2021年 7月号back

 

オリンピックが1か月後に迫ったというのに、
ほんとですかという雰囲気。
このはっきりしない状況はある部分では面白いが、
白黒はっきりせいと感じる時も。
まあ、一切忘れたい時も…。
そんな時は、映画館!

 

 

 

今月の映画

 

5/26~6/25のほぼ全映画館がオープンした31日間に出会った作品は43本。
邦洋画合わせて新作が34本と、かなりな本数になってきました。
洋画の大作、話題作もそろそろ公開されだして、いよいよ映画全開も間近か。



<日本映画>

   20本(新13本+旧7本)

【新作】
明日の食卓
いのちの停車場 
HOKUSAI 
のさりの島 
はるヲうるひと 
地獄の花園 
るろうに剣心 最終章 The Beginning 
トゥルー・ノース(True North)
キャラクター
たゆたえども沈まず 
ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~ 
ザ・ファブル 殺さない殺し屋 
名も無い日

 

 

【旧作】
<小林信彦プレゼンツ これが日本の喜劇人だ!>
雲の上団五郎一座 
田舎刑事 時間よとまれ
東京の暴れん坊 
喜劇とんかつ一代 
東海道弥次喜多珍道中 
三等重役
 
<没後40年 横溝正史 銀幕の金田一耕助>
悪魔の手毬唄

 

 

<外国映画>

   23本(新21本+旧2本)

【新作】
5月の花嫁学校
  (La Bonne Epouse / How to Be A Good Wife) 
アメリカン・ユートピア
  (David Byrne’s American Utopia) 
アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン
  (Amazing Grace) 
ローズメイカー 奇跡のバラ
  (La Fine Fleur / The Rose Maker) 
アオラレ
  (Unhinged)
クルエラ
  (Cruella)
プロジェクトV
  (急先鋒 / Vanguard)
戦火のランナー
  (Runner) 
カムバック・トゥ・ハリウッド!!
  (The Comeback Trail) 
風と踊る
  (Cheerful Wind) 
田舎司祭の日記
  (Journal d'un Cure de Campagne) 
Mr.ノーバディ
  (Nobody) 
ブラックバード 家族が家族であるうちに
  (Blackbird) 
逃げた女
  (The Woma Who Ran) 
ベル・エポックでもう一度
  (La Belle Epoque)
アフリカン・カンフー・ナチス
  (African Kung-Fu Nazis) 
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
  (A Quiet Place: Part II) 
デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング
  (Denise Ho: Becoming The Song)
トゥルー・ヒストリー・オブ・ケリー・ギャング
  (True History og The Kelly Gang)
クローブヒッチ・キラー
  (The Clovehitch Killer)

 

 

【試写】
スーパーノヴァ
  (Supernova)

 

【旧作】
太陽の下の18歳
  (Diciottenni al Sole) 
ジュテーム・モワ・ノン・プリュ
  (Je T’Aime Moi Non Plus) 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

①-1 田舎司祭の日記
1950年作品。ロベール・ブレッソンの作品が70年の時を経て初めて日本の映画館で上映された。派手さを消去した白黒画面、ストーリーも無駄をそぎ落としたもの、寡黙な描写の中に厳しさを秘めるという彼の映画の特徴をすべて持っている。それにしても普通の食事ができないほど胃の病気に苦しむ若い司祭の物語は、暗過ぎ。

 

①-2 トゥルー・ヒストリー・オブ・ケリー・ギャング
1867年から始まるオーストラリアの物語は、アイルランドからの移民家族の長男、まだ少年だったネッド・ケリーが成長して、後に義賊と呼ばれるケリー・ギャングを率いる前半までを描く。製作・監督のジャスティン・カーゼルは要注目。

 

② アメリカン・ユートピア
デイヴィッド・バーンのブロードウェーで大評判になったショーを映画にしたもの。ロックのコンサートでもなく、ワンマンショーでもなく、正にうまく構成された音楽ショーに感心。映画の監督をしたのはスパイク・リー。トーキング・ヘッズも聴いていず、初めてバーンをじっくり聴いたのだが、これほど言葉の人だとは驚いた。

 

③ キャラクター
原案・脚本を長崎尚志(漫画原作者等)で、サイトではこの映画の実現には10年を要したと述べている。その間手直しを続けたとも。確かに脚本が良い、思ってもない展開がある。監督は永井聡、力強い映像で見るものを引っぱっていく。菅田将暉、Fukase、小栗旬、中村獅童など俳優陣も充実。

 

 

 

 

映画館で楽しめる作品は他にも!(上映が終了しているものもあります。)


5月の花嫁学校:フランスに花嫁学校があったこと自体が驚きだが、その中身も凄い。時代は1967年、アルザス地方の小さな村にあるヴァン・デル・ベック家政学校は、ダサい制服の少女たちに厳しい規律を教えるのだが…。終わりは1968年の5月に意味が。

 

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン:1972年1月13日,14日、LAのニューテンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で行われたライブはアルバム制作のためだったが、実は映画も撮られていた。しかもシドニー・ポラック監督(画面にも出てくる)のもとに。しかしある事情(今月のつぶやき参照)のために今まで公開できなかった。いやー、アレサは凄い。この映画の製作にもスパイク・リーが噛んでいる。

 

ローズメイカー 奇跡のバラ:フランスは香水の国だから、当然ながらバラの国でもある。そのバラを題材に面白い映画がやってきた。バラの新種開発の映像にも感心したが、半年ほど前に見た「パリの調香師」と同じく、嗅覚が生まれつきのものであり、それが鋭ければ調香師という道が開けるという部分にも感心した。

 

明日の食卓:椰月美智子の原作から映画化したのは瀬々敬久監督。石橋ユウという10歳の男の子がいる3組の家族、結びつきのない3組を並行して描きながら、現在の家族に起こりがちな問題を提示していく。菅野美穂、高畑充希、尾野真千子が母を演じている。

 

いのちの停車場:現役医師・南杏子の原作からの映画化、脚本は平松恵美子、監督は成島出。在宅医療を行っている金沢のまほろば診療所を舞台に、幾組かの患者のエピソードを描く。エピソードが同じ重さを持って均等に描かれるのが、うまく作用している。吉永小百合演じる女医・白石咲和子の父(田中泯)のエピソードも重要だ。今月のトークショー参照。

 

プロジェクトV:プロジェクトと言えばジャッキー・チェンだ。今回のプロジェクトVは原題Vanguardとは違い、日本独自につけた題名だ。ただ、VはVanguardのVともいえる。ジャッキーの集大成と宣伝している。確かに、まるで007シリーズのように世界各地にロケ撮影をして、アクションのスケールもアップ、楽しめる作品に仕上げている。

 

カムバック・トゥ・ハリウッド!!:“このジジイたち、殺しても死なない?!”の惹起がポスターに踊るこの作品、ジジイたちとは、ロバート・デ・ニール、トミー・リー・ジョーンズ、モーガン・フリーマンの主演3人。映画より、生命保険で儲けようと画策する映画プロデューサーのお話。結構笑える。

 

Mr.ノーバディ:何者でもないという意味のMr.ノーバディには他の意味もあるようで…。アクションがどんどんエスカレート、痛快な92分が過ごせる映画。

 

ベル・エポックでもう一度:人には誰にも思い出の時がある。それを何十年か経ってから、もう一度経験してみたいと思う人もいることだろう。それをビジネスにしてみたのがこの映画。ほとんど映画作りそのもの。映画製作のためのセットづくり、その人にとってどんな話だったかを聞き取っての脚本づくり、なるべく似た人を集めるキャスティング…。

 

トゥルー・ノース:60年代に日本から北朝鮮に移民した家族が、政治犯強制収容所に収容される物語を3Dアニメーションで製作したのは、横浜生まれの在日コリアン4世である清水ハン栄治。脱北者などにインタビュー、インドネシアに拠点を構え10年かけて製作した作品だ。必見。

 

たゆたえども沈まず:東日本大震災から10年、テレビ岩手が撮り続けた10年間の記録から作られたドキュメンタリー映画。地元のテレビ局らしく、人々の日常生活を追っている。勿論あの始まりである震災、特に津波の描写も多く含まれている。

 

ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~:1998年長野オリンピックの裏にこんな物語があったことは知りませんでした。スキージャンプ団体の金メダルの裏にテストジャンパー達の働きがあったとは。飯塚健監督の言葉の中に2011年の震災時にこの作品の映画化を思い立ったとあり、この作品もまた公開までに10年がたっていた。

 

ザ・ファブル2 殺さない殺し屋:2019年6月21日に封切りされた前作は、週末の興収ランキングで邦画No.1だった(その上に洋画が)らしいが、その続編であるこの映画は邦画に限らずNo.1の興収となった。岡田准一が主演兼ファイトコレオグラファー(振付師)として攻めたアクションを披露、確かにアクションは進化していた。

 

クワイエット・プレイス 破られた沈黙:3年経ってやってきた続編は、1作目のDay1からDay474に一挙に飛ぶ。つまり1年と110日目から始まる。“音を立てたら、超即死”の状態はまだ続いている。まるでコロナ禍の現世界のようだ。コロナパンデミック後、全米では初めての1億ドル超えの興収作品となった。

 

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング:今や香港の自由が潰されようとしている現在、こういう歌姫がいることを教えてくれた。雨傘運動の先頭に立ち、国連で香港の窮状を訴える。政治的発言さえなかなかできない日本芸能人の状況が頭をよぎる。ニューヨークの小さな会場で兄のピアノ伴奏で歌う、このドキュメンタリー製作時の最新画像を見ながら、いま彼女はどうしているかと思う。

 

名も無い日:5年ほど前に封切られたドキュメンタリー「健さん」を作った日比遊一の新作は、ニューヨーク在住のカメラマンという彼自身の家族に起こったことを描いている。3人兄弟の次男が死んだとの連絡に、名古屋に帰ってきた長男を演じるのは、永瀬正敏だ。

 

クローブヒッチ・キラー:16歳の少年が住んでいる町には10年前まで連続殺人事件が起こっていた。ボーイスカウトの団長を務める少年の父は、街の人からの信頼も厚い。が、あることを契機にこの父親が犯人では?と悩む少年の物語。

 

 

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>


<小林信彦プレゼンツ これが日本の喜劇人だ!>で、小林信彦が推薦する映画の7本を見た。


笑いは簡単なようでいてなかなか難しい。しかも、時代の影響も大きく影響し、当時の状況が変わってしまった現在でも笑うことができるのか?さらに、日本でも地域の違いにより笑えないという状況になる場合もある。
中学生の頃(1960年代前半)、世界名作小説などから場面を取り入れそこに笑いを入れることが結構あった気がするが、「雲の上団五郎一座」を見ると、それを思い出した。これは元々菊田一夫が劇場用に書いた脚本からなっている。あの頃、ばかやっていると思っていたのだが、1960年に舞台で初演された(映画は1962年)この作品の影響だったんですね。
1960年の日活作品「東京の暴れん坊」を今見ると、現在とのジェンダーギャップにちょっと驚く。半世紀以上前の作品と考えれば、仕方のない事ではあるが。

 

 

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

6月1日 丸の内TOEI 「いのちの停車場」成島出監督、吉永小百合、広瀬すず、田中泯
都心での封切り日となり、初日挨拶で監督と3人の俳優が舞台挨拶を行った。5月31日まで緊急事態宣言延長に伴い、都内では映画館の内、シネコンと一部映画館が休業していたため、他地域で既に上映が開始されていた同作品が、更に緊急事態宣言が延長されたが映画館の営業が認められたのに伴い、都心での上映が可能となり挨拶になったもの。
吉永小百合から始まった挨拶では誰もが、この日から映画館がオープンできたことに感謝と喜びを表明していた。しかし、映画で吉永の父親役を演じた田中泯は、がんによる痛みを感じるように演じていたことからまだ抜け出すことができず苦しんでいると話した。
先月号でお伝えした通り、この作品は岡田祐介東映グループ会長の製作作品の遺作となった。映画の中で松坂桃李演じる野呂が子供を背中におんぶする状態で海を泳ぐシーンがあるが、これは岡田会長が子供のころの経験から単に海辺で遊ぶより泳いだ方が良いと提案したというのだ。普通で考えれば、あの状況では医者が許すはずがないとなるところ、製作者の思いを優先させたとのこと。
いくつかの死が描写される映画だが、ラストの死についての話もあった。あえてはっきりしないという描写を選んだという。

 

 

6月5日 ユーロスペース 「のさりの島」ミニライブ 谷川賢作、小倉綾乃、藤本一馬
上映後、山本起也監督も来られていたが、この日はトークショーではなくミニライブ。作品の音楽担当の谷川さんのキーボード、映画にも出演しブルースハープの演奏がこの作品の一つの流れを作っていた小倉綾乃さんのブルースハープ(10個の穴のハーモニカ)、藤本一馬のギターによるトリオで3曲演奏が行われた。映画でも異彩を放つブルースハープ、若い女性からは想像できない図太いその音色が圧倒的だった。

 

 

6月5日 イメージフォーラム「戦火のランナー」友成晋也さん(元JICA南スーダン事務所長)、聞き手:関根健次さん(ユナイテッドピープル株式会社 代表)
友成さんはJICA南スーダン事務所長として駐在していたが、現在も内戦状態で国内を自由に移動することはできなかったという。今も日本外務省は首都ジュバ及びその周辺地区を危険度3(渡航中止勧告)、その他の地域を危険度4(退避勧告)としている。
2011年に独立して以降も安定せず、内戦状態になって現在に至っており、電気、水道等のライフラインも整っていない状態だという。

 

 

 

 

 

 今月の懐かしい人


クリストファー・ロイド
Mr.ノーバディ」で主人公の父親を演じていたのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドク役で有名なクリストファー・ロイド。高齢者施設に入っているこの父親が何とも楽しい。この父親にしてこの息子ありの痛快アクション。
1937年生まれの82歳。施設にいる父親を演じているのが彼と分かっただけで、これは楽しい展開になるぞと思わせる。まだまだ活躍していただきたい。

 

 

 

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●約50年前にアレサ・フランクリンの希望によって、アルバムのために教会でのライブ録音がされるのを映画にしようとしていた映像が、やっと映画として公開された「アメイジング・グレイス」だ。画面にも出てくるシドニー・ポラックが監督していたのにだ。その理由が、撮影の初めと終わりのカチンコがなかったため、音と映像をシンクロさせることができなかったというのだ。映像を見ていると、あの状況でカチンコをたたくというのは難しかっただろうなとは理解できる。アレサが歌唱に至るのは、彼女の気持ちが高ぶった時で、誰もそれを指示することはできない。

 

●ディズニーは鉄壁の正義を訴えるというポリシ―で映画を作っているように思えるのだが、その裏返しのような「クルエラ」はいかがだったか?ここにはもう一人、バロネスという悪役がいて、悪役二人の対決になる。こうなると、この映画の主人公であるクルエラが勝つのは分かっているので、最後にはバロネスの方に同情してしまう。悪役と言っても何らかの方法で見る人の心に訴えないと厳しいのではないか?

 

●事前に作品についての情報を入手せずに映画館に出かけることが多い。それでも、映画館での予告編や、ポスター、チラシなどである程度の知識は入ってしまうのが普通だ。それにしても思い違いも甚だしいと反省したのが「トゥルー・ノース」だ。その題名から、北欧のどこかの物語くらいにしか考えず出かけてしまった。驚きの内容だった!

 

●荒々しい「マッドマックス」の国オーストラリア、因習にとらわれず生きていくことの原形のような、むき出しの暴力の国と感じさせる「トゥルー・ヒストリー・オブ・ケリー・ギャング」の特に前半だ。その描写はこの国の成り立ちさえ感じさえる。今、住みやすい国という印象のあるオーストラリアだが、その下にこうした歴史があったことを感じさせてくれる。

 

●名古屋を舞台にした「名も無い日」の監督、日比遊一は名古屋出身ということもありちょっと調べていたら、俳優を目指していた若い頃、第二回東京国際映画祭に来日したエリア・カザンに手紙を書き、NYCのカザン宅に3カ月滞在したとか、ロバート・アルトマンの長男と友達でアルトマンの自宅に行ったことがあるといったエピソードを知り驚いた。

 

 

 

 

 

 



今月のトピックス:最近の話題   

 

Ⅰ コロナ禍の映画・映画館 → 続き、現在


5月31日までだった3度目の緊急事態宣言は、6月1日から延長され6月20日までとなった。6月号でお伝えした通り、東京のシネコンは全て休館となっていたのだが、この政策には批判も多かった。演劇の劇場はいいが、規模の大きい映画館はダメというのは変な基準だった。6月初旬、帝劇に「レミゼラブル」を見に行ったのだが、ほぼ満席(1席空けはしていない)で密を感じたが、休憩時間にはトイレに長蛇の列ができ、あまりに長くディスタンスは取りきれず、映画館より危険だと確信した。
今月のトークショーでお伝えした、6月1日に「いのちの停車場」東京都心初日での舞台挨拶で吉永小百合さんも、映画人が映画館の休業に反対する運動を続けたと話された。そうしたこともあって、東京都は方針を変え、6月1日からの延長期間には映画館に休業要請はしないことになった。
こうして、やっと映画館が営業可能になったのだ。現在、ほぼすべての映画館が営業をしている。ただし、1席空けをして収容人員が少なくなるなど、完全営業とはなっていない。それでも、シネコン等大きな映画館が営業できるのは大きく、映画興行が徐々に常態に戻りつつある。

 

 

 

 

 

 

Ⅱ 音楽映画


2本立てではなく、封切り作品を続けてみて2本ということはしばしばだが、時々何らかの関連性のある作品2本立てのようになることがある。例えば、今月で言えば、6月10日に見た「田舎司祭の日記」と「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」は共にフランスの古い作品の封切りという関連がある。前者は70年経って初めての日本の映画館での上映、後者は4K完全無修正版という違いはあるが。
さらに、5月30日に見た「アメリカン・ユートピア」と「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」はアメリカ音楽映画2本立てと言える。まさにこの日は映画よりライヴのはしごをしたという印象だった。

 

来月、音楽映画を集めた特集上映が行われる。内容は次の通りだ。
Peter Barakan’s Music Film Festival (ピーター・バラカンの音楽映画祭)
7月2日~7月15日  角川シネマ有楽町
次の14作品が上映される。
Billie ビリー、 ジャズ・ロフト、 AMY エイミー、 真夏の夜のジャズ 4K、 カマシ・ワシントン「Becoming」ライブ、 バックコーラスの歌姫たち、 Our Latin Thing、 ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち、 マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!、 大海原のソングライン、 ノーザン・ソウル、 スケッチ・オブ・ミャーク、 白い暴動、 サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け

 

日本初公開の「Billie ビリー」「ジャズ・ロフト」をはじめ、ジャズからロック、サルサ、イギリスの時代を表す音楽から、世界の島々の音楽を聞かせてくれる映画まで、バラカンの選択による作品群。
彼やゲストを迎えてのトークイベントが上映後に11回も予定されている。

興味のある方は次のサイトをご参照ください。  https://pbmff.jp
作品内容、スケジュール、トークイベントまで掲載されています。
お楽しみください。


東京以外では8月6日~19日 京都みなみ会館、アップリンク京都 での開催が決まっているとのこと。

ちなみに、今までに次の3本は見ていて、見せよう会通信でも紹介しています。「真夏の夜のジャズ 4K」「バックコーラスの歌姫たち」「大海原のソングライン」はいずれも音楽好きの方にはお勧めです。

 

 

 

 

 

 

 フランス映画の底力


今朝の朝日新聞経済欄に、フランスで18歳の若者に「カルチャーパス」が無料で交付されたとの記事があった。ダウンロードすれば300ユーロ(約4万円)が使える仕組み、様々な文化活動や関連商品に使うことができるという。記事の中に多くが漫画書籍の購入に使われ、その多くが日本の漫画だったとあるが、それにしても文化に対するフランスの国としての考え方が分かるなあと感心した。
日本は色々な国から映画を輸入している。勿論各国の映画をすべて輸入などできるはずもなく、輸入される方は日本人に合っているとか、日本人に紹介したいとかの観点から選んで持ってこられるのだろう。国別ではアメリカが圧倒的、イギリス、オーストラリア等の英語圏に広げれば英語の映画がかなりの部分を占める。そんな中、今月は3本のフランス映画が目立った。(旧作も加えれば5本になる。)
「5月の花嫁学校」「ローズメイカー 奇跡のバラ」「ベル・エポックでもう一度」の3本だ。
決して名作、傑作というほどではないが、しっかり映画としての面白さを持っている作品だ。気になって今年の1月号から今号までを調べてみると、毎号1本以上のフランス映画が取り上げられている。ヨーロッパ各国の中では群を抜く。
今回詳しく調べてはいないが、国の映画製作に対する補助も多いと聞く。映画という文化を守るという気概があるのだろう。

 

 

 

 

 

今月はここまで。
次号は梅雨から夏になっているだろう7月25日にお送りします。


                         - 神谷二三夫 -


感想はこちらへ 

back                           

               

copyright