cogito

プティットパンセ   La petite pensée

 COVID-19 感染してみて
 

 

 2022年2月時点で新型コロナウイルス渦は3年目に入っている。すでに日本国内では400万人が感染確認されている。死者は2万人を超えた。

 世界全体でみると感染者数は4億2千万人。死者586万人。とくにひどいのがアメリカ合衆国で感染者数は7800万人、死者93万人である。
 ヨーロッパではオミクロン株のピークは過ぎたと言っているが感染者がいなくなった訳ではない。フランスでも2220万人が感染し、13万7千人が死んでいる。(2022年2月17日現在)

 

 話を日本国内に戻そう。400万人ということは全人口の3%にあたる。この数値だけを見ると少ないとも思えるが、ひとつの病気だけでこの感染者数と考えればやはり驚くべきことである。そして400万人もいれば身近なところに感染者がいても不思議ではない。

 この2年間コロナ渦はテレビ、新聞、ネットなどでは常にトップニュースとして取り上げられてきた。同じような話題が続き、耳をふさぎたいと思ってもそれは無理なこと。特に2022年1月からは一日当たりの感染者数が10万人になるなど、身の回りで起きている惨禍として実感できるようになった。


 そして、1月下旬とうとう自分自身が感染してしまった。2日間ほど38.5度ほどの熱が続いたが、幸いその後は熱が下がり、体からのだるさなども消えてくれ完治できた。


 実際に感染してみてわかったことがいくつかある。
 やはり、一番大変だったことは病気を診てもらえる病院を探すことだった。行政から指定されている相談箇所に電話をしてみるがそもそも繋がらない。繋がった場合にも音声での案内のみとなり、実際の係員と話せるまでには2時間以上待たされてから、ということが普通のことであった。この時間ならすぐに繋がるだろうと思い、朝4時に電話をしてみても、結果は同じであった。
 やっと繋がったコールセンターでの情報は住んでる近くでの病院の案内だけ、それ以上の対応はしてくれない。すでにホームページで得ている情報以上のものはなかった。

 結局、何箇所もの病院に自分自身が電話をして、かろうじて診てもらえる病院を自力で探すだけのことだった。病院の方も一回で検査をしてくれるところはなかった。何度か同じところにかけていたら根負けしてくれたのか、やっと診てもらえることになった。
 熱のある体でかなりの無理をして病院にでかけ、検査を受け、やっとのことで陽性判定がでた。これで感染したのではなかろうかという不安は解消された。実際にかかっていたのだから。
 医者が配慮してくださった。既往症がある高齢者ということでラゲブリオカプセルが処方されることになったのは実にありがたい。怖れていた重症化にはこの薬に頼るしかない。薬は薬局がその日のうちに自宅に届けてくれた。玄関先に薬を置いたあと、薬剤師さんが電話をかけてきて、薬の注意点を説明してくれた。これもありがたかった。入院などについての説明はなく、そのまま自宅治療となった。

 ラゲブリオカプセルを一日2回、一回に4錠ずつ、それを5日間。計40錠飲みきるというのがこの薬を出されるときのお約束だった。自分の経験がこの薬の治験に少しでも役立てることができれば、という気持ちもあって、しっかりと飲み干した。


 幸い怖れていた副作用もなく、そしてこの薬の効果かどうかは定かではないが、なんとか2日間の高熱を除けば、症状は緩和していった。

 保健所からは確認の電話が毎日来ることになっていたが、自動発信の器械に向かってのひとりごとのような音声説明も面倒なので、LINEアプリでの対応に換えた。毎朝7時にLINEからメッセージが届き、それに答えて行くという段取りである。といっても、質問は、「息が苦しいですか?」「現在の体温を選択してください」「パルスオキシメーターはありますか?」だけ。
 パルスオキシメータは患者として登録されてから1週間後に送られてきた。

 

 

 

 保健所からの指示で発病してから10日間が隔離期間とされたので、熱が下がって動けるようになってきたあとも、自室から出ることはなく閉じこもり生活を続けた。
 11日目にやっとのことで自室から出て今までと同じ生活に戻ることができた。保健所からのLINEメッセージもなくなった。


 今回は重症化することなく難を逃れることができたが、コロナ感染はけして甘く見てはいけないと実感した。自分自身の体のこともあるが、家族を含めて廻りの人への影響が小さくないからだ。家族は当然のことながら濃厚接触者として活動が大幅に制限される。病人と同じような扱いを受ける。しかもいつ発症するかもしれないという不安を持ちながらだ。
 やはり感染しないように自分自身も最大限の注意をするしかない。


 コロナへの対策は国によって大きく違っている。日本では比較的国が規定した感染防止策を多くのひとが忠実に守る傾向がある。さすがに中国並みの感染防止措置をされたら、日本人でも反対するひとは出てくるだろうが、そのレベルにはなっていない。
 他方、欧米ではコロナ対策を個人の自由を守る権利と結びつけるひとが多い。多いというのは正確ではないかもしれない。ニュースとしての話題性として反対意見、反対活動の方がひとの興味を呼び込むからマスコミも取り上げるのだろう。欧米でも多数のひとはワクチン注射を自発的に受けているし、マスクを自分の身を守るためにしているひとが多い。はっきりとマジョリティーと言っていいだろう。
 マジョリティーからみるとこの一部のひとたちの行動、活動ははなはだ迷惑なはずだ。問題を人間の自由の権利というレベルまでの複雑な話としなくても相互理解できるはずだと思うのだが。そういったひとたちは、生きて行く中での様々な不満をCOVID-19に結びつけて発散しているのだろう。



                               2022年2月18日



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