2022年 10月号 ハリウッドの日本進出back

 

昔から9月は台風のピークシーズンだから、
天気が安定しないのはある程度仕方がないと理解しているが、
今年の不安定ぶりは想像を超える。
今月は天気に合わせて予定を2回変えたのだが、共に裏切られてしまった。
こんな「あ~あ」状態の時は、そう、映画館。

 

 

 

今月の映画

 

8/26~9/25のエリザベス女王の国葬が行われた31日間に出会った作品は41本、邦/洋画は14/27,新/旧は32/9とほぼ通常ペース。
映画観に来る人の数もかなり通常ペースに戻りつつある。



<日本映画>

   14本(新14本+旧0本)

【新作】
ハウ 
異動辞令は音楽隊! 
アキラとあきら  
ブリング・ミンヨー・バック! 
さかなのこ 
激怒
グッバイ・クルエル・ワールド 
LOVE LIFE 
百花 
ぜんぶ,ボクのせい 
ヘルドッグス 
川っぺりムコリッタ 
沈黙のパレード 
雨を告げる漂流団地

 

<外国映画>

   27本(新18本+旧9本)

【新作】
時代革命
  (Revolution of Our Times)
Nope ノープ
  (Nope) 
スワンソング
  (Swan Song) 
彼女のいない部屋
  (Serre Moi Fort / Hold Me Tight) 
DCがんばれ!スーパーペット
  (DC League of Super –Pets) ZOLA ゾラ(Zola)
ブレット・トレイン
  (Bullet Train) 
デリシュー!
  (Delicieux / Delicious) 
地下室のヘンな穴
  (Incroyable Mais Vrai / Incredible But True) 
オルガの翼
  (Olga) 
シーフォーミー
  (Mira Por Mi / See For Me) 
リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス
  (Linda Ronstadt-The Sound Of My Voice) 
ビースト
  (Beast) 
靴ひものロンド
  (Lacci / The Ties) 
人質 韓国トップスターの誘拐
  (Hostage: Missing Celebrity) 
3つの鍵
  (Tre Piani / Three Floors) 
秘密の森の,その向こう
  (Petite Maman)

 

【試写】
クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~
  (Creation Stories)

 

【旧作】
<二十一世紀のジョン・フォード PartⅡ>
三悪人
  (3 Bad Men) 
男の敵
  (The Informer) 
太陽は光り輝く
  (The Sun Shines Bright) 
三人の名付け親
  (3 Godfathers)
コレヒドール戦記
  (They Were Expendable) 
メアリー・オブ・スコットランド
  (Mary of Scotland)
リオ・グランデの砦
  (Rio Grande)
最敬礼
  (Salute)

 

<その他の旧作>
親愛なる日記
  (Caro Diario / Dear Diary)

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

 時代革命
香港の中国化はどんどん進行している。そうした動きに対する香港人たちの抵抗は時々日本でも報道されてきた。映画は2019年犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案が立法会に提出されたことが契機になり、大規模なデモが起きたことを中心に約180日間の闘いを描く。人口700万の内、200万人が参加したと言われる。あらゆる年齢、階層の人が参加している。その規模、官憲との激しい衝突など驚く事ばかり。今月のトークショー参照。

 

②-1 シーフォーミー
今月の拾い物と言っていい1本。カナダのカルガリー出身の日系カナダ人ランドール・オキタ監督作品。“映画に限らずパフォーマンス、彫刻、デジタルメディアなど多様な表現領域を縦断するアーティスト”と公式サイトにあり、東京のカナダ大使館のギャラリーにて個展をしたこともあるという。盲目の女性がある家のペットシッターとして泊り込んでいるところに強盗団が・・・というサスペンス。今月のつぶやきも参照。 

 

-2 ヘルドッグス
深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」から脚本を書き、監督した原田正人監督の新作。やくざ組織に潜入し、情報を警察に渡す男の物語。ダークヒーローを深い映像と速いテンポで描き切っている。その映画作りは流石の出来。多くの登場人物をきちんと立たせるなど、細かい造形も印象に残る。

 

③-1 オルガの翼
2021年のフランス・スイス・ウクライナ合作の作品はフランスの新人監督、1994年生まれのフランス人エリ・グラップによって作られた。2013年ウクライナ・キーウの15歳の体操選手オルガは、練習の帰り母親の運転する車に乗っていると後ろから追突される。ジャーナリストである母親の記事(ヤヌーコビチ大統領を批判)に反対する勢力からの攻撃だ。映画で描かれるのはほぼフランスでの場面だが、その裏には現在の現実のウクライナが張り付いている。今月のトークショー参照。

 

③-2 リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス
この作品、4月に封切りされていたのだが見逃していた。ピーター・バラカンの音楽映画フェスティヴァルでも取り上げられていて見てみたら、驚いた。女性ロック歌手と言うだけの認識だったのだが、これほど偉大な歌い手だったとは。ロック、フォーク、カントリーからラテン、オペラまでの幅広さ。その何処においても声がきちんと出ていることに驚く。今月のトピックス参照。

 

 

 

映画観で楽しめる映画は他にも沢山!

(上映が終了しているものもあります。)

 


Nope ノープ:「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督の新作は、牧場の上空に登場する異物がテーマ。SF的ミステリーと言えようか。この人の映画は映像のセンスがいい。単に宇宙からの異物襲来物語だけれど、なんだかわくわく。

 

アキラとあきら:テレビドラマ化された作品が大人気の池井戸潤の企業小説。銀行員だった自身の経験から銀行ドラマが大きな柱だ。産業中央銀行に同期入社の山崎瑛(アキラ)と階堂彬(あきら)を主人公に、倒産した町工場の息子のアキラと大企業社長の息子のあきらの人生を描くちょっとベタな物語。

 

スワンソング:ウド・キアという俳優をご存知だろうか?ドイツ出身で多くの映画に出演しているが、特に初期は「残酷!女刑罰史」「悪魔のはらわた」「処女の生血」等という裏街道作品が殆どで、怪優という印象だった。彼が老人ホームで暮らすゲイの元ヘアドレッサーを煌びやかに演じる快作コメディ。

 

ブレット・トレイン:マスコミに結構取り上げられたこの作品、伊坂幸太郎の原作をハリウッドが映画化。新幹線を舞台にプロの殺し屋が大活躍。コロナ禍で日本での撮影ができなかったこともプラス方向に働き、正にファンタジックな新幹線ムービーが完成。ブラッド・ピット、真田広之など俳優陣も楽しそうな作品を監督したのはデヴィッド・リーチ。快作。今月のつぶやきも参照。

 

ブリング・ミンヨー・バック:民謡クルセイダーズをご存知だろうか?私は知らなかった。しかもすでに世界に打って出ているのだからすごい。普通に、何で今さら民謡?と言うのが一般的な感想だろうが、この映画を見ていると、何で民謡を聞かなくなったんだろうとなるかもしれない。彼らが羽ばたく一つのきっかけになったのが、ライ・クーダーが彼らを発見したからということも教えてくれる。楽しくなること必至のドキュメンタリーだ。今月のトークショー、今月のトピックス参照。

 

デリシュー!:レストランという料理を食べさせるところができたのはフランス革命の後だったと教えてくれる映画。その形になるまでは、料理人は貴族に雇われて初めて存在していた。貴族以外の人々が初めて料理人の料理を味わうことになった。

 

さかなのこ:さかなクンの自伝「さかなクンの一魚一会~まいにち夢中な人生!」から沖田修一が脚本(前田司郎と共同)を書き監督した作品。沖田の持つおとぎ話的ユーモアのセンスが、この作品を生き生きとさせている。自分の好きなことを素直に突き進んでいくという案外難しいことをたのしく見せてくれる。

 

LOVE LIFE:今年のヴェネチア映画祭のコンペ部門に出品され、残念ながら賞は逃した深田晃司監督の新作。夫婦の前に現れた連れ子の妻の元夫との、それでも静かな関係が落ち着いたペースで描かれる。それが最後まで続いたら賞に届いたかもしれないなあと・・・。元夫は聾唖の韓国人という設定が、物語に強いうねりを与えている。演じた砂田アトムは本当の聾唖の俳優で、いい味を出している。

 

人質 韓国トップスターの誘拐:ファン・ジョンミンと言えば韓国の大スター、彼を名前もそのままに主役に据え、誘拐されるというアイディア自体が拍手ものだ。アイディア倒れにはならず、誘拐された後も良く練られた物語が続く。このあたり現在の韓国映画の実力を見せられる。

 

ぜんぶ、ボクのせい:来月30歳になる松本優作監督の商業映画デビュー作。脚本も監督が書いている。児童養護施設で暮らす13歳の中学生が主人公。脱走して母親を訪ねても、改めて捨てられた彼が見つけた心休まる場所とは?丁寧に描かれた作品だが、2時間越えの上映時間は少し長い。

 

3つの鍵:イタリア映画の巨匠ナンニ・モレッティの新作。40歳にして3大映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネチア)を制してから29年、今回初めて原作(イスラエルの作家エシュコル・ネヴォの小説)の映画化に挑む。日本題名は「鍵」でミステリーのように感じるのだが、原題の「Tre Piani」は「3階建て」で同じ建物の各階に住む3家族の物語。

 

沈黙のパレード:東野圭吾の小説は多くが映像化され人気を博している。この作品はガリレオシリーズの新作。監督はフジテレビの西谷弘。いかにも調子よく進む物語。見慣れた人には心地良いだろう。

 

秘密の森の、その向こう:前作「燃ゆる女の肖像」が高く評価されたセリーヌ・シアマの新作。分かり難い。双子の姉妹を使ったことで、その区別がしづらく、物語についていけない。予備知識なしで見るとついていくのが結構つらい。72分と短いのにはホッとしたが。静謐な画面、静かなリズムを刻む音楽など、前作と同じトーンで作られた映画。

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<外国映画>

二十一世紀のジョン・フォード Part
ジョン・フォード監督の特集第2弾が9月10日~10月7日の期間で上映されている(一部PartⅠで上映された作品も含まれる)。今回8作品を見ることができた。


西部劇の神様と称されたフォードの神髄を見せてくれたのは3作品。


三悪人:1926年製作のサイレント映画は映像の美しさが光る。後年も見られた抒情的な映像が随所に現れる。馬車の疾走シーンの迫力も素晴らしい。


三人の名付け親:こちらも銀行強盗を稼業とする3悪人が主人公。フォードは結構悪い奴を描く。生まれたばかりの赤ちゃんを無事に町まで届けようとするお話。弱い者を厳しい西部の環境の中で守り、安全なところに送るというのもフォード作品のメインテーマの一つ。


リオ・グランデの砦:西部劇のイメージの一つ、アメリカ先住民との闘いがメインにおかれ、夫と妻、更に息子との関係、軍隊仲間の在り方などが描かれる。

 


西部劇以外の5作品の中では次の2作品が意外性で気を引いた。


コレヒドール戦記:太平洋戦争開戦の年、フィリピンにいた米軍が翌年にかけて日本軍に攻められて南下する話。アメリカにとっては負け戦だ。作られたのは1945年。フォードは終戦後直ぐにこの作品を作った。戦争中は政府に頼まれて戦地などでドキュメンタリーを何本か製作しているが、その時の経験からこの作品を作ったのだろうか?原題は「彼らは消耗品(They Were Expendable)」で、兵士の虚しさを描いている。それでもカラッとしているが。今月のつぶやきも参照。


メアリー・オブ・スコットランド:1936年の作品だが、その3年前のマクスウェル・アンダーソンによる舞台劇を基に作られた。映画の脚本はダドリー・ニコルズ。16世紀の悲劇の女王メアリーという歴史劇、更に舞台劇をフォードが手掛けていたとは。キャサリン・ヘップバーンが演じるメアリーは凛として美しい。先月見た「荒野の女たち」もそうだったが、フォードは強い女性を好んで描いたようだ。

 

 

<その他の旧作>

親愛なる日記:ナンニ・モレッティの新作「3つの鍵」に合わせて、リバイバル公開された作品。3つのテーマで作られた作品で、いかにもモレッティが楽しんで作っていることが感じられる。見ている我々も楽しくなる。特にヴェスパで街を巡る第一部は楽しめる。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー 

 

8月27日 ユーロスペース「時代革命」上映後 大島新(ドキュメンタリー監督)
どんどん状況が厳しくなる香港を描く映画。中国が返還時からの50年間は一国二制度を守るという約束を反故にして、自由が無くなりつつあるのだ。それに対する香港の人々の反対運動がこれほどの激しさだったのかとショックを受ける。激しくなるのは権力側がその締め付けをどんどん厳しくしてきたからである。日本のニュースでは全く伝わってこない香港人たちの闘いを教えてくれるこの映画、ドキュメンタリー監督・大島新はどう見たのだろうか?
衝撃でした。この映画は自国では公開できないという厳しい状況です。「時代革命」をネットで検索するだけでも逮捕されるという。見ていて驚くのは警察権力にマフィアが加わってのその横暴ぶりです。これを見ていると、権力に対する恐怖と、状況を伝えるメディアの役割の重要性を感じます。そして反対運動をしている人の中に若い人、十代の若者が多いのにも驚く。彼らは1997年に返還された香港の返還前を知らない。香港のピークは当然返還前にあったわけで、その自由さを知らないで反対運動をしているのは社会に対するうっぷんがあったのだろう。

 

 

9月2日 角川シネマ有楽町<Peter Barakan’s Music Film Festival 2022>の初日1作目「ブリング・ミンヨー・バック」上映後 ピーター・バラカン(企画者)、田中克海(民謡クルセイダーズのギター)、森脇由二(監督)
民謡クルセイダーズは1か月ほどのヨーロッパ公演から帰ってきたばかり、まだ少し時差呆けと言う。クルセイダーズのメンバーも、バラカンさんも完成版の映画を観るのは今日が初めてという。今回の上映会の初日、1本目に上映されたこの「ブリング・ミンヨー・バック」はワールドプレミア上映とのこと。皆さん客席から観客と一緒に見た後で登壇されたのだった。客席にはクルセイダーズの他のメンバー二人がいて、ボーカルのフレディ・塚本さんとコンガのIrochiさんが呼ばれて舞台に上がった。今回の上映会は、この後他の都市にも行く予定があるそうだ。今月のトピックス参照。

 

 

8月4日 ユーロスペース「オルガの翼」上映後トーク 矢田部吉彦さん(前東京国際映画祭ディレクター)によるウクライナとその映画についてのトーク
矢田部さんは今年ウクライナ映画の2作品(「アトランティス」「リフレクション」)の公開に尽力された。その関係もありウクライナの歴史等についての話をされた。
主人公オルガ(ウクライナではオーリャ)がジャーナリストの母と車に乗っていた時、後ろから車で追突され、追いかけられ命の危険を感じる。2013年、ヤヌコービチ大統領に批判的な母の記事のためだ。体操選手で欧州選手権に出場したいため、父の故国であるスイスに行って、スイスの選手として練習を続ける。ウクライナにいる母親を心配しながら、国籍を変えてでも大会に出場するため練習に励む。青春の物語とスポーツの頂点を目指す物語に、ウクライナの当時の大統領を巡る戦いが現在のウクライナ戦争と結びつくと話しされた。

 

 

 

 

 

 

 今月のつぶやき

 

●DCコミックが持つスパーヒローたち(スーパーマンとか)も登場するアニメ「DCがんばれ!スーパーペット」はアメリカほどには日本ではヒットしなかった。同じ動物が主人公の外国アニメ「ペット」に比べても今一つの成績。原因はその可愛げのないペットの造形、今一つ笑えないギャグではないか?アニメ先進国である日本では受け入れられないのでは?

 

●夜行列車の新幹線など走っていないぞとクレームされそうな「ブレット・トレイン」だが、この映画世界の中では走っているんだなと理解する。現実の世界より、この中の世界に引っ張られて楽しめる作品。

 

●こんなアプリは日本にもあるのだろうかと思った「シーフォーミー」。映画が作られたカナダにはあるのだろう。このアプリがなければこの映画は成立しないのだから。アプリをスマートフォンにインストールし起動すると、ビデオ通話がはじまり、映像を通してサポートが受けられるというシステム。それにボランティアで対応する人たちがいて、目の見えない人たちが映像を送りボランティアの人たちから周りの状況を教えてもらうというシステムだ。このシステムで盲目の女性が強盗団と闘うのだ。

 

●終戦後直ぐに製作した「コレヒドール戦記」。この映画の製作はMGMが行ったが、ジョン・フォードはその時史上最高の監督料を要求したという。その全額を自分と共に従軍した人々のために建造したクラブハウスの費用に充てたという。

 

 

 

 



今月のトピックス:ハリウッドの日本進出  

 

Ⅰ ハリウッドの日本進出

 

 ハリウッドの日本進出
現在の日本映画の多くは製作委員会方式で製作されている。昔のように、単純に東映作品、松竹、東宝などと言える作品は極少なくというか、全くなくなっていると言ってもいいかもしれない。製作委員会の中に東宝、松竹とかが入っているが、他にも出資しているメンバーがいるのである。1社で危険性を負担するのを避けるため、分担するようになったのだ。映画会社が衰退し、新しい形を模索する中で生まれてきた方式と言える。1980年代から徐々にこの方式が増えてきた。


この製作委員会の中にハリウッド資本が入ってきたとしても不思議はない。
ハリウッド資本の映画会社のサイト(もちろん日本の)を見てみよう。
ソニー・ピクチャーズのサイトを開くと、「ヘルドッグス」(公開中)、「アイ・アムまきもと」(9月30日公開)、「耳をすませば」(10月14日)、「ブリット・トレイン」(公開中)の4作品が順に現れる。前3作品は日本映画、最後は日本が舞台の映画(これは偶然)ということで、何も知らなければ日本の映画会社のサイトかと勘違いしてしまうだろう。作品はソニー・ピクチャーズが製作しているということではない。


ワーナーブラザースのサイトでは、「カラダ探し」(10月14日公開)、「母性」(11月23日)、「ロード・オブ・ザ・リング」(IMAXで公開中)の3作品が頭に置かれている。前2作は日本映画である。
こんなことになっているのかというのが素直な感想だ。
ワーナーブラザースは以前から、世界各地でこうした形で製作にかんでいることは知っていた。今詳しくは憶えていないが、以前に日本で公開されたイタリアだったかの映画が、ワーナーイタリアによって製作されていたことがあった。韓国映画でもワーナー製作のものがあった。
ワーナーは日本映画製作にかかわってきたのも随分昔からだ。ネットには「ワーナーブラザースジャパンの映画」というジャンル分けで一覧になったページがあった。


Category:ワーナーブラザースジャパンの映画 - Wikipedia


そこには84作品が挙げられている。ヒット作品も結構多い。
ハリウッド資本自体も衰退を続けてきた。その表れの一つがかつてのコロンビア映画がソニー・ピクチャーズに変わっていく1990年頃からの状況だった。今やソニー・ピクチャーズがハリウッド資本の一つになったこと自体も感慨深いものがある。


これからもハリウッド資本が日本映画に投資することだろう。どんな形であれ、日本映画に元気を与え、映画館で我々を楽しませてくれることを願うのみ。

 

 

 

 

Ⅱ ピーター・バラカンのMusic Film Festival


昨年に引き続き「Peter Barakan’s Music Film Festival 2022」が9/2~15の2週間に渡って角川シネマ有楽町で開催され、23作品が上映された。以前も書いたが、コロナになって作品不足を補うように音楽関係のドキュメンタリーが多く公開されるようになっている。そんな中、バラカンさんの判断基準によって選ばれた作品群は、それだけの価値を持つ。昨年この上映会で日本初公開された「Billie ビリー」「ジャズ・ロフト」や、今年4月に封切られていた「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」を組み入れている。これがなければ、リンダ・ロンシュタットの実力を知ることはなかった。
今回はこの作品と、「ブリング・ミンヨー・バック」の2作品しか見ることはできなかったが、これからも続けて欲しい。同じ作品でも構わないので、この上映会でしか見られない作品を見せて欲しい。
今月のトークショー参照。

 

 

 

 

今月はここまで。
次号は、食欲の、芸術の秋のど真ん中、10月25日にお送りします。

 


                         - 神谷二三夫 -


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