2025年2月号 アカデミー賞ノミネーションback

 

1月も既に残りはあと少し、
年末にも、年始にも時の過ぎることの速さを感じる。
まあ、あんまりゆっくりされても困るけど。
様々な時が流れるのが映画、
色々な経験ができるのが映画館。

 

 

 

 

 

今月の映画

 

12/26~1/25の1月生まれでまた一つ年を取った31日間に出会った作品は42本、邦/洋画は12/29と約1:3で、ほぼいつもどおり。
旧作は外国映画だけで8本。

 

 



<日本映画>

   13本(新13本+旧0本)

【新作】

グランメゾン・パリ 
私にふさわしいホテル 
いもうとの時間 
大きな家 
シンペイ 歌こそすべて 
HAPPYEND 
劇映画 孤独なグルメ 
Welcome Back
室町無頼 
敵 
Retake リテイク
サンセット・サンライズ 
嗤う蟲

 

<外国映画>

   29本(新21本+旧8本)

【新作】
市民捜査官ドッキ
  ( Citizen of a Kind)、 
ヘヴィトリップⅡ 俺たち北欧メタル危機一発!
  (Hevimpi reissue)、 
I Like Moviesアイ・ライク・ムービーズ
  (I Like Movies) 
ミュージック
  (Music) 
満ち足りた家族
  ( A Normal Family) 
セカンドステップ 僕らの人生第2章
  (Between the Temples) 
ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い
  (The Lord of the Rings: The War of the Rohirrim) 
占領都市
  (Occupied City) 
ビーキーパー
  (The Beekeeper) 
ブラックバード,ブラックベリー,私は私
  (Shashvi shashvi maq'vali

  / Blackbird Blackbird Blackberry) 
ジャッジアイズ 復讐走査線
 (Cult Killer) 
オークション 盗まれたエゴン・シーレ
  (Le tableau vole / Auction) 
FPU若き勇者たち
  (維和防暴隊 /Formed Police Unit) 
ねこしま
  (Cats at Malta) 
帰ってきた正直政治家チェ・サンスク
  ( Honest Candidate) 
Mr. Jimmyミスター・ジミー レッド・ツェッペリンに全てを捧げた男
  (Mr. Jimmy) 
勇敢な市民
  ( Brave Citizen) 
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
  (九龍城寨之圍城 /Twilight of the Warriors: Walled In)  
ディックス ザ・ミュージカル
  (Dicks, The Musical) 
アンデッド 愛しき者の不在
  (Handtering av udode / Handling The Undead)

 

【試写】
ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻(2月14日公開)

 

【旧作】
<デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ>
ステキなパパの作り方

  (Week-End with Father) 
心のともしび

  (Magnificent Obsession) 
僕と祭りで会わないかい?

  (Meet Me at the Fair) 
わが望みのすべて

  (All I Desire) 
夏の嵐

  (Summer Storm) 
誘拐魔

  (Lured) 
奇妙な女

  (The Strange Woman) 
世界の涯に

  (Zu Neuen Uferri / To New Shores) 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

① 

昨年の東京国際映画祭にてグランプリ、最優秀監督賞(吉田大八)、最優秀男優賞(長塚京三)の3冠を受賞。白黒画面(かなり美しい)で描かれる高齢男性の一人暮らし生活。大学でフランス近代演劇史を教えていたのは10年前まで。20年前には妻を亡くし、それ以降は家で一人暮らし。死に対する準備をし、常に考えている。ある時パソコン画面に“敵が北からやってくる”と表示される…。

 

決戦!九龍城砦

香港には1回しか行ったことがなく、九龍城に行ったことはなかったが、懐かしさにあふれた映画だった。それは久しぶりに香港映画を見たという感じでもあった。香港の中国化はず~と進んでいる中でこの作品が出てきたことに驚いた。圧倒的なアクション、73歳になるサモ・ハンもかなりの動き、香港映画歴代No.1の動員を記録したという。

 

 

③-1 市民捜査官ドッキ

韓国も振り込め詐欺が多いのかと思わされる作品。昨年も1本振り込め詐欺が出てくる作品があった。その作品は詐欺がメインという訳ではなかったが、この作品は詐欺の始まりから終わりまで結構詳しく描かれる。ドッキという名前の普通のおばさんが、その犯人を追って大活躍というコメディだ。

 

 

③-2 ブラックバード、ブラックベリー、私は私

日本では2015年4月までグルジアと表記していたが、その国からの要請でジョージアと表記するようになったジョージアの映画。48歳独身の女性主人公が強烈。映画の原題名と同じ名前の原作小説があり、大ヒットしたという。ジョージアで主に舞台で活躍していたというエカ・チャヴレイシュヴィリという女優の存在感がこれまたすごい。監督は1985年ジョージア生まれの女性監督エレネ・ナヴェリアニ。

 

 

 

他にも楽しめる映画が今月も沢山。(上映終了済作品もあります。)


I Like Moviesアイ・ライク・ムービーズ’:カナダの田舎町で暮らす男子高校生。題名通り映画が好きで、それ以外のことはどうでもいいと思っている。なかなか大人になり切れず、周りの人に上手く合わせることができない。地元のビデオ店でバイトしながら、ニューヨーク大学で映画について学ぶことを夢見ている。唯一の友達ともいつの間にか離れてしまうが…。自伝的要素を含むという監督・脚本のチャンドラー・レバック監督の長編デビュー作。ラストで地元の大学に入り、やっと他の人と話す主人公に少しホッとする。

 

満ち足りた家族:弁護士で金もうけに興味があるような兄と、医師で人を救うことに励む弟、ふたつの家族は月に1回夫婦だけの4人で集まり高級レストランで会食をする。共に10代の子どもがいるが、会食をしているとき子供が事件を犯す…。如何にも分かりやすい人物造形と、更に逆転する展開で今の韓国映画の力を見せつける。監督はホ・ジノ。

 

私にふさわしいホテル:柚木麻子の同名小説の映画化。監督は堤幸彦。のんが主演しているので見たいと思った。楽しめる作品になっていた。田中圭、遠藤賢一、光石研、橋本愛などが出演。

 

占領都市:オランダのアムステルダムは1940年からの5年間、ナチス・ドイツによって占領された。現在のアムステルダムの映像のみで、占領されていた都市の記憶をよみがえらせるという野心的なドキュメンタリーは、現在アムステルダム在住のイギリスの映画監督スティーヴ・マックイーンによって作られた。4時間11分の大作。

 

ビーキーパー:ミツバチを育てている主人公は、ある時世話になった老婦人がフィッシング詐欺にあい財産を奪われ自殺したことを知る。彼はかつて所属していた世界最強の秘密組織“ビーキーパー”の力を借り、事件の黒幕に迫って行く。あのジェイソン・ステイサムが主演、ジェレミー・アイアンズが共演している。ちょっとその先が想像できるかものデヴィッド・エアー監督作品。

 

いもうとの時間:1961年というから自分が中学生になった頃の事件。名張毒ぶどう酒事件という名前はしっかり記憶に残っている。犯人として逮捕された奥西勝は、自分はやっていないとずっと言い続け、9度の再審請求をした。収監中の2015年、肺炎のため89歳で亡くなっている。この事件を1970年代から取材している東海テレビ制作のドキュメンタリーで、奥西の妹のインタビューをメインにしている。兄が亡くなった後、妹が10回目の再審請求をしたが棄却、2024年には最高裁が特別抗告を棄却している。

 

シンペイ 歌こそすべて:中山晋平という作曲家の名前は知っている。1887-1952の65年の生涯で約2000曲を作曲したという。童謡では、シャボン玉、てるてる坊主、あの町この町、背くらべ…、流行歌では、カチューシャの唄、ゴンドラの唄、船頭小唄、波浮の港、東京行進曲…。その他新民謡、校歌なども多く作っている。その幅の広さに驚く。彼の生涯を描き、作詞家の野口雨情、西城八十、更に彼の師であった島村抱月を描く。晋平役は歌舞伎役者の中村橋之助、抱月に扮した緒方直人がいい味。監督は神山征二郎。

 

オークション 盗まれたエゴン・シーレ:2000年代初頭、フランス東部の町ミュルーズ郊外の若い工員の家でエゴン・シーレの作品が発見された。ナチスに略奪されて以来行方不明になっていたものだ。この事実に基づいて脚本を書き、監督したのがパスカル・ボニゼール。この脚本が、絵画を取り巻く人々の動きから、現在の絵画市場の問題点迄暴き、よくできている。

 

劇映画 孤独なグルメ:原作漫画も読んでいず、テレビドラマ(ちなみにこの映画はテレビ東京開局60周年特別企画)も見ていない。更に主演の松重豊が田口佳宏と共同で脚本を書き、監督をしていることはちょっと驚き。予告編からはパリが結構舞台になるのかと思っていたがそんなことはなかった。

 

帰ってきた正直政治家チェ・サンスク:今の日本映画でなかなか描かれないものが政治に関するものといえようか?いつからこうした状況になったのか調べたことはないが、口出ししないおとなしい人が多くなったためだろうか?どんな形であれ、もう少し政治について表現した方がよいと思うが、韓国では興味深い内容であれば、すぐに映画化される印象がある。反応が早く、正直といえようか?この作品は笑いで政治家を描く。

 

Mr. Jimmyミスター・ジミー レッド・ツェッペリンに全てを捧げた男:新潟・十日町で1963年に生まれた桜井昭夫は17歳の時レッド・ツェッペリンに出会い、ジミー・ペイジのギターに魅了される。それ以来ジミー・ペイジの音色だけでなく、衣装から演奏方法までペイジの総てを再現することに専念する。現在はロサンゼルスに住むジミー・桜井と様々な音楽活動を追ったドキュメンタリー。監督はレッド・ツェッペリンに魅入られているピーター・マイケル・ダウド。

 

ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻:英国の王様の中でも最も有名ともいえるヘンリー8世。何しろシェイクスピアが「ヘンリー8世」という戯曲を書いたのだ。もっとも、この作品は必ずしも正しい生涯がかかれてはいなかったようだが。様々な才能があり、スポーツも得意、ラテン語、スペイン語、フランス語ができ、絶頂期には最もカリスマ性のある統治者と思われていたらしい。55年の生涯で6度の結婚したことでも有名。この映画はその最後の妻キャサリン・パーを主人公にした映画だ。彼女を演じるのはアリシア・ヴィキャンデル、ヘンリー8世はジュード・ロウが演じている。2月14日公開。

 

サンセット・サンライズ:楡修平の同名原作から、宮藤勘九郎が脚本化、岸善幸が監督をした。前半は快調だが、二人の恋愛話になるあたりからとたんにトーンダウン。2時間19分も長すぎる。30分くらい短くすれば、快調に行けたのに。

 

◎嗤う蟲:手筒花火が数回出てくる。ということは豊橋かその近辺の村となる、具体名は出てこなかったが。都会から田舎の生活をしたいと引っ越してきた若い夫婦が村の住民に親切にされるが…。どんどん取り込まれていく夫と、抵抗する妻。田口トモロヲが恐ろしいほど適役。

 

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>

渋谷シネマヴェーラの<デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ>は映画監督ダグラス・サークの特集。デンマーク人の両親のもと、1897年にハンブルクで生まれた彼は、本名がハンス・デトレフ・ジールク。ドイツで何本かの作品を監督した後、妻がユダヤ人であったため1937年にドイツを離れ、スイス、オランダ(オランダでも映画を監督している)を経てアメリカに亡命した。アメリカでは名前をダグラス・サークと改名し、ハリウッドで活躍した。今回の特集ではデトレフ・ジールク名の作品8本と、ダグラス・サーク名の20作品、更に他の監督の関連作品2本が上映されている。


ダグラス・サークは今までにも何本かの作品を見ているが、今回見てはじめて彼の力を認識した。彼は様々なジャンルの作品を監督しているが、なかなか一言で言い表すことが難しいと思う。平たく言ってしまえば、普通の映画が多いのだ。よく恋愛の名手と評されているが、それもまた一つの面だと言える。但し、派手さはほぼなく、日常の時間を丁寧に描いていると言えようか?今月のトピックス欄も参照ください。


この特集は1月31日まで行われていて、明日以降も5~6本は見たいと思っている。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

1月10日 シネマ・チュプキ・タバタ「HAPPYEND」上映後トークショー 松田陽子(音声ガイド製作者)


音声ガイド製作者とは何をするのか。音声ガイドということは視覚障害者のために映画の説明をするということだ。今回見た「HAPPYEND」は日本映画で日本語の会話だ。視覚障害の人たちもセリフは聞くことができる。見ることができない映像を台詞の邪魔にならないように入れていくのが音声ガイド製作者の役割だ。なかなかに難しい。限られた時間の中で、すべてを説明することはできない。映画の内容に沿って、作者の伝えたいテーマから外れることなく映像を言葉で伝える。言うは易しだが、実際に行うのは難しいだろう。今回は実際の音声ガイドは利用しなかったので、どんな風に説明されるのかは分からない。一度経験してみたくなった。
シネマ・チュプキ・タバタは様々な障害のある人たちにも映画を楽しんで欲しいという願いから2016年に開館している。開館当時一度来たことがあった。20席の小さな映画館だ。今回改めて上映予定作品等を見てみると、封切り時それ程評判にならなかったが、見ておきたいといった作品が結構目についた。これからは、何を見るかを決める際にシネマ・チュピキもチェックしよう。一般料金は1700円とロードショーより安いが、シニアは1300円と安くないのはちょっと残念。

 


 

 

 

 

 

Ⅳ 今月のつぶやき(良いことも、悪いことも)


●ロード・オブ・ザ・リングといえば、J.R.R.トールキンの長大な原作から作られた映画の3部作が有名だ。ニュージーランドのピーター・ジャクソンが3作とも監督・脚本(脚本は他数人との共同)を担当し、世界的に大ヒット。作品的にも高く評価され、3部作で米アカデミー賞を17個受賞、特に最終作「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」では11部門を受賞し、「ベンハー」「タイタニック」と並ぶ最多受賞を誇っている。
昨年末に日本で公開された「ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い」は、200年前の始まりの物語をアニメーションで描いたもの。日本の神山健治が監督をしている。ピーター・ジャクソンは製作陣の一人として参加はしている。アニメにすると決めたことにも絡んでいるだろう。しかし、見てみるとアニメは失敗だったと言わざるを得ない。アクションの多い作品で、動きが如何にもぎこちない。特に走っている動きはあまりにひどい。何とか実写で作って欲しかった。

 

●ジョージアの小さな村の雑貨店を営む主人公の話の「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」。その店のたたずまいが凄い。結構広い面積にごく少ない品物が並べられている。そのなんとも貧弱というか、スカスカぶりが妙に懐かしい。時代は特定されていない。原作小説はジョージアで2021年にベストセラーとあるから、多分今の時代だろう。その商売っ気なしの店の在り方が記憶に残る。

 

●FPUは英語題名の「Formed Police Unit」の頭文字だったのか、と思った「FPU若き勇者たち」。久しぶりに見る中国映画は、まるで中国はこんな風に世界に貢献していますよという宣伝映画のよう。中国の平和維持警察が国連の要請を受けアフリカのある国に派遣され、活躍するというお話。国名は実際にはないものだった。若いイケメン俳優が活躍し、中国国内では大ヒットしたらしい。

 

 

 

 

 



今月のトピックス:アカデミー賞ノミネーション

 

Ⅰ アカデミー賞ノミネーション  

 

今年のアカデミー賞の授賞式は3月2日に行われる。
ノミネーションの発表は当初1月17日に予定されていた。しかし、カリフォルニア州の山火事拡大のため、一旦1月19に予定され直した後、更に1月23日に延期された。
6部門のノミネーションは以下の通り。後ろの( )内は日本での公開状況。
日本での公開済(中)作品が極端に少なく今まで見たのは2本のみ。ということで、当方の予想はもう少し見ることができる来月号にて行いたいと思います。ノミネート作品がこれほど日本ではまだ公開されていないという状況は珍しい。

 

作品賞
アノーラ(2月28日公開予定)
ブルータリスト(2月21日公開予定)
教皇選挙(3月20日公開予定)
ウィキッド ふたりの魔女(3月7日公開予定)
デューン 砂の惑星 2(公開済)
エミリア・ぺレス(3月28日公開予定)
名もなき者(2月28日公開予定)
サブスタンス(5月16日公開予定)
ニッケルボーイズ(英語題名、未定)
アイム・スティル・ヒア(英語題名、未定)

 

監督賞
ブラディ・コーベット(ブルータリスト)(2月21日公開予定)
ショーン・ベイカー(アノーラ)(2月28日公開予定)
ジャック・オーディアール(エミリア・ぺレス)(3月28日公開予定)
ジェームズ・マンゴールド(名もなき者)(2月28日公開予定)
コラリー・ファルジャ(サブスタンス)(5月16日公開予定)

 

主演男優賞
エイドリアン・ブロディ(ブルータリスト)(2月21日公開予定)
コールマン・ドミンゴ(シンシン)(4月11日公開予定)
ティモシー・シャラメ(名もなき者)(2月28日公開予定)
レイフ・ファインズ(教皇選挙)(3月20日公開予定)
セバスチャン・スタン(アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方)(公開中)

 

主演女優賞
マイキー・マディソン(アノーラ)(2月28日公開予定)
デミ・ムーア(サブスタンス)(5月16日公開予定)
カルラ・ソフィア・ガスコン(エミリア・ペレス)(3月28日公開予定)
シンシア・エリーボ(ウィキッド)(3月7日公開予定)
フェルナンダ・トーレス(アイム・スティル・ヒア)(英語題名、未定)

 

助演男優賞
キーラン・カルキン(リアル・ペイン 心の旅)(1月31日公開予定)
ジェレミー・ストロング(アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方)(公開中)
ガイ・ピアース(ブルータリスト)(2月21日公開予定)
エドワード・ノートン(名もなき者)(2月28日公開予定)
ユーラ・ポリソフ(アノーラ)(2月28日公開予定)

 

助演女優賞
ゾーイ・サルダーニャ(リアル・ペイン 心の旅)(1月31日公開予定)
アリアナ・グランデ(ウィキッド)(3月7日公開予定)
フェリシティ・ジョーンズ(ブルータリスト)(2月21日公開予定)
イザベラ・ロッセリーニ(教皇選挙)(3月20日公開予定)
モニカ・バルバロ(名もなき者)(2月28日公開予定)

 

 

 

 

 

Ⅱ 新しい年に思うこと


こんな名前にしたら、何かかしこまったことを期待されそうだが、それにはお応えできない。単にしっかりしたテーマが見当たらないだけのことだ。小さいこともそれほどないが、最近感じたことを書いてみよう。

 

◇ダグラス・サーク
今月の旧作にも書いたが、ダグラス・サークの特集が昨年末から今月いっぱいの予定で上映されている。1897年生まれで、1939年にアメリカに渡った後ハリウッドで活躍した。しかし、1959年にハリウッドでの最終作「悲しみは空の彼方に」を監督した後ハリウッドを離れ、ドイツに戻り1987年にスイスのルガノで亡くなっている。日本のWikipediaでは「悲しみは空の彼方に」が監督作品リストの最後になっているが、英語のWikipediaでは1976~9年の間に3本の短編があげられている。ヨーロッパでも少なくとも映像の仕事に関係していたようだ。
英語のWikipediaでは、彼の評価は1959年にハリウッドから離脱した後に花開いたと書かれている。ほとんどの作品が目立つ特徴を持っていず、日常生活の中に埋没してしまうような作品のため、1950年代の映画の黄金期には立派な作品が多くあり、その中では評価されることがなかったということだろう。
こうしたことを知る時、1950年代の映画の黄金時代の凄さが反対に感じられる。

 

◇ラ・ミラン
韓国映画は今も好調だ。今月も4本の作品を見ることができた。
「市民捜査官ドッキ」「満ち足りた家族」「帰ってきた正直政治家チェ・サンスク」「勇敢な市民」
この内ドッキとチェ・サンスクに主演し、題名の主人公を演じたのがラ・ミランだ。1975年生まれの49歳。共にコメディ作品で、彼女が演じたからこそ楽しめる作品になった。
演劇の舞台で女優人生をスタートさせ、映画に出演したのは2005年の「親切なクムジャさん」で30歳の時だったという。勿論端役だ。それ以来20年、今や堂々と普通のおばさんを演じている。

 

◇英語題名の日本映画
今月見た日本映画11本の中に、英語題名の作品が3本入っている。
「HAPPYEND」「Welcome Back」「Retake」
比較的若い監督の作品という位しか共通項はない。以前から英語題名の日本映画は時々あった。1か月で3本はちょっと珍しく思っただけ。

 

 

 

今月はここまで。
次号は、春よ早く来いか、もう春かのどちらかだろう2月25日にお送りします。



                         - 神谷二三夫 -


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