2022年 4月号back

 

オミクロンの次はプーチンか?!
ウクライナは酷いことになっていますし、
ロシアの人々もプーチンにやられているように見えます。
色々な情報に接して、正しいものを見極めることが大事。
まずは、映画館で!

 

 

 

今月の映画

 

2/26~3/25のウクライナ問題に心痛めた28日間に出会った作品は32本、
期間が短かったこともありますが、色々な用事等があり、
少し本数が減りました。



<日本映画>

   9本(新9本+旧0本)

【新作】
牛久 
愛なのに
焼け跡クロニクル 
余命十年 
Ribbon 
ウエディング・ハイ 
猫は逃げた
KAPPEIカッペイ 
なれのはて

 

 

<外国映画>

   23本(新17本+旧6本)

【新作】
選ばなかった道
  (The Road Not Taken)
チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―
  (Welcome to Chechnya) 
シラノ
  (Cyrano)
金の糸
  (Okros Dzapi / The Golden Thread) 
ライフ・ウィズ・ミュージック
  (Music) 
GAGARINE/ガガーリン
  (Gagarine) 
ウエスト・サイド・ストーリー
  (West Side Story)(再見) 
ハードヒット 発信制限
  ( Hard Hit) 
アメリカン・ユートピア
  (American Utopia)(再見) 
MEMORIAメモリア
  (Memoria) 
林檎とポラロイド
  (Mila / Apples) 
The Batmanザ・バットマン
  (The Batman) 
ヴィム・ヴェンダース プロデュース/ブルーノート・ストーリー
  (It Must Schwing: The Blue Note Story) 
アンネ・フランクと旅する日記
  (Where Is Anne Frank)、 
ガンパウダー・ミルクシェイク
  (Gunpowder Milkshake)、 
SING/シング ネクスト・ステージ
  (Sing 2)

 

【試写】
ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
  (Fantastic Beasts:The Secrets of Dumbledore)
この作品については情報制限のため今は書けません。4月になったら、UK Walkerをご参照ください。 https://ukwalker.jp

 

【旧作】

<ウィスコンシン派>
ラケット
  (The Racket) 
ラスティ・メン
  (The Lusty Men) 
暗黒への転落
  (Knock on Any Door) 
女の秘密
  (A Woman’s Secret) 
暴力の街
  (The Lawless)

 

<その他>
クラム
  (Crumb) 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

 牛久
不法滞在の外国人を強制的に収容している施設が全国に17か所あるという。その一つで男性のみが収容されている施設が茨城県牛久にあり、通称“牛久”と呼ばれている。紛争等のため祖国に帰ることができず難民申請している人も多い。4~5年と長く収容されている人も多い。牛久に収容されている9人が画面に登場する。このドキュメンタリーを製作したのはアメリカ人のトーマス・アッシュ。ボランティアとして収容されている人たちの話を聞き、その実情を伝えようと製作したようだ。所内での面会を撮影することは許されていないため、隠しカメラでの撮影での画面や、声だけで構成される画面も少なくない。ほとんど刑務所と同じような待遇、虐待的なことに驚く。名古屋入国管理局でのスリランカ女性、ウィシュマさんの死亡事件もこうした中から起こったのだろう。

 

 ガンパウダー・ミルクシェイク
カッコいい映画がやってきた。この映画の惹句は次の通り。“高カロリー¡強炭酸!超刺激!悪を蹴散らすシスター・ハードボイルド・アクション、爆誕!”まさに!!監督はイスラエルのナヴォット・パプシャド。活躍する5人の女性がカッコいい。その一人がミッシェル・ヨーであることもうれしい。

 

③-1 ヴィム・ヴェンダース プロデュース/ブルーノート・ストーリー
ヴィム・ヴェンダースがジャズやアメリカが好きなことは映画を観ていれば分かる。彼がジャズレーベルとして有名なブルーノートのドキュメンタリーを製作総指揮として作ったのは、2019年に創立80周年を迎えたブルーノートレコードが、2人のドイツ人、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ(ライオンとウルフと呼ばれたらしい)によって作られたからだ。ちなみに監督はエリック・フリードラ、ドイツで最も評価されているドキュメンタリー監督の一人とある。ライオンとウルフは共にユダヤ人。ナチスの隆盛とともにドイツに居づらくなり、時を置いて別々にアメリカへ。ジャズを愛する彼らの生き方に心揺さぶられる映画。

 

③-2  SING/シング ネクスト・ステージ
今月一番楽しかった作品。面白いです。動物が演じているとはいえ、ショービジネスの厳しさもきっちり、さらにその楽しさも圧倒的。新曲も3曲含まれているようだが、既存曲を上手く使ったジュークボックス・ミュージカルの傑作コメディ・アニメーションだ。声の出演にも大スターが、その一人はU2のボノ。

 

 

 

 

面白い映画は映画館でどうぞ!(上映が終了しているものもあります。)


選ばなかった道:映画を監督したサリー・ポッターが、自分の弟が若年性認知症になった時、介護者として寄り添った自身の経験をもとに脚本を書き作り上げた作品。作家である父が認知症になり、娘が付き添って医者に行く1日を描く。父は記憶にある昔の世界に生き、娘の現在とはかみ合わない感じが不思議な感情をもたらす。父を演じるハビエル・バルデムの入魂の演技に圧倒される。

 

GAGARINE/ガガーリン:パリ郊外に実在した公営住宅ガガーリン、かつてソ連の宇宙飛行士ガガーリンが来所したらしい当時のニュースも流れるが、24年のパリ五輪のために取り壊されることになる。帰ってこない母を待ちながら一人で暮らす16歳のユーリは、空き部屋になった建物をまるで宇宙船のように作り変えていく。解体前のガガーリン団地で撮影された映画は、幻想的な画面が若者の心を描き出す。

 

愛なのに:監督:城定秀夫X脚本:今泉力哉は「猫は逃げた」と逆パターン、この二人で役割を交換して映画作りを行ったのだ。古本屋の店主に求婚する女子高生の存在が、物語のアクセントになっているラブコメと言えばいいか。

 

猫は逃げた:こちらは監督:今泉力哉、脚本:城定秀夫のパターン。離婚まじかの夫婦と、それぞれの浮気相手、それを繋ぐ猫カンタを巡るラブコメ。二つの作品に共通して登場するのは毎熊克哉が演じる(町田)広重とオセロが演じる猫カンタ。

 

焼け跡クロニクル:原將人と言えば、高校在学中の1968年に友人たちと作った「おかしさに彩られた悲しみのバラード」で賞を獲得、天才映画少年として話題になった。その彼が家族で住む京都の家が火事になったのは2018年7月。その瞬間からのドキュメンタリーを作ってしまった原監督は流石だ。10代半ばの長兄と5歳の双子の妹たち、飄々とした監督と親子ほど年下の妻の家族5人が生き生きと描かれる。

 

余命10年:難病物と言えば、どれだけ泣かすかが勝負のようになっている場合があり、避けたい気分もあったのだが、この作品はそうではなかった。肺動脈性肺高血圧症(PAH)という難病にかかった小坂流加さんが、その病気を取り入れた小説を出版したのが2007年、文庫版用に加筆・編集が終わった直後の2017年に折去。この小説を映画にしたのが藤井道人監督、主演は小松菜奈と坂口健太郎。

 

ハードヒット 発信制限:車を下りれば爆破というサスペンスで見せる韓国映画。新幹線を止めれば爆破の「新幹線大爆破」を思い出す。かなり練られた脚本だが、1人の犯人でやり切れるものだろうかという点と、ラストに向かって違う方向が強くなるのがちょっと残念。

 

MEMORIAメモリア:アピチャッポン・ウィーラセタクンはタイの監督、1970年生まれの51歳。難解な映画を作ることで有名と言って良いだろうか?初めて見たウィーラセタクンの映画であるこの作品も、よく分かったとは言い難い。何故かコロンビアで作られ、アカデミー賞国際長編映画賞にコロンビア代表として選出、ノミネートはされなかったが。

 

林檎とポラロイド:ギリシャ・アテネ1984年生まれの新人監督クリストス・ニクの作品、脚本も書いている。突如流行し始めた記憶を失う病気。主人公はバスに乗っている時行き先が思い出せなくなる。唯一覚えていたのは林檎が好きだということ。ゆったりと落ち着いた画面でユーモアをたたえた語り口。

 

The Batmanザ・バットマン:アメコミにしてここまで暗い作品があるのかと驚いた。確かにダークナイトの前シリーズもその暗い情念が話題になっていたが、今作のようにずっと雨ということはなかった。まったくスカッとはしないこの作品が、アメリカでは日本以上にヒットしているのも、妙に感心。

 

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

ウィスコンシン派(スクール)>2/26~3/25の期間で行われた渋谷シネマヴェーラでの特集上映は、ウィスコンシン州で生まれた3人の監督の特集だった。
ジョセフ・ロージー(1909-1984)、ニコラス・レイ(1911-1979)、オーソン・ウェルズ(1915-1985)の3人である。3人ともにアメリカ映画の中にあって、単純にハリウッドに染まらず、独自の個性を輝かせたと言えようか。ジョセフ・ロージーとニコラス・レイは高校の同級生だったという。


今回は、オーソン・ウェルズ作品は見ていず、「暴力の街」のみがロージー作品、残り4本がニコラス・レイ作品となった。


暴力の街」は後にヨーロッパに渡り数々の傑作を作ったロージーの2作目、1950年のアメリカ作品。メキシコからの農場労働者と白人の対立に、正義を貫こうとするジャーナリストが描かれる。日本では劇場未公開作。


レイの作品では「ラスティ・メン」が面白い。引退を決めたロデオの元チャンピオンが農場で働きながら、同僚の男がロデオにデビューするのを助ける話。これも日本での劇場未公開。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー 特別編

 

3月9日 TOHOシネマズ日比谷「アメリカン・ユートピア」 デイヴィッド・バーン、スパイク・リー
「アメリカン・ユートピア」を再見したのは<特別対談映像付き>とあったため。
最初にデイヴィッド・バーンが一人で挨拶。大変な状況でしたが、やっとブロードウエーの舞台がもうじき再開します。劇場は変わって、セント・ジェームズ劇場になりました。(この挨拶は昨年9月だったかに公演が再開されるときに撮られたものと思います。その公演も4月3日が最終日となります。)
次に監督のスパイク・リーと対談。バーンが、自分はシャイなので初めて会った時”ハイ”とだけしか言えずに別れた。その後、この映画を作ることになった時、監督を誰にするかとなり、バーンの方からリーに声をかけ監督していただけないかとお願いしたという。リーは何度も公演を見に来て、どんなふうに作るかを考えた上で引き受けたらしい。カメラは何か所かに置かれているが、特に上からのカメラは、このパフォーマンスの動きがよく分かって効果的。上からのカメラでと言えば、バスビー・バークレーの映画で万華鏡のように見えるパフォーマーの華麗な動きを思い出すが、「アメリカン・ユートピア」では幾何学的な動きが良く分かって楽しい。

 

 

 

 

 

 今月のちょっと久しぶり(懐かしい人ミニ)

 

ポール・ジアマッティ
1967年生まれのジアマッティが映画にデビューしたのは1992年の「シングルス」で、役名はキスする男とWikipediaにある。つまり名前のない役だった。出演作一覧を見ると、1997年5本、1998年7本、2003年5本、2013年8本と5本以上の年があり、他の年も複数本が多い。つまり、脇役として多くの作品に出ていたのだ。そんな彼が主演したのが2004年の「サイドウェイ」、結婚を控えた親友と一緒にカリフォルニア・サンタバーバラのワイナリー巡りをするダメ男二人のロード・ムービー。この年はこの作品のみの出演だった。
最近は少し出演本数が減ってきているが全く出ていないということではなく、2020年の「ジャングル・クルーズ」では船会社の経営者を演じていた。
今回、快作「ガンパウダー・ミルクシェイク」に出てきた時は、おや~出ていたんだ、久しぶりと声をかけたくなった。元々小太りだったが、ちょっと太ったんではという印象。
こういう俳優が出てくるとうれしくなる。

今回Wikipediaを読んでいたら、父親はイェール大学の学長でMLBコミッショナーを務めたとあって驚いた。

 

 

 

 

 

 

 今月のつぶやき

 

●今までにも様々な形で作られてきたシラノ・ド・ベルジュラックの物語、エドモン・ロスタンによる舞台用の戯曲だが、今回の「シラノ」は舞台用に作られたミュージカルからの映画化だ。舞台の脚本・演出を担当したのはエリカ・シュミット、彼女はこの映画でも脚本を担当している。シラノを演じたピーター・ディンクレイジ、ロクサーヌを演じたヘイリー・ベネットは舞台版と同じ。ディンクレイジはエリカの夫。彼にあて書きしたのではなかったようだが、彼が主演したことで大きな変更点ができた。大鼻で有名だったシラノだが、普通の鼻になった代わりに小人症のシラノになったのである。映画の監督はイギリスのジョー・ライト。彼はヘイリー・ベネットのパートナーで、彼女の舞台を見に行って気に入り、舞台の作り方で映画化をしようとした。ライトの他の映画同様、非常に繊細に作られた映画だが、小人症というのは違和感が大きく、ヒットということにはならなかった。

 

●“類まれなるパフォーマンスやビジュアルセンスで、世界中から絶大な支持を集めるシンガーソングライター“といわれるSia(シーア)が監督、製作、原案、脚本を担当した「ライフ・ウィズ・ミュージック」。う~む、あまり乗れなかったのはセンスの差か年の差か?

 

●「フリッツ・ザ・キャット」等のマンガで1960年代後半に活躍したロバート・クラムを描くドキュメンタリーが「クラム」だ。1994年の作品が何故かリバイバル公開されている。これを見ると、ロバートは3人兄弟の真ん中、驚くことに3人ともがオタクなのだった。

 

 

 

 

 



今月のトピックス:再見   

 

Ⅰ 再見

 

これは極々個人的なものなので、飛ばしていただいても構いません。
今月、外国映画作品の中に(再見)が付いたものが2作品ある。「ウエスト・サイド・ストーリー」と「アメリカン・ユートピア」だ。前者はロードショー公開が続いている間に2回目の鑑賞をし、後者は昨年公開されたもので、今回公開されたのは今月のトークショーで紹介した特別映像が追加されている。本編は全く同じで、旧作とするには新しすぎるので(再見)表示にした。最近はロードショー期間中に複数回見に行くことは基本的にしていなかった。1本でも多くの作品を見たいためにそうしていたのだ。
その気持ちが少し変わったのは、このところ昔の鑑賞記録を見直しているからだ。高校生から大学にかけての頃、年間に見る本数は極少なく、50~130本ほど、さらにテレビで見た映画の本数も別にカウントしていた。就職してからは100本前後がかなり長く続いた。流石にテレビで見ることは激減しているが。
少ない本数ながら、同じ作品を複数回見ていることが結構頻繁にあったのに気が付いた。同じロードショー期間に複数回見ていた作品はそれほどないが、半年以降2~3年以内に再見している作品は結構目についた。これは、好きになった作品を数年以内に追っかけていたということだ。
好きなものは何度でも見るという気持ちにさせてくれた。

 

 

 

 

 

Ⅱ アカデミー賞授賞式はもうすぐ


現地時間3月27日ハリウッドで行われるアカデミー賞授賞式。日本時間で3/28ですから3日後には結果が分かる。
今年は「ドライブ・マイ・カー」の4部門ノミネートで話題になり、日本のメディアでも多く取り上げられた。結果が出る前にこれだけ話題になり、実際に多くのスクリーンで上映され興行的にも大きな成果があったことは、改めてアカデミー賞の持つ影響力を考えさせた。

主要6部門のノミネート作品と受賞予想()は次の通り。予想は変更しないことに決めた。()内は日本での公開状況。

 

作品賞
パワー・オブ・ザ・ドッグ(公開済) 

ドライブ・マイ・カー(公開済)
ベルファスト(3月25日公開)  

ドリームプラン(公開済)
リコリス・ピザ(7月1日公開)  

ウエスト・サイド・ストーリー(公開済)
Coda/コーダ あいのうた(公開済) 

DUNE/デューン 砂の惑星(公開済)
ドント・ルック・アップ(公開済)  

ナイトメア・アリー(3月25日公開)

 

監督賞
ジェーン・カンピオン「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」
ポール・トーマス・アンダーソン「リコリス・ピザ」
スティーブン・スピルバーグ「ウエスト・サイド・ストーリー」
ケネス・ブラナー「ベルファスト」

 

主演男優賞
ウィル・スミス「ドリームプラン」
ベネディクト・カンバーバッチ「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
アンドリュー・ガーフィールド「チック、チック…ブーン!」(公開済)
デンゼル・ワシントン「マクベス」(公開済)
ハビエル・バルデム「愛すべき夫妻の秘密」(Amazonで配信済、劇場公開無し)

 

主演女優賞
ニコール・キッドマン「愛すべき夫妻の秘密」(Amazonで配信済、劇場公開無し)
オリビア・コールマン「ロスト・ドーター」(Netflixで配信済、劇場公開無し)
ジェシカ・チャスティン「タミー・フェイの瞳」(Disney+で配信済、劇場公開無し)
クリステン・スチュワート「スペンサー ダイアナの決意」(2022年秋公開予定)
ペネロペ・クルス「パラレル・マザーズ」(2022年11月公開予定)

 

助演男優賞
コディー・スミット・マックフィー「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
キアラン・ハインズ「ベルファスト」
トロイ・コッツァー「Coda/コーダあいのうた」
ジェシー・フレモンズ「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
J・K・シモンズ「愛すべき夫婦の秘密」

 

助演女優賞
アリアナ・デボーズ「ウエスト・サイド・ストーリー」
キルステン・ダンスト「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
アーンジャニュー・エリス「ドリームプラン」
ジュディ・デンチ「ベルファスト」
ジェシー・バックリー「ロスト・ドーター」

 

 

 

 

 

 

 岩波ホール


神保町にある岩波ビルの10階にある岩波ホールが7月29日をもって閉館となることが発表された。
1968年に芸術性の高い文化活動のための多目的ホールとして開館、演劇などが上演されていた。それが1974年2月12日からエキプ・ド・シネマ運動が開始され、これ以降映画館として営業してきた。ここでは、それまで日本ではあまり上映されることのなかったアジア、アフリカ、中南米などの作品や、欧米の映画でも興行的に難しいと思われた作品、世界的名作とされながら日本で公開されてこなかった作品などが取り上げられた。
エキプ・ド・シネマは世界の映画祭で審査員などを多く務めていた東和の川喜多かしこさんが、欧米と日本映画文化の差に危機感を持ち、岩波ホールの総支配人であった高野悦子さんと相談し始めた運動だった。この運動と岩波ホールの存在が1980年代のミニシアター映画館の隆盛につながっていく。
岩波ホールの特徴の一つに“日本で初めて各回完全入れ替え制定員制を実施”という、現在では当たり前のものがある。作品的なもの以外に、こうした制度を取り入れたことも評価されるべきだろう。
この映画館で最も印象に残っている作品は「旅芸人の記録」だ。

 

 

 

 

 

 

 佐藤忠男さん


中学2年の時(60年も前になる)、映画が好きになったのだが、その頃映画雑誌に登場していた映画評論家は誰も残っていない状況になった。一般的にも有名な人では、淀川長治、荻昌弘、津村秀夫、田山力哉、小森和子、山本恭子、登川直樹などである。
3月17日に映画評論家、佐藤忠男さんが亡くなった。91才だった。あの当時から残っている評論家で、最長老だった。2019年10月19日、国立映画アーカイブで行われたトークショーで初めて肉声で話されるのを聞いた。昔から真面目な評論家という印象だったが、その印象はこの時も変わらなかった。見せよう会通信2019年11月号の今月のトークショーで報告している。
長い間お疲れ様でした。ご冥福をお祈りします。

 

 

 

 

 

最後に、ウクライナ映画支援についての情報を。
3月30日、31日に「ウクライナ映画人支援緊急企画:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作品上映会」が行われる。
ヴァシャノヴィチ監督の次の2作品が2回ずつ上映される。今調べると4回ともすべて満席となっていて見ていただくことはできないのが残念だが、作品情報をサイトから流用してお伝えする。 

 

https://motion-gallery.net/projects/standwithukraine


このサイトではウクライナ映画人に対する義援金も受け付けているので、気持ちのある方はどうぞご利用ください。

 

アトランティス:2019年の作品で、ヴェネチア映画祭の注目を浴び、同年の東京国際映画祭のコンペティション部門にも招聘され、審査員特別賞を受賞。ロシアとの紛争をディストピア世界の物語として描いたリアルな寓話作品で、まさに戦争は今年始まったものでなく、2014年のクリミア併合以来ウクライナは常に戦争状態であったことを気付かせてくれる重要作です。

 

リフレクション:2021年の作品。ロシアとの紛争の酷さを、高度に洗練された美学に貫かれた映像で描く驚異の作です。

 

 

 

 

 

 

今月はここまで。
次号は、GWの始まる4日前の4月25日にお送りします。

 

 


                         - 神谷二三夫 -


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