年2月6日(土)公開決定
ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語:3/27(金)封切り予定→延期
ソニック・ザ・ムービー:3/27(金)封切り予定→延期
ドクター・ドリトル:3/20(金)封切り予定→延期
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ:4/10(金)封切り予定→延期
全世界の映画興行状況を検証の結果、英国での公開日を本年11月12(木)、全米公開を11月25日(水)まで延期と決定。日本の公開時期は検討中→11月20日(金)に決定。
ムーラン:4/17(金)封切り予定→延期で5/22(金)に公開決定→全米での公開延期に伴い日本でも再延期となり、公開日未定
ブラック・ウィドウ:5/01(金)封切り予定→延期
クワイエット・プレイス PARTⅡ:5/08(金)封切り予定→延期
ピーターラビット2/バーナバスの誘惑:5/22(金)封切り予定→延期
ワイルド・スピード/ジェットブレイク:5/29(金)封切り予定→延期
全米公開が2021年4月2日(金)まで延期決定に伴うもの。日本公開日は未定。
ミニオンズフィーバー:7/17(金)封切り予定→延期
ミニオンズの製作会社イルミネーションのパリスタジオが閉鎖、作品完成が遅れているため 日本公開日は未定
STAND BY MEドラえもん2:8/07(金)封切り予定→延期
③前売りの中止 // 今や多くの映画館でインターネット予約ができ、2~3日前くらいから予約が可能だが、次の映画館では当日の0時からに変更された。感染拡大により突然休館せざるを得ない状況を想定したものと思われる。私が経験した、または調べた限りであり、他にもあるものと思われる。
角川シネマ有楽町、 ユナイテッドシネマ豊洲、 恵比寿ガーデンシネマ、 イオンシネマ、 シネスイッチ、 新宿武蔵野館、 新宿シネマカリテ
④座席の配置 // 感染を防ぐためには対人1メートルくらい離れた方が良いとされる。隣に人が来ないように1席空けての販売をしている映画館は次の通り。
シネスイッチ、 ユーロスペース、 新宿武蔵野館、 新宿シネマカリテ、 神保町シアター
神保町シアターでは座席が一つ置きにビニールテープで縛られていた。自由席の映画館だからだろう。
指定席の映画館では“お二人連れの場合、館内で一つずれてお二人並びでお座りいただけます”と案内しているところもある。
⑤その他
・アルコール消毒はほぼすべての劇場に設置されている。
・各劇場のサイトでは、熱のある方、体調の悪い方は来場をご遠慮くださいの案内がされていたりする。
・従業員はマスク着用。
⑥おまけ
Me Too運動の原因になりセクハラで有罪判決を受けたハーベイ・ワインスタインは、現在禁固23年の刑でニューヨーク州ウェンディ刑務所に収監中だが、新型コロナウイルスに感染していることが判明したという。
「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞を受けた時、是枝監督を始め複数の映画人から“現在の韓国映画は日本映画より優れている”的な発言がされていた。そうした状況は10年近く感じてきたことだ。「パラサイト」によって表立って言えるようになったことの意義は大きい。
日本映画が平和で日常のこまごまとした事象のみを描くようになりつつあるという危機感はずっと共有されていたのではないか?狭い小路にはまり込んだような閉塞感を薄々感じていたのではないか?
「ミッドサマー」は前作「ヘレディタリー/継承」が一部で圧倒的に受けたアリ・アスター監督の新作だ。今回の作品もちょっと変わった、いかにもオタク受けしそうなテイストにあふれヒットしている。だからだろうけれど、オリジナル作品より23分長い170分版のディレクターズカット版が急に公開された。現在同じシネコンで「ミッドサマー」と「ミッドサマー ディレクターズカット版」が同時上映されている。
昨年12月号で“特別編集版、エクステンデッド・カット”として紹介したことが、名前は違えど同じことが行われたのである。
23分の違い以外に次の点も違っている。
オリジナル版:R15(15歳未満禁止)、 ディレクターズカット版:R18(18歳未満禁止)
オリジナル版:通常料金、ディレクターズカット版:特別料金2000円のみ
3月号でお伝えしたシニア料金虐待も行われ、2000円一律料金でもある。
こういう詐欺商法のような公開は止めていただきたい。
今月はここまで。
次号はGW直前の4月25日にお送りします。