2025年5月号 洋画のリバイバルback

 

例年以上にこの時期の寒暖差を感じたと思った今年だが、
たとえ昨年の事でもはっきりとは憶えていないので、
ひょっとして毎年同じことを思っているのかも。
まあ、そんなことがあってもめげることはない。
とりあえず映画館に行くか!

 

 

 

 

 

今月の映画

 

3/26~4/25の街に人が随分増えてきた31日間に出会った作品は52本、
ちょっと見過ぎか?
邦/洋画は23/29とかなり互角の本数となった。
外国映画の【旧作】にいれている、「カップルズ」と<ダグラス・サーク傑作選>の4本を併せて5本は、いずれも封切り館にて上映され、料金も新作料金と同じになっている。つまりリバイバルである。
今月のトピックスも参照。

 

 



<日本映画>

   23本(新13本+旧10本)

【新作】
悪い夏
Underground アンダーグラウンド 
知らないカノジョ 
犬と戦争ウクライナで私が見たこと 
レイブンズ 
片思い世界 
うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生 
少年 
アンジーのBARで逢いましょう 
光る川、 
ハッピー☆エンド 
太陽(ティダ)の運命 
今日の空が一番好き,とまだ言えない僕は 

 

【旧作】
ノンちゃん雲に乗る 
路傍の石 
大病人 

 

<初めての成瀬、永遠の成瀬>
乱れ雲 
旅と役者 
ひき逃げ 
夜ごとの夢 
女人哀愁 
女の歴史 
妻 

 

<外国映画>

   29本(新22本+旧7本)

【新作】
十八才

  (Eighteen) 
ベイビー・ガール

  (Babygirl) 
エミリア・ペレス

  (Emilia Perez) 
ミッキー17

  (Mickey 17) 
Here 時代を超えて

  (Here) 
ナタ 魔童の大爆れ

  (Ne Zha 2) 
終わりの鳥

  (Tuesday) 
アンジェントルマン

  (The Ministry of Ungentlemanly Warfare) 
FEMME フェム

  (Femme) 
1980 僕たちの光州事件

  (1980:The Unforgetable Day) 
アマチュア

  (The Amateur) 
ノーバディーズ・ヒーロー

  (Viens je t'emmene) 
A Legend 伝説

  (A Legend) 
ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男

  (Fuhrer and Seducer) 
湖の見知らぬ男

  (L'inconnu du lac) 
シンシン/SING SING

  (Sing Sing) 
プロフェッショナル

  (In The Land of Saints and Sinners) 
皆殺しに手を貸せ

  (They Call Her Death) 
ベテラン 凶悪犯罪捜査班

  (I, The Executioner) 
ボサノヴァ 撃たれたピアニスト

  (They Shot the Piano Player) 
メイデン

  (The Maiden) 
RRRビハインド&ビヨンド

  (RRR: Behind & Beyond)

 

【旧作】
カップルズ

  (Mahjong )


<ダグラス・サーク傑作選>
翼に賭ける命

  (The Tarnished Angels) 
天が赦し給うすべて

  (All That Heaven Allows) 
風と共に散る

  (Written on the Wind) 
悲しみは空の彼方に

  (Imitation of Life) 


<プレコード・ハリウッドⅡ>
歩道の三人女

  (Three on a Match) 
飢ゆるアメリカ

  (Heroes for Sale)

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

今月は1位はなしにしようかと思ったが、それも残念なので、ちょっと無理に選びました。

 

① エミリア・ペレス

すごい映画です。思った以上にミュージカル(10曲以上歌われます)でした、しかもスペイン語で、これは成功です。フランス映画なのに、舞台はメキシコ、監督だけはフランス人のジャック・オーディアール、主演はスペインのトランスジェンダー女優カルラ・ソフィア・ガスコン、アカデミー賞助演女優賞のゾーイ・サルダナ(移民の子)はアメリカの女優。物語はメキシコの麻薬のボスが男から女のエミリア・ペレスへ性転換…!!

 

② 太陽(ティダ)の運命

保守、革新にかかわらず政府と対立、協調で特異な位置にある沖縄県知事。太田昌秀と翁長雄志という二人の知事を中心に沖縄の在り方を問うドキュメンタリー。今月のトークショーも参照。

 

③-1 うしろから撮るな 俳優織本順吉の生涯

2019年に92歳で亡くなった俳優織本順吉を、織本の長女である中村結美が2015年からの4年間カメラに収めたドキュメンタリー映画。2000本以上のテレビ・映画で脇役を演じ続けた俳優の最期の姿を見せる。今月のトークショーも参照。

 

-2 プロフェッショナル

現在72歳のリーアム・ニーソンはまだアクションスターを続けている。これからもしばらくはこの路線が続くようだ。今回の新作は北アイルランドが舞台。彼の出身地でもあり、さらにIRAを巡る戦いが様々な映画で描かれてきた地だ。今回もIRAとの闘いが描かれる。監督のロバート・ローレンツはクリント・イーストウッドのマルパソ・プロで多くの作品(ミスティック・リバー、グラントリノなど)を製作した後、2012年にイーストウッド主演の「人生の特等席」で初監督。今後も期待できそうだ。

 

 

 

他にも映画館で楽しめる映画が今月も沢山。(上映終了済作品もあります。)


悪い夏:染井為人の同名原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題になったらしい。市役所の生活福祉課に勤める主人公が、どんどん悪い方向に落ちていく。監督はピンク映画等から始め、100以上の作品を手掛けてきた城定秀夫。情けない日本を実感。

 

十八才:昨年作の「ケナは韓国が嫌いで」が今年日本で公開された韓国のチャン・ゴンジェ監督の2009年の監督デビュー作。付き合っている高校2年生のふたりとその家族たちの物語。彼女の父親から強く責められる少年を中心に描く。いかにも新人監督らしいみずみずしさが心地よい。

 

知らないカノジョ:この映画は2021年に日本で公開されたフランス・ベルギー製作の「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」のリメイクらしい。急に妻が夫を知らない別の世界に迷い込み、恋愛関係を一から作り直すというお話。監督は三木孝浩。中島健人と歌手のmiletが主演。

 

ミッキー17:「パラサイト」のポン・ジュノ監督の新作はSF。未来世界、落ちこぼれ青年が何度でも生まれ変われる仕事に応募、現在ミッキー17が生存している時、何故か18も現れ…というお話。超格差社会が進展した世界を描く。それにしてもこの映画の公式サイトの動きが悪くてちょっと参る。

 

犬と戦争 ウクライナで私が見たこと:ロシアのウクライナ侵攻から3年(この映画が作られた時点)、毎年ウクライナを訪ねた山田あかねさんが作ったドキュメンタリー。侵攻開始1か月後に訪ねた時から、戦場における犬と人を見つめてきた。更にいろいろな国の人たちが同じ目的(動物保護)で来ていることも驚きだった。

 

レイブンズ:深瀬昌久という写真家は知らなかった。1974年に一躍時代の寵児となるとある。彼のミューズであった妻の洋子との関係と彼の生き方を描いた映画を監督したのはイギリス人のマーク・ギル。深瀬の代表作『鴉』からの題名だ。深瀬を浅野忠信、洋子を瀧内公美が共にベスト演技。浅野は“本当に僕はもう好き放題やりました”と言っている。

 

アンジェントルマン:「トップガン」等の製作者ジェリー・ブラッカイマーが監督ガイ・リッチーと組んだ新作。第二次大戦中、チャーチル首相の下で秘密裏に結成された非公式の特殊部隊の物語。目的は北大西洋上のナチスのUボートを無力化すること。後に007の作家となるイアン・フレミングが出てきたり、部隊長は007のモデルとなったという人物だったり…。型破りな戦い方から「非紳士的な戦争省」と呼ばれ、英国諜報機関MI6の前身とも言われる特殊作戦執行部(SOE)と作戦の実際を描く。

 

1980 僕たちの光州事件:光州事件を普通の市民生活からの視点で描く韓国映画。軍事政権に対する市民・学生の民主化要求の蜂起事件で、軍の一斉射撃などで多くの市民の犠牲者を出している。祖父の開いた中華料理店に長く不在だった父が逃げ込んできて、更に軍人たちがやってきて…。

 

アマチュア:主人公はCIAの職員ながら、分析官のため現場での経験はなかった。ロンドンで妻がテロに遭遇し死に、復讐のため、一人で犯人を追っていく。常に犯人の先を読み、先手を打ちながら。ロバート・リテルの同名小説(日本では「チャーリー・へラーの復讐」)の映画化。いかにもひ弱で頭脳明晰的主人公をラミ・マレックが演じている。

 

A Legend 伝説:ジャッキー・チェン主演の2024年の作品。(次の作品は「ベスト・キッド:レジェンズ」で伝説づいている。)ジャッキー50周年記念プロジェクト第2弾。(ちなみに第1弾は「ライド・オン」)監督スタンリー・トンとは10作目。モブシーンの人数が半端ないことに感心。

 

ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男:ニュース映像などの実際の映像と、俳優による再現部分がミックスされ、ナチスの宣伝担当ゲッベルスの実像に迫る。“私がヒトラーを総統にした”“我々は民衆を手なずけた”“真実は私が決める”など、今も同じようなことを言う大統領などが散見される。

 

シンシン:「テファニーで朝食を」でヘップバーンが通ったシンシン刑務所。ニューヨークから北に50kmにある。そこで実際に行われている舞台演劇を通して収監者の更生を目指すプログラム 「RTA」を描写しながら、友情と再生の感動の実話。主要キャストの85%以上が実際の元受刑者だという。主演した俳優のコールマン・ドミンゴは今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

 

ベテラン 凶悪犯罪捜査班:韓国で5週連続NO.1ヒットとなったという。悪人を私刑する“犯人”は殺人鬼か正義のヒーローか?という惹句のままのストーリー。観客動員数1億俳優(多分彼の出演した作品の観客数合計が1億を超えたということ)ファン・ジョンミンがベテラン刑事として主演。映画の公式サイトからいろいろ引用しました。

 

ボサノヴァ 撃たれたピアニスト:サンバジャズで名を馳せた天才ピアニスト、テノーリオ・ジュニオルの失踪を追うアニメ。追うのは音楽ジャーナリストで、その声優をする俳優のジェフ・ゴールドブラム自身もピアニストとして活動しているらしい。50年代末に世界に広がった音楽を巡り、アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトなどの懐かしい名前が画面に踊る。

 

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は:コント職人ジャルジャルの福徳秀介の同名小説の映画化。脚本、監督は大九明子で、原作通りの物語の進め方なのかどうかは分からないが、面白かった。伊東蒼の告白の長さが印象に残り、最後の河合優美も前、後半で変わるのが印象に残るが、萩原利久が今一つ目立たない。

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>
<初めての成瀬、永遠の成瀬>という特集名で、シネマヴェーラで20本が上映された。今までにも、ぽろぽろと何本かは見ていたので、基本的には見ていない作品を選び、次の7本を見た。

 

「乱れ雲」

「旅と役者」

「ひき逃げ」

「夜ごとの夢」

「女人哀愁」

「女の歴史」

「妻」


他にも「杏っ子」を見たかったが、予定が合わず見られなかった。
今まで見た作品も含めて作品名を見れば、如何に成瀬監督が女性を描いてきたかがよく分かる。女性映画の名手とも呼ばれている。と言っても華やかな映画ではない。成瀬自体の性格として甘く描くなどということはできないのだなと理解する。厳しい映画が多いのだ。今回見た作品で最も古い作品は1933年、最も新しい作品は1967年と34年間に広がっている。1930年に監督デビューで37年間の監督生活。最初はサイレントの作品が並び、今回見たものでは「夜ごとの夢」がサイレントだった。1967年の「乱れ雲」が遺作になるが、その2年後に63歳で亡くなっている。早すぎますね。


調べれば調べるほど、色々なエピソードが出てくる監督だったようだ。例えば、多く使ってきた女優では高峰秀子がいるが、“成瀬は高峰秀子が嫌いだった”と書かれていたりするのである。上映された20本中、7本に高峰は出演している。
使う役者も同じ人が多いように、脚本、撮影、美術などのスタッフも同じ人を使い、成瀬組と呼ばれるようになっていた。

 

 

<外国映画>
<ダグラス・サーク傑作選>

ダグラス・サークと言えば、今年の2月号、3月号で、<デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ>という特集であわせて8本見たと書いた。今回の傑作選特集は名画座ではなく、ロードショー館にて封切り料金で上映された。5本が上映された内、見たのは次の4本。


「翼に賭ける命」

「天が赦し給うすべて」

「風と共に散る」

「悲しみは空の彼方に」


この内「悲しみは空の彼方に」以外の3本にロック・ハドソンが出演している。ロック・ハドソンと言えば、洋画を見始めた頃「男性の好きなスポーツ」(1964年)が封切られていて、これはコメディだった。その少し前にドリス・デイとの共演コメディが「夜をたのしく」「恋人よ帰れ」とあって、ほぼ同時期に名画座でみたので、コメディの人という印象が強くなった。実際には、アクション作品の方が圧倒的に多い俳優だったとは後で知った。ダグラス・サーク作品ではロマンチックな役を演じている。


ダグラス・サークに付いては、今年の2月号で、“派手さはほぼなく、日常の時間を丁寧に描いていると言えようか?”と書いた。この言葉、上の成瀬己喜男にも当てはまるなあと思った、偶然ではあるが。

 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

4月8日 K’sシネマ 「うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生」 上映後 監督中村結美の挨拶
中村監督は織本の長女。銀行員勤務の後、ラジオ、テレビに関連する仕事(取材、構成、脚本等)をしてきた。この作品は父である織本の「素」の姿を明らかにしようと4年に渡ってカメラを向けた作品だ。かなり感情的になる織本に冷静なカメラを向けて、その素顔を映し出す。監督が10代後半の頃から25年間、織本は家族と離れて暮らしていた。その溝を埋めるべく、監督はカメラを向けたのだろうか?

 

4月9 K’sシネマ 「少年」 上映後 「うしろから撮るな」の監督 中村結美とこの映画の監督 旦雄二の対談
少年」の製作は1999年に始まり、2003年まで断続的に5年間撮影が行われている。その後完成が難航し、今回25年ぶりに完成、公開されたのである。そこには織本順吉が出演していて、「うしろから…」より随分若い姿を見ることができる。その関係で中村結美が対談相手として出演。この映画に父親が出演していたことを憶えているという。

 

4月20日 ユーロスペース 「太陽(ティダ)の運命」 監督佐古忠彦のトーク 司会TBSアナウンサー土井敏之
調べると佐古監督はTBSにスポーツアナウンサーとして入社とある。この映画はTBSドキュメンタリー映画のブランド、TBSDOCSの1本で司会に本職のアナウンサーが登場となった。調べると土井アナウンサーは元NHKらしいですね。知りませんでした。
佐古監督はこの作品の前に、「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」「生きろ 島田叡‐戦中最後の沖縄県知事」と3本の沖縄に関するドキュメンタリーを作っている。沖縄の人たちの気持ちの代弁をしたいと思って作ってきた。前3作は過去の歴史を追ったものだが、今回はより現在に近い二人の知事を中心に、現在に続く沖縄の状況を描いたという。

 

 

 

 

 

Ⅳ 今月のつぶやき(良いことも、悪いことも)


●1945年生まれの鰐淵晴子が10歳の時主演したのが「ノンちゃん雲に乗る」。ヴァイオリニストの日本人の父と、ハプスブルク家の末裔であるオーストリア人の母の間に生まれた今でいうハーフだ。当時は珍しい存在だった。3歳からヴァイオリンを習い始め、8歳で全国の演奏旅行をしたという天才少女ヴァイオリニストだった。正統派美人としてこの映画で母親を演じた原節子の再来と言われたらしい。確かに人気だったとうっすら記憶している。

 

●2009年に妻のナターシャ・リチャードソンがスキー中の事故で亡くなったというニュースが流れたリーアム・ニーソン。
ナターシャ・リチャードソンと言えば、イギリスの名監督トニー・リチャードソン(「長距離ランナーの孤独」など)とヴァネッサ・レッドグレイヴの娘だった。
トニー・リチャードソンと言えば、「マドモアゼル」監督中に主演のジャンヌ・モローと恋に落ちヴァネッサと1967年に離婚。その後、バイセクシャルだった彼は1991年にエイズで死去とは今回Wikipediaで初めて知った。看取ったのはジャンヌ・モローだったという。
ヴァネッサ・レッドグレイヴと言えば、名門レッドグレイヴ家の長女(弟コリン、妹リンも俳優だったが共に2010年に死去)として活躍、アカデミー賞、トニー賞など数々の受賞を誇る。「キャメロット」(1967年)で共演したフランコ・ネロと出会い、息子をもうけたが正式に結婚したのは2006年。現在88歳だ。
プロフェッショナル」のリーアム・ニーソンからいろいろ思い出してしまった。

 

 

 

 



今月のトピックス:洋画のリバイバル

 

Ⅰ 洋画のリバイバル  

 

かなり前から「4Kレストア版」とか「デジタルリマスター版」と銘打った作品の公開が多いなと感じてきた。そこに、4月23日の朝日新聞朝刊の文化ページに、「洋画のリバイバル上映 なぜブーム」という記事が載った。


映画倫理機構(映倫)の再審査の洋画の本数が急増していることから始まる。映倫の審査基準が2009年5月に改訂され、それ以前の作品を公開する場合、再審査が必要になるが、それが急増しているというのだ。18~20年の年約40本から2022年は129本、23年108本、24年116本と大きく増えている。新作洋画の審査数は400本前後が続いていて、洋画全体に旧作が占める割合は約2割、つまり5本に1本は旧作となる。邦画の再審査数はコロナ前と大きくは変わらないという。


洋画の人気が落ちているということは、この通信でも何度も書いてきた。日本人が内向きになり、楽に見られる(?)邦画を選ぶようになっているとかあるのだろうか?本当にそうだろうか?


それはさておき、人気の落ちた洋画の中でも、旧作のリバイバルが増えているのは何故か?記事の中で書かれているのは、新作という評価の定まっていない作品を見て裏切られるより、評価の定まっている旧作の方が安心して見られるということだ。配給会社にしても、新作の失敗のリスクより、確実に一定の観客を呼べ、字幕を新たにつける費用などが抑えられる旧作に目が行くというのだ。


もっと大きな問題として、洋画の新作に見なければならないと感じさせる作品が少なくなったのではないかというものがある。これには色々な問題が絡んでくるので、簡単には言えないが、2年前に行われた脚本家のストライキは今後も影響するのではと心配になる。

 

 

 

 

 

Ⅱ 何語の字幕


中国のアニメ映画「ナタ 魔童の大爆れ」のサイト

(https://www.nezha2.jp)

を見ると、アニメーション映画世界歴代興収1位!とあり、4月4日(金)日本語字幕版 緊急公開決定と謳われている。アニメの世界1位になったことは確かだ。しかし、日本で公開されたのは3月14日が正しい、但し日本語字幕はなく英語字幕版だが。
この映画は中国で大ヒットをし、アメリカでもヒットしたので、日本でこの映画を配給した面白映画株式会社は一刻も早くと3月14日からアメリカ用に既にできていた英語字幕版を上映したと思われる。3週間は英語版でとりあえず中国語が分かる人と、英語が分かる人向けに上映をしたのだと思われる。
こうした上映は初めての事ではないだろうか?
面白映画の努力にもかかわらず、日本ではそこまでのヒットにはならなかった。4月4日公開後も、興収ベスト10に入ってくることはなかった。日本人にとって、主人公が可愛いと思われないというのも原因の一つだろう。

 

 

 

 

次号は、ゴールデンウィーク直前の4月25日にお送りします。



                         - 神谷二三夫 -


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