cogito

プティットパンセ   La petite pensée

 日本の健全な国際化のために

 インバウンド(Inbound)そして対をなすアウトバンド(Outbound)、この2つの言葉がいつの間にか日常的に使われる日本語になってしまた。
 それぞれの意味は、海外から日本に訪れる外国人、それと日本から海外にでかける日本人、広義では外国人を迎えることによる産業全般、それと日本から海外にでてゆくことに関わる産業のこととなる。
あたりまえのことではあるが元々は観光に関する業界の専門用語でしかなかったものである。
訪日客が急激に増加したことによりごく最近になって一般的な言葉として定着してしまった。特殊な業界用語が一般化することはよくあるがこの言葉もすっかりなじんでしまった。いずれ辞書にも載ることであろう。

 

 さて、2019年のそれぞれの数値だがインバウンドは3,188万人、アウトバンドこちらは2,008万人で、いずれも過去最高となった。
 観光庁が統計を発表しているのは1964年、オリンピックのあった年からである。それによるとインバウンドは352,832人、アウトバンド221,309人である。海外旅行の自由化が始まったのがこの年であるが日本から海外にでかけたひとはわずかに22万人、一方訪れたひとも35万人でしかなかった。
 このあと日本は高度成長期に入り、海外旅行客はどんどん増えていった。一方訪日客はなかなか増えなかった。1968年にはアウトバンドの方が一気に増えていった。

 

 2014年までアウトバンドが常に数値としては多かった。それが海外旅行客が長引く不況で伸び悩むなかで、海外とくに経済成長の著しいアジア圏からの訪日客が急増することになり、この数年で極端な逆転現象となっている。少子化の中で日本の経済力は伸びが大きく落ち込み、この先も楽観できない。今後も海外旅行に目を向ける人の数はさほど伸びてはゆかないだろう。

 

  他方、日本の観光地としての魅力は特殊な地形が運だ豊かな自然と文化のお陰でますます伸びてゆくであろう。

 インターネットの普及により海外の情報が簡単に手に入るようになったが、やはり日本人にはしっかりと海外にでかけ他国の文化に直接触れてもらいたい。海外のひとには日本に訪れてもらい、そのことによって日本の偏ったものの見方を是正する力になってほしいものだ。



                                         2020年1月17日



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