2023年 新年特別号back

 

あけましておめでとうございます。

最近2~3日の朝の曇り空もなく、

東京の今朝は360度、全天、雲もない完璧な晴天で始まった。

風もなく、昼頃にはかなり暖かくもなった。

新しい年を祝うかのような良い天気。

あとはコロナとうまく付き合うだけ。

良い年にいたしましょう。

 

2022年の日本における映画興行は格差が拡がったように思われる。

コロナが始まった2020年から、外国映画の大作を中心に公開延期が拡がった。

延期されていた大作群が2021年後半から公開されるようになり、

2022年にはほぼ解消され、大作の姿もかなり見られるようになった。

興行収入的にも100億円の興収を挙げた作品が4本出てきた。

3本の日本のアニメ(One Peace Red、呪術廻戦、すずめの戸締り)と

トム・クルーズの1本(トップガン マーヴェリック)だ。

こうした大ヒット作があった一方で、

ロードショー期間が予定より短くなる作品も目に付いた。

これは観客の興味の多様化、配信等の他の映像作品の増加などが原因だろう。

そのために多くの作品が公開されることになったように感じる。

実際の公開本数は少し待たなければ分からないが、

映画観で出かけるためにチェックしていると、

知らない作品が多く出てきて驚くことが多い。

コロナ以降に製作された作品も多く公開された2022年だった。

 

2022/1/01~12/31に見た映画は487本、前年より1本多くなった。

そのうち旧作が90本で、新作が397本と前年を上回り過去最高となった。

2022年はかなり普通に戻ったという印象だ。

特に外国映画の大作群がコロナによる影響から抜け出した感があった。

ここ数年ドキュメンタリーが増えていると書き続けているが、

今年も同様の傾向が見られた。(作品名の後ろに(ド)とあるのがドキュメンタリー。)

自分の好きな作品という観点だけで選ぶとドキュメンタリーがもっと増えてしまう。

特に日本映画には身近に感じられる題材のものが多く見られた。

 


 

2022年間ベスト10


<日本映画>

1.ケイコ 目を澄ませて

2.原発を止めた裁判長(ド)

3.牛久(ド)

4.PLAN75

5.ぼけますからよろしく おかえりお母さん(ド)

6.ラーゲリより愛を込めて

7.ある男

8.The First Slam Dunk(ア)

9.ヘルドッグス

10.キングダム2 遥かなる大地

 

 

フィクション作品では登場する人物が如何に作られているかが重要だ。

耳が聞こえないが故に周りを見極め自分で判断していくケイコは、

三宅監督の無駄のない映画作りの中ですっきり立ち上がっていた。

自分の敗北、弱さを認めた上で前に進もうとする姿に感動する。

実在の女性ボクサー小笠原恵子さんにヒントを得て作られたフィクションだ。

ドキュメンタリーは上にあげた3本以外にも、印象に残った作品が10本以上あった。

題材の幅も広い。部落、教育、映画館、移籍、横須賀、クライマー、戦場・・・。

これだけの幅があり、事実という強みを持つドキュメンタリーに勝つフィクションを作るのは、

大変だろうと想像する。

今回アニメからは1本だけを挙げている。(ア)

漫画家の井上雄彦が原作・脚本・監督をしていて、これはちょっと特殊だが、

この他にも大人が楽しめるアニメもちらほら現れている。

日本の特技といわれるアニメだが、

それだけ海外からもそのマーケットを目指す動きもみられる。

きちんと人材を育てるシステムはできているのだろうか?

日本映画・フィクションにも骨太な作品が時々見られる。

フィクション作品を作った6人の監督の年齢を見ると、

30、50、60、70代が各一人、40代が二人となっている。

年齢は上手くばらついているようだ。

育て、育てられる関係を上手く作り、面白い作品を作る人財を生み出してほしい。



 

 

 

<外国映画>

1.アンデスふたりぼっち

2.アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

3.フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

4.映画はアリスから始まった(ド)

5.ベルファスト

6.パラレル・マザーズ

7.ベイビー・ブローカー

8.ウエスト・サイド・ストーリー

9.トップガン マーヴェリック

10.ザリガニの鳴くところ

次点 チケット・トゥ・パラダイス

 



今年ほど外国映画の順位で悩んだことはない。

特に1位は最後まで決まらなかった。

そんな時、アンデスの山の上で二人で暮らす老夫婦のことが浮かんできた。

あれ程心動かされた映画は他にない。

単に自分が加齢による様々な不都合があって、共感するところが多いためだったかもしれない。

この1位を決めたら「アバター」が浮かび上がってきてしまった。

あの家族の話にも感動したのだ。

勿論素晴らしい映像にも大いに感動したのだが。

ジェームズ・キャロンは第3話は既に編集の段階だというし、

第5話まであるというからこれからも長く楽しめそうだ。

是枝監督の「ベイビー・ブローカー」は韓国映画。

日本映画が国際化すればこんなことはいつ起こっても不思議はない。

この作品が入ってきて、10位から外れてしまったが、

次点に置いた「チケット・トゥ・パラダイス」も好きな作品だ。

昔のハリウッド映画のようで、ふたりのスターの堂々としたおかしみも楽しんだ。

 

そんなこともあったねとコロナがなればいいのだが、

そんなことはすぐには起こらないだろう。

コロナには注意しつつ、楽しむものは楽しむ。

もう皆さんもそんな風になっているのでは?

今年も良い、楽しい映画を見て、

こころ元気で参りましょう。



                         - 神谷二三夫 -


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